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MENTAL HEALTH - 2021.12.29
ハビットマインド(習慣思考)のすすめ 第12回 「メンタルヘルスリテラシーの重要性とは」

この記事を書いた方のご紹介
水口明子(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)
リカレント メンタルヘルススクール専任講師
精神保健福祉士/公認心理師
20年以上サービス業に従事。その後、精神保健福祉士や資格を取得し、対人援助職に従事。
2019年に、ハビットマインドKOKOLOを開業。小学館の「Suits woman」において「ハビットマインド診断」を連載中。医療、福祉、学校、産業分野においての幅広い経験値をもとに活動している。
「メンタルヘルスリテラシーの重要性とは」
2021年は皆さんにとってどのような年だったでしょうか?
年末を迎えるこの時期に1年を振り返るかえることも大切かと思います。
リカレントメンタルヘルススクール専任講師の水口明子です。
今回は皆さんがあまりご存じでない言葉かもしれませんが、
“メンタルヘルスリテラシー”という言葉を取り上げてみたいと思います。
ヘルスリテラシーとは?
そもそもリテラシーとは「読解記述力」を指し、読み書き能力,識字力のことであるといわれています。
もっとわかりやすく言うと、「膨大な情報の中から適切な情報を抜き出し、活用する能力」であるともいわれています。
ヘルスリテラシーという言葉は、ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
WHOの基準では「ヘルスリテラシーは、健康を増ヘルスリテラシーとは?進し、維持するための方法で、情報へのアクセスを獲得し、理解し、情報を活用するための個人の動機と能力を規定する、認知的、社会的技能を表わす」と定義されています。
参考資料:中山和弘、田口良, ヘルスリテラシーとは, Health Literacy 健康を決める力
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/communication/c01/01.html
メンタルヘルスリテラシーとは?
リテラシーにも、様々なものがある中で、メンタルヘルスリテラシー(MHL)という考え方もあります。
これは、アンソニー・フランシス・ヨーム(Jorn,A.F 1951年生まれ、心理学、精神医学、老年学の分野で貢献したオーストラリアの研究者)によって提唱された概念であり、
「精神疾患に関する知識や、理解をして、病気の認知や管理、そして予防に役立つようなものをさす」とされています。(1977)。
心の不調/病気も他の病気と同様、出来るだけ早期に不調に気づくことにより、発症を防ぎ、
また回復に繋げることが大切です。
厚生労働省も、労働者へのメンタルヘルス不調に対する取り組みとして、一次予防、二次予防、三次予防の考え方を提唱しています。
参考資料:
厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html
メンタルヘルス不調を未然に防ぐ3つの予防のステップ
一次予防とはメンタルヘルス不調を未然に防ぐことを意味し、
ストレスチェック制度は一次予防を目的として行われています。
二次予防ではメンタルヘルス不調を早期に発見して治療につなげるなど適切な対応をすることを意味します。
三次予防では主に休職した労働者の職場復帰支援、復帰後のフォローアップを行います。
しかし、まだまだ多くの方は、心に「不調や病気」が存在し、それを予防するにはどうしたらいいか?具体的にどのような兆候や症状が現れるのか、実際に不調になったうえで、どのような支援があるのかなど、断片的には知っていても、体系立てて、学んだことがないのが現状だと思います。
心の不調/病気の予防と早期発見、早期対応をするには、兆候や症状、特徴と適切な対応方法の正しい知識と理解、
つまりメンタルヘルスリテラシーを心の不調/病気が起こる前にしっかりと学んでおくことが重要なのです。
日本における五大疾病とは
日本においては、2011年まで四大疾患といわれていたもの(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に加えて、
精神疾患が加わり、五大疾病とする方針を示しています。
特に職場でのうつ病や、高齢化に伴う認知症などの患者数が年々増加していくことを踏まえて、対策が必要であるとされた経緯があるのをご存じでしょうか?
この5つの疾病は、日本人が一生のうちで、罹患する人数が多いことを意味しています。
しかしながら、まだまだ精神疾患については、現状としてオープンにすることを躊躇される方が多いと思います。
まだまだ偏見や差別を受けるのではないかという恐れが強いともいえるかもしれません。
学んでおくと役に立つもの
ここでEAPメンタルヘルスカウンセラーを目指す皆さんが学んでおくと役に立つものを紹介します。
EAPメンタルヘルスカウンセラーは、心理学、心理療法、カウンセリングの技術の学びははもちろんですが、
メンタルヘルスの理解も深めていきます。
ストレスのメカニズムや、ストレスが心身に及ぼす影響、健康障害のメカニズム、ストレスの対処方法、
またストレスの原因となる環境要因、その改善方法、専門相談機関の種類と、連携の仕方などを学んでおくことは、皆さんがカウンセラーになった際に必ず役に立つことでしょう。
カウンセリングにおいては、クライエントの方々は、悩みを相談にいらっしゃいます。その状態は決していい状態ではありません。
カウンセラーと話すことで、自分自身で解決に結び付けていかれる方もたくさんいらっしゃいますが、
一方で心身の状態をかなり崩されている方も私は数多く見てきました。
そのようなときには、カウンセリングを続行するではなく、クライエントの方の状態を把握し、適切な専門家へと繋いでいくことが、大切なことなのです。
個人への効果から支援につながり、相互扶助の社会へと寄与する
メンタルヘルスリテラシーは、その人自身の対処能力(ストレスコーピング)や健康で快適な生活だけでなく、
周りの人への支援にも繋がり、相互に助け合う社会の創造にも寄与すると期待されています。
まずは、EAPメンタルヘルスカウンセラーをはじめとするカウンセラーが、メンタルヘルスリテラシーを理解することが大切です。
予防という観点で、実践していくことで、精神的健康を維持しつつ、カウンセリングにも活かしていくことが求められているのではないでしょうか?
まとめ
「ハビットマインド(習慣思考)のすすめ」第12回は「メンタルヘルスリテラシーの重要性とは?」をテーマに語っていただきました。
これからカウンセラーを目指す皆さんは、メンタルヘルスリテラシーを理解することが必要だということが良く分かったのではないでしょうか。
次回のコラムもぜひ楽しみにしていてくださいね。
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