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キャリア - 2025.02.12更新 / 2023.05.25公開
自己効力感が成功を左右する? 理由と高める方法を簡単解説

「自分はできる」と思えるかどうか。それが成功に大きな影響を与えることをご存じでしょうか。
この「できる」という感覚は自己効力感(セルフ・エフィカシー)と呼ばれ、仕事や人間関係、健康などのあらゆる場面で重要な役割を果たします。
本記事では自己効力感とは具体的に何なのか、どうすれば高められるのか、そして自己効力感を育む実践的な方法を紹介します。
自己効力感とは何か
自己効力感:セルフエフィカシーとは
自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは、カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した概念で、「自分ならできる」と信じる力のことです。
同じ仕事を任された場合を例にみていくと、
自己効力感が高い人
「自分ならできる。工夫すれば何とかなる。」
自己効力感が低い人
「難しそうだな。失敗するかも…」
このように自己効力感が高いと挑戦する意欲が生まれ、困難を乗り越えやすくなるのです。では、自己効力感はどのように形成されるのでしょうか。
自己効力感を決める4つの要因
自己効力感は、主に4つの要因によって形成されます。
- 過去の成功体験
- 代理経験
- 言語的説得
- 生理的情緒的喚起
1つずつみていきましょう。
成功体験
成功体験は達成経験と言い換えることもできます。
自分自身の力でやり遂げたという体験は自己効力感に影響してきます。困難を乗り越えた、苦手を克服した、うまくやり遂げたという経験は、「自分ならできる」という自信につながるからです。
成功体験の例
初めてのプレゼンでうまく話せた。次のプレゼンも成功できそう。
ポイントは、小さな達成経験を少しずつ積み重ねることです。自分のレベルに合わせて取り組むことが重要です。
代理体験
他者の行動を観察し、あたかも自分がその状況にあるようにイメージする体験です。周囲の成功している人を、ただ「すごい」と眺めるのではなく、どのように取り組んでいるのか観察し、何が成功の要因になっているのか考えます。
このプロセスを踏むと、「これは自分にもできそう」「こういうスキルを身につけてみよう」など、自分の成功につながる具体的なイメージを持てるようになり、自己効力感を高めることができます。
代理体験の例
同僚が営業成績を上げた 。自分もやり方を学べば成果を出せるかも。
注意したいポイントは、他人に起きていることを自分に置き換えてイメージするだけなので、根拠のない自信を生みやすいことです。
自己効力感は、「自分には達成するための能力がある」と認識した上で生まれます。
この認識がなくては、ただ自尊心が高い状態になってしまい、挑戦しても失敗してしまう可能性があります。失敗によって、自己効力感が低くなるという悪循環も避けたいです。
言語的説得
「説得」「ほめられる」「励まされる」といった、他者からの言葉によっても自己効力感は高まります。
何かに取り組む際、「こういう方法でやれば大丈夫」と説明を受けたり 「あなたなら心配ない」と言葉をかけられて、不安が払拭されたという経験を持っている方も多いはずです。人の言葉からも「自分はできる」という認知がつくられるのです。
言語的説得の例
あなたの資料は分かりやすいから、きっといいプレゼンになるよ。
注意したいのは、言語的説得は他人に依存するという点です。
励まされたり、ほめられたりすると自己効力感は高まりますが、批判や叱責を受ければ落ち込みやすくなります。
他者の言葉に左右されてしまうと、批判的な言葉を過度に受け止めてしまい自己効力感が低下する可能性があります。自己効力感を高めるためには、言語的説得だけに頼らず、他の要因とのバランスを考えることが重要です。
生理的・情緒的喚起
何かを行っている時、自分がどのような生理的状態にあるか意識することが、安心や自信につながります。
わかりやすい例として、何かする際に、今自分は緊張しているか、リラックスしているかに注目することです。
生理的・情緒的喚起
大事な会議の前に深呼吸をすると、落ち着いて「やれるかも」と思える。
普段通りであれば、「いつも通りだから大丈夫」と自己効力感は高まるでしょう。反対に、体が震える、汗をかく、思考がまとまらないなど、普段と違うと感じれば、自己効力感は低くなってしまう可能性があります。
ただ、不調は誰もが出くわすことであり、こういった状態も受け入れて対処することで自己効力感を高めることができます。詳しくは「【実践】自己効力感を高める方法」で紹介します。
人は、調子が良いと意識するときは何でもできそうだと感じたり、緊張などを和らげることで自信を取り戻すことができます。
自己効力感の3つのタイプ
自己効力感は3つに分類できるとされています。それぞれ解説します。
自己統制的自己効力感
自己統制的自己効力感とは、自分の行動をコントロールすることができる自己効力感です。
初めて経験することや困難に思える事態に直面しても、「自分にならできるはずだ」と自分を信じて前向きに臨むことができます。
また、失敗したとしても「次はこうしてみよう」と、ポジティブに捉え、新たな行動に移すことができます。
一般的に「自己効力感」という場合、この「自己統制的自己効力感」を指していることが多いです。
社会的自己効力感
社会的自己効力感とは、対人関係の中で発揮される自己効力感です。
家族、友人、同僚など、他者の気持ちを理解し、良い人間関係を築けると自身を信じることができる状態です。
社会的自己効力感が高い場合、他者に共感し、寄りそいやすくなります。
また、関係を築くことが難しい人に対しても、「自分なら仲良くなれるはずだ」と信じて接することができます。結果的に、周囲とトラブルを起こすリスクは少なく、社会の中でうまく過ごしやすい人になることができます。
社会的自己効力感は、特に乳児期から児童期の社会性が発達する時期に最も発達し、成長した後も保たれるとされています。
学業的自己効力感
学業的自己効力感とは、学業に対する自己効力感です。
良い成績を収める、受験で成功するなど、学業で成果を出した人は高まりやすいとされています。
また、高い学力を持っているほど自己効力感も高くなり、自己効力感が高いと学業に対する満足度も高いことがわかっています。この2つは強い相関関係にあるのです。
学業的自己効力感は、学生のうちだけ働くものではありません。社会人になってからも、新しいスキルや知識を習得する必要があります。
過去に学業で成功体験がある人、つまり、学業的自己効力感の高い人は、そのような場面でも「自分ならば習得できる」と自信を持って取り組むことができます。こういった姿勢は、仕事の成果ややりがいにもつながっていきます。
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自己効力感と自己肯定感の違いとは
自己効力感を形成する要因やタイプ別のメリットが理解できると、「自己効力感」と混同され、似たような言葉である「自己肯定感」との違いが気になってきますよね。
「自己肯定感」は心理学の用語で「self esteem」と訳され、「自己効力感(self efficacy)」とは異なりますが、「自己肯定感」が自分を肯定する”感情”であるのに対し、「自己効力感」は自分の能力の”認知”を前提にしています。
「自己肯定感」の高さは自分が能力を持っているかどうか、また能力の有無を判断しているかどうかに必ずしも関係する訳ではなく、無条件に自分を信じることができる感情と言い換えられます。対して「自己効力感」は、目標達成のための能力を自分が持っていると認識して初めて高まるものです。
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自己効力感が重視される理由
自己効力感は単なる「自信」ではなく、実際の行動や成果に大きく影響を与えるため、ビジネス、教育、健康、社会生活など多くの分野で重要視されています。
特にビジネスでは、自己効力感の高さが 仕事の成果・成長・人間関係 に直結するため、不可欠な要素です。主体的に行動し、成果を出し続けるためにも、自己効力感を高めることが求められます。
- 「自分なら解決策を見つけられる」と考える人は問題が発生しても冷静に対応し、工夫を重ねる。
- 「努力すればできる」と思う人はスキルアップを続ける。
- 締切間近のプロジェクトで、「もう無理」と焦るのではなく、「優先順位をつければ間に合う」と考えられる。
- 「相手のニーズを引き出せば大丈夫」と考えるほうが商談が成功しやすい。
このようにビジネスにおいて自己効力感は「主体的に動ける力」ともいえるでしょう。
まとめ
自己効力感を高めることで、目標や困難に前向きに挑戦でき、成功しやすいサイクルを生み出すことができます。本記事が、皆様が様々な場面で活躍するお役に立てましたら幸いです。
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