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キャリア - 2023.03.29更新 / 2023.03.31公開

エンプロイアビリティとは何か? その意味と高め方

ビジネスの現場でしばしば使われる言葉のひとつとして、「エンプロイアビリティ」があります。聞きなれない方も多いのではないでしょうか。

このページでは、「エンプロイアビリティとはなにか」から詳しく解説していきます。

エンプロイアビリティとは?

「エンプロイアビリティ」とは、「雇用される能力・雇用され続ける能力」のことです。

注目したいのは、この「エンプロイアビリティ」は、「雇用されるための能力」を指す言葉であると同時に、「雇用され続ける能力」を指す言葉でもあるという点です。

外的・内的「エンプロイアビリティ」

外的エンプロイアビリティは、個人が他の企業や業界で求人を見つけ、適用可能なスキルや経験を持っていることを示す能力を指します。つまり、他の職場での雇用可能性を示す能力です。

一方、内的エンプロイアビリティは、個人が所属している会社や組織での職場適応能力や、組織内でのキャリア成長、安定した雇用を持ち続ける能力を指します。つまり、特定の企業や組織内で働き続け、キャリアを築く能力を示します。

相対的・絶対的「エンプロイアビリティ」

「外的エンプロイアビリティ」、「内的エンプロイアビリティ」以外にも、「その能力が相対的なものであるか絶対的なものであるか」で分ける方法もあります。

相対的なエンプロイアビリティは、個人のスキルや経験などが、特定の競争環境において有利であことを示す能力を指します。つまり、他者と比較して優れた競争力を持っていることを指します。

一方、絶対的なエンプロイアビリティは、個人が持っているスキルや経験が、求人市場全体でどれだけ価値があるか、またはある特定の仕事で必要な要件を満たしているかを示す能力を指します。つまり、特定の職種や仕事で必要なスキルや資格を持っていることを指します。

「エンプロイアビリティ」の種類

さて、この雇用される能力、雇用され続ける能力の意味を持つ「エンプロイアビリティ」にはさまざまな種類があります。
 

  1. 業務に必要な技能や技術

  2. 仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力など

  3. 「真面目な人柄」「仕事熱心である点」などの個人の特性

 
がその代表例です。

このうち、「3」の個人の特性については、個人の性格などから導き出される部分も多いため、ビジネスの現場で取り上げることは適切ではないとされていることもあります。

このため、「エンプロイアビリティ」は主に、「1」の業務に必要な技術や技能と、「2」のコミュニケーション能力を基準にするのが良いと考えられています。

エンプロイアビリティを高めるメリットとは

エンプロイアビリティに注目し、これを高めることにはメリットがあります。そしてその「メリット」は、従業員(働く)側と雇用主側の両方に存在します。

 
【従業員側のメリット】

  1. 給与アップに繋がりやすくなる

  2. 自分の意見が通りやすくなり、モチベーションアップに繋がる

  3. 転職などを有利に進めやすい

 

【雇用主側のメリット】

  1. 質の良い従業員に仕事を任せられる

  2. 人件費を削減できる

  3. 従業員からの支持を集めやすくなる

 
ひとつずつ見ていきましょう。

【従業員側】給与アップに繋がりやすくなる

従業員側のもっとも大きいメリットとして「給与アップに繋がりやすくなる」が挙げられます。

自分の能力が高まりることで評価され、昇給が期待できます。また、能力に見合った給与が支払われることによって、仕事のパフォーマンス向上にも繋がるでしょう。

【従業員側】自分の意見が通りやすくなり、モチベーションアップに繋がる

「モチベーションの維持・向上」は仕事をしていくうえで非常に重要な要素です。これを「従業員側の立場」から考えていきましょう。

新入社員や転職をしたばかりの時期は、自分では良い案だと思ったことを述べても採用されなかっという経験があるのではないでしょうか。これは、「良い案だと思っていたのは自分だけで、実際には良い案ではなかったことを経験不足ゆえに気づけていなかった」というところもあるでしょうし、「本当に良い案だったのに、実績のない新人だからという理由で採用してもらえなかった」ということもあるでしょう。

しかしエンプロイアビリティによって能力を高めておけば、「本当に良い案」を出せる確率が高くなります。

実際に、「駆け出しのころはとても苦しかったが、スキルと経験を積んだことを自覚するようになった7年目以降は、格段に仕事がやりやすくなった」などのように語る人も珍しくありません。

そして、この「自分の案が採用される」ということは、働くモチベーションを向上させることにも繋がります。

【従業員側】転職などを有利に進めやすい

エンプロイアビリティのなかには「雇用される能力」の意味があります。言い方を変えれば、転職・再就職するための能力である、となります。

エンプロイアビリティを高めておけば、よりよい条件の企業や職種に挑戦しやすくなります。特に国家資格などの資格取得をしておくことで、活躍の場や働き方にも幅が生まれてきます。

エンプロイアビリティを高めることは、転職や再就職の力強い味方となるでしょう。

【雇用主側】質の良い従業員に仕事を任せられる

エンプロイアビリティの高い従業員は、非常に質が高く、安心して仕事を任せることができます。

広範囲な視点で仕事をとらえることができるため、トラブルを未然に防ぐことも期待できますし、場合によっては職場をより良くするための提案をしてくれるかもしれません。

このように「能力の高い従業員」を持つことは、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

【雇用主側】業務効率の向上が期待できる

「質の良い従業員に仕事を任せられる」とも少し繋がることではありますが、エンプロイアビリティの高い従業員を育て上げることができれば、今までは複数人で行っていた業務を一人に任せることもできるため、業務効率の向上につながります。

また、雇用する側である企業は人件費を抑えることができますので、取り組みや制度などを整える財源を確保することにも繋がり、更にエンプロイアビリティの高い人材を育成、または獲得の可能性が広がります。

【雇用主側】従業員からの支持を集めやすくなる

現在は、多くの人が「自らのキャリア」を意識して働いています。給与や教育だけに頼るのではなく、向学心を持って自らの能力を高め、さまざまな分野に挑戦し、「自分に合ったスキルアップ・キャリアアップ」を成し遂げようとしています。

このような従業員にとって、「エンプロイアビリティを高めるための制度」を敷いている企業は、非常に好意的に映ります。従業員側が働くモチベーションが高まり、生産効率が上がることも期待できます。また、社内環境が良い企業になれば、質の高い人材を確保しやすくなるでしょう。

このようにエンプロイアビリティを高めることは、従業員側と雇用主側の両方にとってプラスとなるのです。

エンプロイアビリティを高めるためにはどうするか

エンプロイアビリティを高める有用性について知ったところで、ここからは「どうやったらエンプロイアビリティを高められるか」について解説していきます。

雇用主側の取り組みとしては「外部講師によるスキルアップのための講習会を開催する」「どこの段階で、どんな能力が必要か、を明確にして開示する」などが挙げられます。

ただ、会社側がどのような施策を取るかは、その会社ごとで異なります。そのためここでは、主に「従業員(働く)側の立場」に立って、エンプロイアビリティを高めるための方法を考えていきます。

その方法は、以下の3ステップを取ります。
 

  1. まずはキャリアプランの明確化

  2. 現在のニーズを読む

  3. 資格取得やコミュニケーションの見直しなどの「実践」を行う

 
それぞれ解説していきます。

1. まずはキャリアプランの明確化

エンプロイアビリティを高めることは、

「キャリアプランの構成」と密接に関わっています。自分の進みたい方向とはまったく異なるエンプロイアビリティを得たとしても、それをすぐに役立てることは難しいでしょう。

とえば「毎日機械とだけ向き合い、リモートワークで、会社への報告は500文字程度の日報をまとめるだけ」という人が、コミュニケーション技術を向上させるための研修を受けたとしても有効性は薄いといえます。

もちろん、一見関係のないことであっても、将来的には自分の仕事に生きてくる……ということも、ないわけではありません。しかし遠回りになることは避けられないので、まずは自分のキャリアプランを明確にしたうえで、自分が注目すべきエンプロイアビリティは何かを考えていかなければなりません。

2. 現在のニーズを読む

上でも述べたように、「自分のキャリアプランに合ったエンプロイアビリティ」を見極めることは非常に重要です。

相対的エンプロイアビリティは日々進化していますので、最新の情報を確認しておくとよいでしょう。また、情報から現在のニーズを読んでいくことで、「自分が身に着けようとしているエンプロイアビリティに、将来性はあるのか」も併せて考えましょう。

3. 資格取得やコミュニケーションの見直しなどの「実践」を行う

上記の「1」「2」の段階を終えたら、次はいよいよ「実践」です。

資格取得のために動き始めたり、自分のコミュニケーションのあり方の見直しを行ったりしましょう。

人間は、「考える」だけではなく、「実践」をしていくことによって成長していきます。また、会社に補助金などの制度があるのかも確認しておくとよいでしょう。

まとめ

「雇用される能力」「雇用され続ける能力」を意味するエンプロイアビリティを高めることは、雇用する側にとっても雇用される側にとってもメリットが大きいものです。

雇用される側がエンプロイアビリティを高めたいと思ったときには、まずはキャリアプランの見直しを行う必要があります。これを理解したうえで、自分が身に着けるべき能力は何かを洗い出しましょう。時流を把握し、進むべき道が決まったのであれば、資格取得などの行動に移りましょう。

Q&A

エンプロイアビリティとは何ですか?
「エンプロイアビリティ」とは「雇用される能力」「雇用され続ける能力」の事です。具体的には業務に必要な技能や技術や、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーション能力などを指します。
エンプロイアビリティを高めるメリットはありますか
作業効率の向上やモチベーションアップが期待できます。また、エンプロイアビリティを高めることによって、転職や再就職の際に役立つことが期待できます。
エンプロイアビリティの具体例は?
資格や技術はもちろん、無形の知識やコミュニケーション技術も含まれます。
エンプロイアビリティは「電気工事士」「弁護士」「医師」などのように具体的な資格や技術だけにとどまるものではありません。無形の知識や、部下と上司の橋渡しを上手に行える能力などもまた、エンプロイアビリティのうちの一つとカウントされます。
エンプロイアビリティとエンプロイメンタビリティの違いは?
前者は雇用され続ける能力、後者は雇用を支える能力です。
「エンプロイアビリティ」は主に雇用される側を対象とした能力ですが、後者は「雇用を支える能力」を指す言葉です。後者は「雇用される側から見て、働くに値する企業であるかどうか」を測る言葉であるため、エンプロイアビリティとは明確に区別されます。

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