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サバティカル休暇、「新しいキャリア」に踏み出すために

現在は働き方や学び方の多様化が進み、休養とスキルアップを両立させる新しい選択肢が注目されています。その代表格が「サバティカル休暇」です。
今回は、これからのキャリア支援において知っておきたい「サバティカル休暇」の基礎知識からメリット・デメリット、そしてキャリアコンサルタントとしてどう向き合うべきかについて解説していきます。
「サバティカル休暇」とは
サバティカル休暇とは、「一定期間企業で働き続けてきた人に対して、企業側が付与する長期間の休暇」をいいます。
取得可能な日数は企業や就労規則によって異なりますが、半月~2年(長いところではそれ以上)の休みが付与されます。基本的にはサバティカル休暇期間中は無給であることが一般的ですが、企業によっては有給扱いとしたり、一定の手当を支給したりするケースも見られます。
サバティカル休暇は主にヨーロッパ圏で発展した文化で、1990年ごろから企業への導入が広がりました。日本でも2018年に経済産業省が取り上げるなどしたため、徐々に知名度が上がっています。
サバティカル休暇の歴史と背景
サバティカル休暇の歴史は古く、19世紀にまでさかのぼることができます。アメリカの大学教員を対象とした研究休暇が、現在のサバティカル休暇の基礎となっています。
日本における現状
サバティカル休暇は、「社員1人に対して長い休暇を与える」という制度の性質上、人員に比較的余裕のある大企業の方が導入しやすい傾向にありますが、日本でも働き方の多様化により注目が集まっています。
たとえばANA(※1)では全社員を対象として、留学、自己研鑽、育児・介護など、さまざまな目的で活用できるサバティカル休暇を認めており、2021年4月の導入からの3年間で約390名が利用しました。
※1 出典元:ANAグループ 統合報告書2023
また、LINEヤフー(※2)も勤続10年以上の正社員に対し、キャリアや働き方を見つめなおすことで、さらなる成長につながることを目的として、2〜3か月の休暇を付与しています。
※2 出典元:LINEヤフー株式会社 公式サイト 「働く環境」ページ

サバティカル休暇のメリット3つと、デメリット2つ
サバティカル休暇には、メリットとデメリットがあります。それについて見ていきましょう。
サバティカル休暇は「キャリアアップ」を可能にするもの
まずは、サバティカル休暇のメリットから見ていきましょう。
スキルアップに役立つ
「自分の能力を向上させるために資格を取得したい」「プライベートの充実を図るために勉強をしたい」という人は多いのではないでしょうか。近年では特にリカレント教育(社会人になってからの学び直し)の重要さに注目が集まっていることもあり、積極的に学び続けることを選ぶ人も増えています。
ただ、仕事をしながら難関資格に挑戦することは、精神的・時間的・体力的に非常にハードです。小さいお子さんを抱える家庭などでは、さらに難易度が上がります。また、残業をする必要があったり、管理職に就いていたりすると、向学心はあってもなかなか挑戦できないのが実情です。
しかしサバティカル休暇を取得すれば、まとまった勉強時間が手に入ります。単純計算で、「仕事をしていた8時間~10時間」を、毎日の勉強に充てられるのです。
仕事のモチベーションを復活させられる
仕事にやりがいを持っている人であっても、残業が慢性化していたり、仕事の内容がマンネリ化していたりすると、どうしても仕事のモチベーションが落ちてしまいやすいものです。また、家庭を持っている人ならば、「家族とゆっくり過ごせない、仕事にプライベートが侵食されている」と感じることもあるでしょう。
そういう人も、サバティカル休暇を取得することで、一度これらのフラストレーションをリセットすることができます。仕事から離れることで逆に仕事に対してのやる気が引き起こされたり、家族としっかり向き合える時間をとることで気力が満たされたりする可能性が高くなるのです。
自分のキャリアを見直せる
「自分の人生はこれでいいのだろうか」「職場や家庭での立ち位置は、これで良いのだろうか」「転職するのであれば、今が最後の機会なのではないだろうか」という悩みを抱く人は、少なくありません。
特に40代~50代は、自分の人生に疑問を抱くミッドライフクライシス(中年の危機)に直面しやすい世代です。野村総合研究所の調査によれば、40代の42パーセント以上が、50代の54パーセント近くが、このミッドライフクライシスに直面しているといわれています。
毎日ルーティンのように仕事に行き、帰宅後は家事や育児をし、眠りに就くという「忙しいけれど、なんとなく『過ごせてしまう』日々」を送ることで、空虚感を抱く人は少なくありません。
そのときにサバティカル休暇を取得すれば、一度自分のキャリアを冷静な視点で見直すことができます。
自分はこのままこの仕事を続けるべきか、転職するのであればどのような業界がいいのか、続けるのであればどのような資格を取得するべきか、今後どのような方向に進みたいのかを、ゼロから見直す機会をサバティカル休暇は与えてくれるのです。
なお、サバティカル休暇の導入は、離職防止や企業イメージの向上といった、企業側へのメリットも大きい制度です。
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サバティカル休暇を取得する前に確認すべき注意点
サバティカル休暇はメリットが多い一方で、以下の点には留意が必要です。
収入減につながる可能性がある
「サバティカル休暇期間中は、無給か有給か?」は企業によって異なります。たとえばAdobeは「5年勤続につき、15日間のサバティカル休暇を与える。休暇期間中も福利厚生は継続され、本給が支払われる」としていますが、ほかの企業では無給のところもよくあります。
また、期間も企業によって大きく異なります。そのため事前に、「自分の所属している企業のサバティカル休暇の内容」についてしっかり確認しておく必要があります。
目的を決めないと、漫然と過ごして終わる
「何もしない贅沢」を目的とするなら良いのですが、「『何かをしなければ』と思っていたが、結局動き出せず、何もしないままで終わってしまった」ということであれば、サバティカル休暇は無駄なものになってしまいます。
サバティカル休暇を取得する前には、「自分はなぜサバティカル休暇を取得するのか、サバティカル休暇をどう過ごすのか」を主体的に決めておきましょう。
キャリアコンサルタントが「サバティカル休暇」を知っておくべき理由
サバティカル休暇は、まだすべての企業で一般的ではありません。しかし、キャリアコンサルタントとしては、世の中の動きや企業制度の多様化を把握する一環として、この制度の知識を深めておくことが重要です。
中長期的なキャリア形成の視点を持つ
相談者が「今の仕事を一度止めて、学び直しやリフレッシュをしたい」と望んだ際、退職以外の選択肢(休職、サバティカル休暇や教育訓練休暇の有無)などを一緒に確認できる知識があれば、より柔軟な提案が可能になります。
ミッドライフクライシスへの理解
記事内でも触れた通り、40代〜50代の「キャリアの踊り場」にいる相談者に対し、制度の存在を知識として提示することは、相談者の「休み方」に対する視野を広げることにつながります。
相談を受けた際のスタンス
もし、サバティカル休暇の取得前後で相談を受けた場合、キャリコンは「制度の活用を促す」ことよりも、「その時間が相談者のキャリアにとってどのような意味を持つか」を共に考える伴走者としての役割が求められます。
特に企業内キャリアコンサルタントの場合、制度の目的(リフレッシュ後の貢献など)と本人の意向との間でバランスを保つことが求められる難しいケースもあります。まずは「社会にはこうした柔軟な休み方・学び方がある」という知識を自身の引き出しに入れつつ、個別の状況に応じた適切な関わり方を検討していくことが大切です。

まとめ
サバティカル休暇は、「腰を据えた学び」や「人生の再点検」を可能にする貴重な時間です。
キャリアコンサルタントは、「これからの多様なキャリアの形」を支える専門家として、こうした新しい制度の知識をアップデートし続ける必要があります。相談者がより自分らしい道を見つけられるよう、広い視野を持ってアドバイスを行っていきましょう。
Q&A
- Qサバティカル休暇とは何ですか?
- Aサバティカル休暇とは、企業に籍を置いたまま、ある程度長期間の休暇をとることまたその制度をいいます。「長期間」の定義は企業によって異なりますが、半月~2年程度までが目安です。なお、「何年勤続したら与えられるか」も企業によって異なります。
- Q導入している企業は?
- AANA、LINEヤフー、Adobeなどのほか、大学の研究職でも導入事例があります。
- Qサバティカル休暇の注意点は?
- A目的を明確にしないと漫然とした休暇になりがちです。
また、サバティカル休暇は企業によって無給・有給の判断が異なるため、取得前に確認しておく必要があります。
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