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MENTAL HEALTH - 2023.08.18
ハビットマインド(習慣思考)のすすめ 第10回 「人を幸せにするものとは」
この記事を書いた方のご紹介
水口明子(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)
リカレント メンタルヘルススクール専任講師
精神保健福祉士/公認心理師
20年以上サービス業に従事。その後、精神保健福祉士や資格を取得し、対人援助職に従事。
2019年に、ハビットマインドKOKOLOを開業。小学館の「Suits woman」において「ハビットマインド診断」を連載中。医療、福祉、学校、産業分野においての幅広い経験値をもとに活動している。
近年は、様々なところでメンタルヘルスの重要性をとりあげられ、心と身体のメンテナンスが、いかに大切かということを感じられている方も多いのではないでしょうか?
今回は「人を幸せにするものとは」をテーマにお話をしていきます。
皆さんはTEDという団体をご存じでしょうか?
NHKでは「スーパープレゼンテーション」という番組で紹介をされていました。私はこの番組が好きでよく見ておりましたが、その中でも非常に興味深く、かつ印象に残っているものがあります。
今回のコラムではその内容を紹介しつつ、我々がカウンセリングを行う上でどのようなスタンスでクライエントと向き合うかを考察していきたいと思います。
人間関係に関して 3つの大きな教訓とは
史上最も長期間にわたり、人を追跡研究している「ハーバード成人発達研究」では、「75年間724人の男性を追跡し、休むことなく、仕事や家庭生活、健康などを記録」しています。
その目的は、「人々の10代から老年までを追い、幸福と健康の持続に本当に何が必要なのかを探索」することにありました。
参考)TED日本語 -ロバート・ウォールディンガー: 人生を幸せにするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から
75年に渡る研究からはっきりと分かった事は、それは富でも名声でも、無我夢中で働く事でもなくて、“私たちを健康に幸福にするのは、良い人間関係に尽きる” という事だったと結論付けたのです。この人間関係に関して、3つの大きな教訓があったといっています。
1.周りとの繋がりがあることは、健康に本当に良い
1つ目は「周りとの繋がりがあることは、健康に本当に良い」ということ。
孤独は命取りで、家族・友達・コミュニティと、よく繋がっている人ほど幸せで健康。繋がりの少ない人より長生きするという事がこの研究でわかりました。
ここで重大な事は、友人の数だけがものをいうのではなく、生涯を共にする相手の有無でもないということです。
2.身近な人達との関係の質
2つ目に重要なのは「身近な人達との関係の質」だそうです。
争いの真っただ中で暮らすのは、健康に悪い事が分かっています。逆に愛情のある良い関係は、人を保護する役割があるということなのです。
親密な良い関係がクッションとなり、年齢を重ねていく中での様々な問題を和らげてくれているともいっています。
3.良い関係は身体の健康だけでなく脳をも守ってくれる
3つ目に大切なことは「良い関係は身体の健康だけでなく脳をも守ってくれる」ということです。
堅固な良い関係をしっかりと高齢になるまで持ち続けられた人は、その関係性に守られています。よって、そういう関係を持つ人は、 何かあった時に本当に頼れる人がいると感じていることが心の安心につながり、ストレスから身を守られているのかもしれません。
人間関係とは複雑に絡みあうものであり、家族や友達との関係をうまく維持して行くのは至難の業です。75年間に渡る研究で、定年退職後一番幸福な人は、仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人達ということでした。
この研究の成果を、皆さんはどのように感じられたでしょうか?
私が重要だと感じたキーワードは
・ 孤独は命取りであり、家族・友達・コミュニティと、繋がること |
・ 友人の数だけがものをいうのではなく、生涯を共にする相手の有無でもないということ |
・ 愛情のある良い関係を作ること |
・ 新しい仲間を自ら進んで作ること |
ということでした。
そして、過去を悔んだり、未来をいたずらに不安がることなく、今の自分の周りを見渡し、繋がりのある人との関係性を良好に保つこと、さらに、新たな人との出会いに向けて、行動をしていくかがいかに大切かということでした。
カウンセラーとして、クライエントと向き合う上で大切な観点とは
人が生きていく中で悩みはつきものです。私たちカウンセラーはそのような方々の悩みをお聴きすることで、クライエントが、自らの力で考えて行動されていくことへのお手伝いをする仕事であると考えます。
カウンセリングを通じて、クライエントが自らの心身の健康を取り戻していくことは、カウンセラーにとっても喜びであるでしょう。
繋がっていること、よい関係性を築くこと、そして、その関係性を継続できること、これは、カウンセラーにとっても重要なことであると感じさせてくれた内容でした。
私たちカウンセラーも、自分自身の今までの人間関係性を考察してみてはいかがでしょうか?
まとめ
「ハビットマインド(習慣思考)のすすめ」第10回は「人を幸せにするものとは」をテーマに語っていただきました。
カウンセラーを目指す皆さんは、普段から人と人とのつながりの大切さを感じている方が多いのではないかと思いますが、このコラムを読むことで、改めて家族や友人、コミュニティとつながることや愛情のある良い関係を作ることが人生の中で大切なんだなと思われたのではないでしょうか。
次回のコラムもぜひ楽しみにしていてくださいね。
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