このシリーズでは、資格を活かしてカウンセラーやキャリアコンサルタントとして、第一線で活躍されている方を取り上げ、現場におけるリアルな仕事内容や想い、これからカウンセラーやキャリアコンサルタントを目指す方へのアドバイスなど、多彩な角度でお届けしたいと思います。

第1回目は、1級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタントの資格の他、メンタルの資格やスキルを取得している山口可愛さんです。

山口可愛さんは、国家資格キャリアコンサルタントの資格取得支援の講師をはじめ、企業内カウンセリング、就職支援の他、EAPセンターなどでも幅広くカウンセリングを行っています。そんな山口可愛先生にインタビューをしました。

カウンセラーとしての第一歩は「キャリア支援」からスタート

私は、学生時代からやりたいことが見つからず、社会人になってからカウンセラーになることを目指しました。

人を支援する仕事や方法・資格を調べたところ、比較的ハードルが低く感じたキャリアカウンセラーの資格が目にとまり、まずは資格の取得を目指しました。

資格の取得後は、専門学校の就職課のキャリア支援の仕事につき、スクールの受講生さんにキャリアカウンセリングや就職斡旋を行っていました。

当時を振り返ってみると、その人のキャリアを支援するというよりは、求人案件に押し込むという側面の方が強く、やりたいことと少し違うという違和感があったことを覚えています。

受講生さんの中には、思うように就職が決まらず、メンタル面が低下している方もいらっしゃいました。一人ひとりに合った支援を行うには、キャリア支援だけではなく、メンタル面が低下している方にも対応できるスキルが必要だと思いました。

そして、私が目指しているのは、「生き方」を支援しながら、その人の心に寄りそうカウンセリングだと思い、メンタルのスキルと資格も習得しました。

これからは「心の時代」  専門スキルと資格があれば、さらにチャンスを広げていける

キャリアのスキルと資格にメンタルのスキルと資格があると、可能性が大きく広がります。

例えば、私がリカレントでキャリアコンサルタント養成講座の講師を務めながら行っている仕事の一つにEAPセンターでのカウンセリングがあります。この仕事自体もキャリアの他にメンタルのスキルがあったからこそ、仕事の幅が広がっていった例になるかと思います。

EAPセンターでは、ストレスチェックで高ストレスとなった方や、悩みがあることで、仕事の効率や生産性に影響が出てしまうような方からなど、様々なご相談が寄せられます。

カウンセリングで多い相談としては、「職場の人間関係の悩み」や「仕事の質と量」に関することのように思います。

例えば、転職をしたものの、イメージをしていた仕事と違っていたというケースや、職場での人間関係がうまくいかず、まわりの方の目が気になり、結果としてメンタル不調になっているというケースなど、実に様々です。

職場に焦点をあてるカウンセリングをしていて実感するのは、やはりキャリアの知識は必要ということ。例えば働く人の背景や、人事の仕組み、社会保険の知識、国の制度などをわかっていれば、その人が置かれている状況も察しやすく、カウンセリングの中で、個にあわせた提案や情報提供を行うこともできます。

また、専門分野の知識があれば、カウンセラーとしての強みにもなります。例えば、私は臨床心理士、精神保健福祉士の方が一緒にカウンセリングを行っているのですが、カウンセリングの内容が、具体的な転職の話になると、リファーがくることがあります。

メンタルの知識やスキルを持っていて、キャリアコンサルタントの資格も持っているからこそ、発揮できる案件になるのです。

やりたいと思う仕事につけるチャンスがめぐって来た時に、その分野で通用する知識と資格があるのと、全然違います。

働く人の心の支援を目指す皆さんであれば、メンタルの知識とスキルに加え、ぜひキャリアの知識やスキルも習得してみてください。これからは「心の時代」です。必ずチャンスは広がっていくと思います。