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| 齋藤: |
中村さんは雑貨バイヤーだけでなく、幅広く雑貨の仕事に携わっているようですが。 |
| 中村: |
この会社には、アメリカン雑貨や古着などを扱うショップの販売スタッフとして入ったんです。最初から副店長として仕事を任されて、いろいろな仕事を手掛けましたね。商品企画、販売促進、営業と、本当に何でも。その業務の一つにバイヤーという仕事もあったんです。 |
| 齋藤: |
じゃあ、ショップ運営に関わることは一通りされてきたんですね。 |
| 中村: |
そうですね。一通りやりました。次第に、事業部長、社長という立場で雑貨ビジネスの全体を見るようになったんです。 |
| 中村: |
雑貨が好きだからやっていたというよりも、仕事が楽しくて。雑貨の中に多くのビジネスチャンスが見えましたから。齋藤先生も雑貨スタイリングに注力しながら、空間デザインをしてこられたようですが。 |
| 齋藤: |
ええ。何もない空間に、生活を見立ててドレスアップするとしたら、雑貨の効果が重要なんです。例えば、住空間でしたら、そこに住まう方の「らしさ」とかスタイルを何で表現するかと言うと雑貨コーディネートしかない。だからどのショップに、どういうテイストの雑貨が置いてあるかというのを、常に頭に入れるようにしています。御社はさまざまな雑貨/インテリアを扱っていて、メインブランドとしてイタリアのVICEVERSA(ヴァイスヴァーサ)をセレクトされていますが、その理由をお聞かせいただけますか? |
| 中村: |
VICEVERSAのブランドを展開し始めた頃は「日用雑貨にデザイン」という感覚が日本にはなかったのが理由です。デザインを文化として、日本の日常生活に取り入れていこうということで。 |
| 齋藤: |
最近になってようやく、デザイン文化が日本の日用雑貨にも浸透し始めたことは、私も感じます。それは、「それまで良いデザインの商品がなかった」ということではなく、少し前までは雑貨をセレクトする際に、「このあたりでいいかな、というような選び方をする」傾向があったのが理由ですよね。モノを選ぶ感覚として、日本は機能や効率重視だったんですね。イタリアなどは、小物一つとっても、ここに一番相応しいデザインは何だろうって追求する感覚が昔から根付いている。 |
| 中村: |
ある雑誌の編集長と「日本の雑貨・インテリア業界は、まだ出来上がっていない状態ですよね」という話をしたことがあるんです。アパレルなどのデザインジャンルは、日本でも比較的歴史があると思うんですけれども、この業界は、まだできあがっていない。自分が子供だった頃、家にあった家具って、お母さんがお嫁に来たときに揃えた桐の箪笥、三面鏡…。子供部屋だって、きっとデザイン性とは、懸け離れた空間だったと思うんです。それはそれで、一つのスタイルですが。でも現在の住空間には、イタリアンメイドのトースターとかデザイナーズチェア?、デザイン家電があって、昔の生活空間とは明らかに違いますよね。そういう環境で子供が育っていく。その世代が大人になって、デザインを変えていくのではないか、なんていう話でしたね。 |
| 齋藤: |
なるほど。今はこれだけ商品が出ているから、選択肢も幅広い。最近は、海外のデザイン展示会に出かけて、マーケットの進化もすごく早くなったなと感じています。その情報がオンタイムで日本に反映されますよね。帰国してすぐ、展示会で見た商品が日本のショップにも並んでいます。以前は1年位かかりましたよ、日本のマーケットに置かれるのに。 |
| 齋藤: |
行きますね。ケルン国際家具見本市とか、ミラノサローネ、メゾン・エ・オブジェなど。最近は、禅とか伝統紋様とか、日本をモチーフにしたものが、ヨーロッパのデザインには多くなってきている。面白いですね。ヨーロッパ独自の形式や伝統も重んじていますが、楽しさ、遊びをセンスよく取り入れて余裕を感じます。学びたい点ですね。 |
| 中村: |
また、海外のメーカーやデザイナーは、発信力とアピールの強さが日本と違うなと、強く感じています。海外の展示会ブースに何十人もスタッフがいて、その人たちが大きい声で、そこにいる周りの人たちにバーンとアピール。ディスプレイもいつも新しくて印象的だし、話の内容にも物語があるから、周りのバイヤー達がみんな、従っちゃうくらいの発信力がありますね。 |
| 齋藤: |
そうそう。プレゼンテーションにパワーが感じられる。さらに、デザインに余裕があるわりに、その裏付けがきちんとありますよね。その活気が、業界自体を盛り上げているというか。 |
| 齋藤: |
そうした展示会・見本市では、バイヤーの方は、商品を幾らで買うか、幾らで売るかの決断が重要だと思うのですが? |
| 中村: |
ええ、一番始めは、そういう訓練をさせられましたね。商品をセレクトする際に、値段を敢えて聞かないんです。「これ、日本で幾らぐらいで売りたい」って。最初のうちは、適切な値段を大きく外して、「また来な」って言われる(笑)。 |
| 中村: |
慣れてくるとこちらがイニシアチブを握るために、この商品を日本でこれぐらい売りたい、こういう展開をしたいんだっていうことを相手に伝えることもします。 |
| 齋藤: |
良いものがわかるセンスというよりも、商品流通のストーリーを鮮明に描けることがカギになりますよね。 |
| 中村: |
そうなんです。商品をデザインした作者と直接話す。この人の作品だったら、こういうふうにしたら、売れるんじゃないかなっていう予測と、売るまでの計画をどこまで立てられるかどうか。僕にも、失敗はたくさんありました。海外メーカーのブースに、ふらっと立ち寄って、デザイナーから「この商品はね、こう始まって、こうしてつくったんだよ」そういうストーリーを聞いていると、胸を打たれちゃう。「おまえの商品、たくさん売ってやるよ」と思い買い付けたけど、冷静に後で考えると日本では売れそうにないモノだったり(笑)。逆にそれでよかったというケースもありますけど。 |
| 齋藤: |
バイヤーの方とお客様が、その商品のストーリーを共有することは難しいですよね。店頭に並べられるとモノとしてしか、情報が入ってこないですから。かっこいいとか、かわいいとか、売れるとか売れないとか、そういう少ない見解でしか判断ができなくなります。どういうふうにやったら、そこに関わるストーリーが見えてるのかということは、雑貨コーディネーターやディスプレイスタイリストによるところが大きいですね。 |
| 中村: |
バイヤーとコーディネーターが、一つひとつの商品について、ストーリーを共有できれば理想ですね。買い付けたモノの魅力がスタイリングによって全面に出てくるような。そんなヴィジュアル・マ?チャンダイジングやヴィジュアル・プレゼンテーションへの認識をさらに強めていく必要がありますね。 |
| 齋藤: |
私はよく、モデルルームに雑貨コーディネートを施す際、VICEVERSAで商品を購入するんですよ。渋谷のショップは品揃えの幅が広くて、使えるものがたくさんありますよね。 |
| 中村: |
ありがとうございます。お客さまには、生活空間にデザイン性を意識している、都会のビジネスマン、ビジネスウーマンの方が多いです。書斎にさり気なく置かれるステーショナリーとか、料理が好きな男性のキッチンアイテム、ホームパーティで使うポップな食器など、お客さまの生活をイメージしながらテーマを決めています。 |
| 齋藤: |
そうですね。お客さまを把握する必要はありますね。「どこでお店をやるのか?」、「どんな人たちが立ち寄るのか?」、「その人たちの家庭環境は?」、といったリサーチが、商品を選んだり、価格帯を決めるという店鋪運営計画に繋がるんですね。 |
| 中村: |
最近はキッズ雑貨を扱い始めたんですが、その際に展開する地域の子供の人数、子供の年齢層、男女比なども調べました。 |
| 齋藤: |
そういうふうにきちんと分析していくと、売上結果等があらかじめ見えてきますか。 |
| 中村: |
ええ。ただ、人数だけでなく別の要素が絡まると、難しいんです。先日、キッズの商品として三輪車を購入しました。ライトブルーとピンクと2色。それぞれ、男の子と女の子の割合と同じように売れていくのかな、と思ったら、割合と異なってライトブルーが多く売れる地域もあった。なぜなら、女の子は、ライトブルーにも乗れるしピンクにも乗れるけど、男の子はなかなかピンクの三輪車には乗りたがらないでしょう。そういうことだったんです。バイヤーとして見るんだったら、ライトブルーを品切れしないようにしないといけないんですね。 |
| 中村: |
他にも、1カ月で千本近くも売れた100円のスプーンを、200円にしても売れるんじゃないかなと考えたり。200円にするために、何をつけようかとか、さらに、それを380円にするには、パッケージが必要かなとかいう感覚も大事。そういうことを常に考えながら、メーカーやコーディネーターの方と会った時にその引き出しをぴゅっと開けて、こんなのできない?とか提案してみるんです。 |
| 齋藤: |
雑貨業界を目指している方は、そんな感覚を持って、ショップ巡りをするとさらに面白くなりますよね。 |
| 中村: |
そうですね。勉強していくうちに原価を把握できるようになる。私ならこうやって売るけどな、とダメ出ししてみる習慣、大切だと思いますよ。 |
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