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キャリア - 2023.02.07更新 / 2022.11.05公開
【わかりすく解説!】キャリアプランの考え方・立て方
「キャリアプラン」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
現代社会では多くの人が仕事に不安を感じていると言われています。
「キャリア」という言葉が様々な場所で使われるようになり、企業、個人ともに、「キャリア」を強く意識して生きている世の中だと言えます。しかし、「キャリアプラン」は具体的にどう立てるものなのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
このページでは、「キャリアプラン」の考え方と「キャリアプラン」の立て方を、わかりやすく解説いたします。
キャリアプランの考え方
そもそも、キャリアプランとは何なのでしょうか。
この記事にはキャリアに関する言葉が数多く登場しますので。まず初めに、「キャリアプラン」、「キャリア」、そしてキャリアに関係する4つのワードを順番に解説をしていきます。
キャリアプランとは
キャリアプランとは、自分が持つ力を十分に発揮して活躍できるような働き方を明確にしたもの、また、その実現のための行動計画です。
基本的にキャリアプランは個人で立てていきます。キャリアプランの用途は、自身が働くモチベーションを維持するということから、就職活動・転職活動などで他者から判断される材料となることがあります。また、キャリアコンサルタントなどキャリアの専門家へ相談する際も用いられます。
キャリアプランはまず、自身が経験してきたことの棚卸し、そして自身を理解するために自己分析を行うのが一般的です。
キャリア形成の道筋を立てる
自分に何ができるのかを明確にし、何に関心を持っているのかを知ります。そして、自己分析によって関心や強みが明確になれば、目指したいものが見えてくるはずです。
足りないスキルや知識、資格があれば、そのための目標を立てて実行に移していきます。こうして、キャリア形成の道筋を立てることができるのです。
日常で使われている「キャリア」とは
次に「キャリア」とはどういった意味なのでしょうか。厚生労働省では下記のように定義しています。
「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。
「職業能力」との関連で考えると、「職業能力」は「キャリア」を積んだ結果として蓄積されたものであるのに対し、「キャリア」は職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念であるとも言える。
引用:厚生労働省 | 「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
つまりキャリアとは、仕事で得ていくものと、得ていく過程ということです。これは、「就職した」「仕事で成果を出した」「出世した」といった一時的な結果ではなく、継続されていくプロセスであることを示しています。
「キャリア」に関する4つのワード
キャリアデザイン |
プライベートなども含めた人生全般について考えて、どう仕事に関わっていくか未来を構想することです。価値観やライフスタイルなども考慮するため、キャリアプランより広い視点で、また長い視点で考える必要があります。基本的には個人が立てるものです。 |
キャリアパス |
企業と従業員の間で、お互いに理解・認識している成長の道筋です。企業が期待する成長と従業員個人が考える目標をすり合わせ、合意して目指していくものです。企業と個人、両人で立てる計画です。 |
キャリアアップ |
昇進・昇格などで、企業における立場が上がったり、転職などによって環境や経歴が上がることです。 |
キャリアコンサルティング |
専門家が、労働者の職業の選択、職業生活の設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを指します。キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーなどの第三者が行うことです。 |
キャリアプランはなぜ大事?
近年、キャリアプランを持つことが重要視されていますが、なぜキャリアプランは大事なのでしょうか。変化しつつある日本の雇用制度などを交えながら解説していきます。
脱・年功序列・終身雇用制度
これまでの日本では、特徴的な2つの雇用制度を採用する企業が多く存在していました。
年功序列制度
年功序列制度は、勤務年数に応じて昇進、昇格をしていき、給与も上がっていく制度。育成した人材を企業に定着させることを目的として、日本に定着した制度です。
終身雇用制度
終身雇用制度は、新卒で採用した社員を定年まで雇用し続ける制度です。
この2つの制度によって、1955年から1973年の高度経済成長期に日本の企業は発展しました。
しかし、バブル崩壊や急速なグローバル化によって、今までのような雇用制度を維持することが難しくなってきており、既存の社員にかかる人件費が経営を圧迫しかねないという観点から、年功序列制度、終身雇用制度は崩壊しつつあります。
2019年5月13日にトヨタ自動車の豊田会長が
『雇用を維持し、企業にとってもう少しインセンティブが出てこないとなかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか』 |
と会見で述べ、様々なメディアに取り上げられ話題となりました。
企業間競争の激化と技術革新
経済のグローバル化や技術革新が進む中で、企業が労働者に求める能力も変化していきます。
技術革新によって既存の業務が一新され、同じ職業内でも全く新しい業務を担う可能性が出てきます。そのため人員の削減や、規模の縮小などが行われる可能性も高まってきています。
また、少子高齢化が進んでいるため、日本でも年齢や勤務年数にとらわれず、成果を出せる人材が必要となってくるでしょう。
キャリアプランが必要になってきている理由
これからの日本では、年功序列や終身雇用制度を廃止、または採用しないという企業の増加が予想されます。
企業が社員を入社から定年まで、一貫して育成する時代から、個人で自発的な能力開発をする時代になってきていると言えます。
グローバル化、企業間競争の激化で、企業が市場で生き残るためにはよりシビアな選択が必要となっています。こういった厳しい環境の中で必要とされる人材であるためには、自分の強みを持っていなくてはいけません。
常に目標を持ち、自発的に成長していく必要があるのです。そのためにキャリアプランを立てることは非常に有効です。
変化に対応していく力
また、少子高齢化によって人手不足が見込まれる中、一人あたりに求められる仕事の生産性はより高くなっていきます。成果を出し、企業の生産性に貢献できる人材の価値は高まっています。
最新技術の導入によって既存の業務が変化し、求められるスキルも変わってきます。変化にどう対応していくかも、個人が考えていく必要のあることです。
企業や社会に委ねるのではなく、私たち自身でキャリアを考えていく必要に迫られています。能力があれば年齢にとらわれることなく、評価をされる時代になっています。
経済が複雑化、専門化するとともに、個人に求められる知識やスキルにも多様性が求められるようになっていますので、そこで重要になってくるのがキャリアプランというわけです。
キャリアプランを作成するメリット
先に説明した通り、キャリアプランとは、自分が持つ力を十分に発揮し生き生きと活躍できる働き方を明確にしたもの、そしてそれを実現するための行動計画です。
まず、明確な目標を持って仕事に取り組むことは、高いモチベーションにつながります。
自発的なスキルアップにつながる
また、自身で目標を立て取り組むことで、自分に必要なスキルが分かり、自発的なスキルアップの機会を獲得することができます。望まれる人材の変化が激しい環境の中で、強みを持つ働き手は価値が高いといえるでしょう。
さらに、キャリアプランを明確に持っていることで、自身に必要な環境であるかどうかの判断がしやすくなります。
企業と従業員のミスマッチ防止
現在所属している企業・部署が本当に自分に合っているのか考え直したり、これから入社を検討する企業が自分の価値観と合っているのかの判断材料となります。
企業と従業員のミスマッチは、双方にとってデメリットが大きい問題です。あらかじめ立てたキャリアプランと照らして考えることができれば、防ぐことができます。
キャリアプランの立て方
これまでキャリアプランの重要性を説明してきました。ここでは具体的なキャリアプランの立て方の例を説明していきます。
キャリアプランの作成手順
キャリアプランの作成は、過去の棚卸し、自己分析、目標の発見、目標に向けた計画を設定、といった流れで行うことが可能です。
過去の棚卸しでは、自分が経験してきた業務や習得してきたスキルを洗い出します。そして、今の自分にできることを整理します。
自己分析では、これまで熱中した出来事や没頭したことを思い出します。思い出したエピソードの中から、自分が大事にしたいと感じている価値観や、強く関心を抱いていることを探します。また、自分の強み・弱みについても考えていきます。
これからを経て、自分の目指したいものを見つけ出していきます。必要に応じて、その仕事や業界への知識も深めながら目標を発見していきます。
目標が定まったら、今の自分に足りないスキルや知識を明確にし、目標到達するまでの道筋を決めて取り組んでいきます。
思い通りにいかない場合もあるかもしれませんが、明確にされたキャリアプランがあることで、都度振り返って考え直すことが可能です。目標を修正する、立て直すなどして、軌道修正できるのです。
キャリアプラン作成の具体例
キャリアプランの作成のイメージとして、ジョブ・カードが参考になります。厚生労働省「マイジョブ・カード」からキャリア・プランシートやキャリア・プラン作成補助シートをご確認ください。
こちらは「転職を希望している在職者の方(職歴が長い、中高年層の方)への質問」の一部です。
それでは、40代後半、男性のAさんを例にして見ていきましょう。
経験を棚卸しするための質問例
あなたが感じている周囲からの期待について考えてみましょう。
Q |
現在、又はこれまで、上司や職場から、役割上期待されていること、求められている |
A |
私は仕事上(統括力 )、(タイムマネジメント )、(正確性 )が期待されています。 |
Q |
現在、仕事の面において、家族から、期待されていること、求められていることを、 |
A |
私は家庭から(公平性)、(財力 )、(柔軟性 )が期待されています。 |
自己分析するための質問例
あなたの価値観について考えてみましょう。
これまで自分が熱中し、没頭し、ワクワクした経験を思い起こしてみましょう。いくつでも構いません。
Q |
それらのエピソードを参考に、あなたの価値観と思われるものを最大 3つ教えて下さい。 |
A |
私は(専門性の高い仕事へのやりがい )、(経済的豊かさ)、(プライベートの時間)と思っています。 |
Aさんの場合、経済的豊かさよりも専門的な仕事へのやりがいのほうが先に来ています。
このように、自分の意思や価値観は理解しているつもりでも、言語化するのは意外と難しいという方もいるのではないでしょうか。キャリアプランを立てることで、自分の新たな面に気がつくということも多いでしょう。
キャリアプランは自身で立てて活用していくことはもちろん、キャリアコンサルタントといった専門家にキャリアを相談する時にも使うことができます。
今後の目標がなかなか設定できない、目標は立てたけれどそこまでの道筋が設定できない、そういった方はキャリアコンサルタントに相談してみるのもおすすめです。
キャリアコンサルタントについては、こちらの記事で詳しく解説をしています。
「キャリアコンサルタント」とは? 未経験でも国家資格の取得が可能 |
キャリアコンサルタントになる流れはこちらの記事で説明をしています。ぜひ参考にしてみてください。
キャリアコンサルタントになるには? 資格から就職まで |
まとめ
このページでは「キャリアプランとは何か」について解説してきました。目標がないという方や、キャリアについて不安を感じている方には、ぜひ一度、キャリアプランを立ててみることをおすすめします。
これまでの自分の経験をあらためて認識する、自己分析で自分のことを深く知る、そして目標を立てて実行していく、これを行うことで、自分のすべきことが明確になるはずです。
一人で考えていると、どうしても行き詰まってしまう場合もあるかと思います。その場合は、キャリアコンサルタントなどの専門家に相談し、プロの知見を取り入れることも可能です。今回の解説を通して、キャリアへの理解を深めるとともに、自身の将来を描くお力になれましたら幸いです。
Q&A
さらに、転職などを検討している場合には、キャリアプランを立てていれば、あらかじめミスマッチを防ぐことも期待できることから、キャリアプランの作成には様々なメリットがあるといえます。
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