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キャリア - 2025.01.24更新 / 2025.01.22公開
タレントアクイジションとは? 注目される理由やメリット・デメリット、事例を紹介

「タレントアクイジション」は米国を中心に広がった比較的新しい採用活動の手法です。近年は日本でも、「タレントアクイジション局」「タレントアクイジション部」といった部門を設ける企業が増えてきています。
タレントアクイジションとは
タレントアクイジションとは、企業の成長に必要となる優秀な人材を獲得するための、積極的な採用活動を指します。
才能のある人、優れた人を意味する「タレント(talent)」と、入手、獲得を意味する「アクイジション(acquisition)」を掛け合わせた言葉です。
採用活動とタレントアクイジションの違い
従来の採用活動、いわゆる「リクルーティング」と呼ばれる活動は、人員補充を目的とした短期的に行われるものが一般的です。例えば、20名の新卒社員を募集し、補充の必要のある部署に配属させるといったものです。
一方タレントアクイジションは、組織の経営戦略にマッチし、成長に貢献しうる優秀な人材を獲得することを目的とした中長期的な取り組みです。
さらに、人材へのアプローチ方法にも違いがあります。従来の採用活動は、求人募集を出して応募を待つという「受動的」であるのに対し、タレントアクイジションは、求める人材の目に留まるよう、採用ブランディングなどの戦略を練って、理想の人材にアプローチする「能動的」なものになります。
タレントアクイジションが注目される背景
タレントアクイジションを取り入れる企業が増えているのには次のような背景があります。
時代の変化への対応
近年は、グローバル化や技術の発展により、企業間の競争は激しくなっています。
身近な例では、オンラインツールが普及したことで業務内容や業務の進め方、働き方に変化が起こりました。
今後も予測不可能な変化が起こるとされている現代において、時代の変化に対応できる優秀な人材獲得のニーズが高まっているといえるでしょう。
採用競争の激化
日本は、人口減少や少子高齢化により、労働人口の不足が大きな課題になっています。これにより、自ずと、採用競争は激化することになります。
人員を補充する受け身の採用スタイルでは人材獲得が難しくなり、自社のビジョンを明確にし、採用ブランディングを練り、戦略的かつ積極的に取り組む必要性が出てきています。
採用活動のコストの問題
採用活動のコストも無視できない問題です。
現代は転職が当たり前となり、配属先のミスマッチなどから早期に離職するケースが多くあります。そうなると、採用活動に使用したコストは無駄になり、新たにコストをかけて採用活動をする必要が出てきます。
タレントアクイジションは、自社にとって必要な人材を明確にし、その人材に絞ったアプローチを行うため、ミスマッチが減り、長期的な採用コストの削減が期待できます。
タレントアクイジションのメリット
この章では、タレントアクイジションのメリットを紹介します。
優秀な人材を獲得できる
タレントアクイジションは、そもそも、優秀な人材の獲得を目的としているため、組織に必要な能力を持った人材を獲得できることが大きなメリットです。
従来の、人数確保の採用活動とは異なり、自社の経営理念や戦略にマッチした人材であるため、定着率が高くなることも見込めます。
企業の成長を期待できる
企業にとって優秀な人材を継続的に獲得し、定着することで、人材の質は高くなり層が厚くなります。また、経営戦略やビジョンにマッチした人材であるため、戦略の理解が深く、それを部下や周囲に共有する際の質も高くなるでしょう。
戦略への理解が正しく共有されることで、社内のチームワークや生産性が向上し、企業の成長が期待できます。
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では、タレントアクイジションのデメリットにはどのようなものがあるのでしょか。
次の章でくわしくみていきます。
タレントアクイジションのデメリット
担当者の負担増・長期化
タレントアクイジションは、戦略的に行う取り組みのため、その計画や実行に時間や労力を要します。
また、中長期的に継続して行われる取り組みであるため、担当者の負担になる場合があります。これまでの採用活動に加えて新たに取り組む場合は、どの程度の負担が生じるのか明確にし、業務の割り振りを検討する必要があります。
十分なノウハウ獲得に時間がかかる
タレントアクイジションは比較的新しい手法であるため、参考になる成功事例を探すのが難しい場合があります。
期待する人材は企業によって異なるため、タレントアクイジションの実施にあたっては、各企業でPDCAを回し、ノウハウを築く必要があります。うまく回るまでは時間がかかることを念頭に置く必要があるでしょう。
タレントアクイジションの取り組み例
タレントアクイジションの具体的な取り組みにはどのようなものがあるのか、いくつか例をご紹介します。
自社メディアなどのコンテンツを充実させアピールする
経営陣や従業員のインタビュー、自社商品やサービスの価値などを記事にし、自社メディアに掲載する企業が増えています。様々な人材の目に触れる可能性があり、潜在的な求職ニーズに訴えかける効果も期待できます。
SNSの活用
企業がSNSを通じて社外の人材とコミュニケーションを取ることも有効的な施策です。SNSを活用して採用活動を行うことは、ソーシャルリクルーティングとも呼ばれます。SNSは、企業の価値や文化、働き方に興味を持ってくれる人材を、集団として発見しやすい特徴があり、高いマッチング率を期待できます。
リファラル採用
リファラル採用もタレントアクイジションとして注目されているものです。リファラル採用とは、従業員が自社にマッチしそうな人材を紹介し、選考に進んでもらう採用手法です。企業と人材の情報が事前に十分共有された上で、採用に進むため、ミスマッチが起きづらいといえます。
タレントプールリクルーティング
タレントプールリクルーティングとは、自社で活躍してほしい人材像をデータとして蓄えていく(プールする)ことで、中長期的な採用活動につなげる取り組みです。
プールした時点では機会がなかったとしても、将来、期待する人材と出会った際のアプローチにつながります。
まとめ
このページでは、タレントアクイジションについて解説してきました。
採用活動に関する様々な課題が話題に挙がる近年、タレントアクイジションのアプローチは今後も増えていくと予想されます。
現在人事に所属されている方やキャリアコンサルタントの仕事に興味のある方も、知識の一つとして参考にしていただけますと幸いです。
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