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ハイブリッドワークとは? その意味とメリットを解説

近年は、様々な働き方が受け入れられるようになり、新たな働き方が模索されるようになりました。「ハイブリッドワーク」もまた、そのような働き方のうちのひとつです。
このページでは、「ハイブリッドワークとは何か」「ハイブリッドワークのメリット」「ハイブリッドワークの種類」について解説していきます。
ハイブリッドワークとは、出社勤務とリモートワークを組み合わせた働き方
ハイブリッドワークとは、従来の出社勤務とリモートワークを組み合わせた働き方です。例えば、一人の社員が週に3日出社し、2日在宅で勤務したり、部署ごとに勤務形態を分けたりするケースが挙げられます。
ハイブリッドワークは、リモートワークという働き方が普及したことを背景に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「コロナ」)の流行以降に広く取り入れられるようになりました。リモートワーク自体はコロナ禍以前から存在する働き方であり、その歴史は意外にも古く、50年ほど前にはすでにアメリカで導入されていました。
ハイブリッドワークは、下記に挙げるメリットがあるため、今後も広がっていくことが予想される働き方といえるでしょう。
ハイブリッドワークによる4つのメリット
ハイブリッドワークには、以下の4つのメリットがあります。
- 従業員に多様な働き方を提供できる
- より能力の高い人を雇用しやすくなる
- 災害などの不測の事態に対しても対応力がある
- オフィスを縮小したり、違う使い方ができたりするようになる
それぞれ見ていきましょう。
従業員に多様な働き方を提供できる
ハイブリッドワークは、従業員一人ひとりの事情に合わせた多様な働き方を可能にします。「基本は在宅で仕事に集中したいが、対面でのフィードバックも欲しい」「仕事とプライベートを分けたいので出社したいが、通勤時間を減らして自分の時間を確保したい」「特定の曜日は家庭の都合で出社時間を調整したい」「副業をしている」など、働く人の様々なニーズに応えやすくなります。
つまり、従来の出社型や完全リモートワークでは難しかった働き方を実現できるのが、ハイブリッドワークなのです。
より能力の高い人を雇用しやすくなる
柔軟な働き方や多様な働き方が認められることは、優秀な人材の獲得に繋がります。
優秀な人材はその能力の高さにより、多くの企業からオファーを受けたり、また応募した企業からたくさんの好意的な返事を受け取ったりします。
就職・転職において重要視するものは個々人によって異なりますが、年収だけではなく「働きやすさ」を重視する人は決して少なくありません。多くのオファーがくる優秀な人材は、「この多くのオファーのなかから、より自分が働きやすい企業を選ぼう」と考えます。柔軟な働き方・多様な働き方・従業員のことを考えた働き方のひとつであるハイブリッドワークを提案できる企業は、優秀な人からも就職先に選ばれやすくなるでしょう。また、働きやすさを提供し続けることで、離職率を下げることができます。
アメリカのGallupの調査によると、リモートワーク可能な従業員のうち、32%が完全リモートワーク、59%がハイブリッドワーク、9%が完全出社を希望しています。注目すべきは、完全リモートワークを希望する層がハイブリッドワークよりも27%も低いことです。このデータからも、ハイブリッドワークが今後の主流となる可能性が高いと言えるでしょう。
出典:GALLUP“The Future of Hybrid Work: 5 Key Questions Answered With Data”
災害などの不測の事態に対しても、対応力がある
ハイブリッドワークは、災害などの予期せぬ事態が発生した際にも、事業継続の面で強みを発揮します。
電車などの公共交通機関が止まってしまっても、リモートワークをしている人は家で業務を続けることができます。もちろん、リモートワークが爆発的に広がるきっかけとなったパンデミックの対応としても有効です。
また、一部の人間が出社する会社の場合は取引先などからの緊急の問い合わせにも対応しやすく、業務が滞りにくいというメリットがあります。「完全リモートワークでは対応が不十分になりがちな場面」「全員が出社する従来型の働き方では対応が不十分になりがちな場面」でも、ハイブリッドワークならば柔軟にフレキシブルに対応ができるのは、非常に大きなメリットです。
オフィスを縮小したり、違う使い方ができたりするようになる
場所によって地価は大きく異なりますが、例えば東京都心部の丸の内では、31~50坪の中規模オフィスでも物件によっては1坪あたり5~6万円程度であるとされています。
オフィスコスト削減のためには、地価の低い場所への移転が考えられます。しかし、「営業戦略上、顧客への訴求力が高い丸の内にオフィスを構え続けたい」といった事情も存在するでしょう。
このような企業にとって、ハイブリッドワークは非常に有効な手段となります。ハイブリッドワークの導入により、同時出社人数を減らすことができるため、オフィススペースの縮小が可能となり、結果として賃料などのコストを抑えることができるのです。
さらに、ハイブリッドワークによって人員配置やデスクの数を最適化することで、余剰スペースを従業員の休憩エリアやコミュニケーションスペースとして再活用することも可能です。
ハイブリッドワークにも様々な種類がある~それぞれの特徴について
ここまで、ハイブリッドワークについて解説してきましたが、実際には「ハイブリッドワーク」と一言で言っても、その形態は多岐にわたります。ここでは、ハイブリッドワークの主な種類と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
ハイブリッドワークは、主に以下の3つのタイプに分類できます。
- 従業員区分タイプ
- 企業主導タイプ
- 従業員主導タイプ
順番にみていきましょう。
従業員区分タイプ
「従業員区分タイプ」とは、従業員ごとに勤務スタイルを固定し、明確に区分するハイブリッドワークの形態です。
例えば、「従業員Aは原則リモートワーク」、「従業員Bは原則出社勤務」のように、個々の働き方を事前に決定し、運用します。従業員Aは基本的に出社せず、従業員Bはリモートワークを行わないという前提です。
このタイプのメリットは、業務分担が明確になり、人材管理が容易になることです。リモート勤務者にはオンラインで完結する業務を、出社勤務者には対面で行う方が効率的な業務を割り振ることで、運用上の負担を軽減できます。
一方で、勤務形態の違いによって、情報共有やチーム内の人間関係に隔たりが生じやすいという課題があります。また、「本当はリモートワークを希望していたのに出社勤務になった」といった不満が生じる可能性も考慮する必要があります。
企業主導タイプ
企業主導タイプとは、企業側が出社日とリモートワーク日をあらかじめ指定する方式で、主に以下の2つの運用パターンがあります。
曜日固定型
決まった曜日に出社させ、決まった曜日にリモートワークさせる。
例)月・水・金は出社、火・木はリモートワークといった具合に、曜日ごとに勤務形態を定める。
チーム・部署単位型
課あるいはチームごとに、出社日とリモートワーク日を決める。
例)営業部と経理部は月・水・金に出社、法務部と情報システム部は火・木に出社する/あるいは、情報システム部Aチームは月・水・金に出社し、Bチームは火・木に出社する など。
企業主導タイプのメリットは、企業側がスケジュールを管理しやすく、一定数の従業員が同時に出社するため、従業員区分タイプと比較してコミュニケーションの分断が起こりにくい点です。
ただし、ある程度の人数が同時に出社するため、相応のオフィススペースが必要となり、賃料などのコスト削減効果は限定的になる可能性があります。例えば、部署単位で週に数日出社させる場合、ピーク時のオフィス収容人数を考慮する必要があるため、大幅な縮小には繋がりにくい場合があります。
従業員主導タイプ
従業員主導タイプ(「任意出社型」と呼ぶこともある)とは、従業員が自らの仕事内容から判断して、リモートワークにする日と出社する日を分ける方法です。
従業員にとってもっとも自由度が高い方法であり、「柔軟な働き方を提供していきたい」と考える企業にとっては非常に意義のある選択肢です。また、オフィスの賃貸料を大幅に下げられる可能性もあります。
ただこの方法は管理が大変であるうえ、従業員に「自分で仕事内容を判断する力」「自分で決めて仕事を進めていく力」を求めるものです。そのため、個々の力量や判断力に依存する選択肢でもあります。
まとめ
コロナ以降着目されるようになった「ハイブリッドワーク」は、様々なメリットをもたらしてくれるものです。出社×リモートワークで展開するハイブリッドワークは、今後も多くの企業・従業員に求められる働き方となるでしょう。
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