カウンセラーPress Counselor Press

カウンセラーの世界が広がる、
リアルなコラムや役立つ情報が多彩に

MENTAL HEALTH - 2021.01.15

精神科医Dr.KSの診察室⑩「鬼滅の刃 炎柱のレンゴクさんの魅力を心理学の視点から解説」

この記事を書いた方のご紹介

Dr.KS

精神科医/日本医師会産業医/臨床心理士/法政大学産業医・学生相談室学校医/渋谷もりやクリニック/神奈川大学人間科学部特任准教授

精神分析学派のもと、卓越した理論とサイコセラピー技術を融合させた独自の臨床観と高度な専門性を持つ。産業から医療、教育と多領域で活躍。精神科医であり臨床心理士、特任准教授として大学で教鞭もとるマルチなドクター。大手ファーストフード、輸入バッグ企業ほか6社もの産業医を務める。

精神科医Dr.KSの診察室⑩「鬼滅の刃 炎柱のレンゴクさんの魅力を心理学の視点から解説」

今回の精神科医Dr.KSの診察室では、今話題になっている鬼滅の刃の炎柱レンゴクさんを取り上げます。なぜ炎柱レンゴクさんは、こんなに多くの方を惹き付けるのか、心理学用語を参照しながら解説します。

300億円超えの男として、最近話題になっている人がいますね。鬼滅の刃、炎柱のレンゴクさんです。名前の通り実に熱い男ですが、見ている人たちの心に火を着けてくれるようです。マンガでストーリーは知っていても、好きな人はまた映画館に足を運びたくなるようですね。こんなに多くの人を惹き付ける彼の魅力は何なのだろうと考えてみたくなりました。

とにかく、セリフがカッコいい。セリフがカッコいいというのは、人々の心に響くものがある、人々の心に普遍的に共鳴する要素があるということでしょう。それらについて心理学用語を参照して、いくつか抽出してみたいと思います。

心に響く言葉1.

「俺は俺の責務を全うする!!」

吞んだくれてルサンチマンな父親を恨まず、自分のやれることに責任を果たす、ある力を授けられた自分がなすべきことを知っており、その責務を果たす姿がカッコイイ。一所懸命という言葉がありますが、誰にとっても、今、ここで自分がやらなければならないことをはっきり自覚していて、それを自分の責務と引き受け、真摯に取り組んでいく姿には、心打たれるものはあるのではないでしょうか。

たとえ、自分の置かれた立場や処遇が満足のいくものでなくとも、理不尽で、不利な状況であったとしても、この姿勢を保てるのなら尚更カッコイイです。心理学用語でいうと、『アイデンティティ確立』と言うでしょうか。逆境、理不尽、不遇などには切り崩されない、健やかなアイデンティティです。それ故の格好良さと言えるでしょう。父親が呑んだくれて自分のやることをけなしても、いつくしんでくれた母親を早くに亡くしても…。

私は、「不条理であり、不平等であることが、世界の本来の姿である」という観点を持っています。「そこに平等と公平さを、懸命に見つけようとして、あるように構成して考えているのが、人の姿である。人の理念とは別に、不条理と不平等は存在し続けるであろう」と。

ここを越えたところに、己のアイデンティティの焦点を結べているから、炎柱レンゴクさんは、見ている我々にとってとてつもなくヒーローなのだと思います。
だって、皆、理不尽だと思うことや、納得のいかないことでも、頑張っているからね。

心に響く言葉2.

「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。老いるからこそ死ぬからこそ、堪らなく愛おしく尊いのだ」

敵の鬼にも一目で評価された「至高の領域に使い」剣術を持つレンゴクさんは、限りある生命の儚さを知り、それゆえ愛おしいと感じる感性を持っています。
その背景には、やはり母親の存在が欠かせないでしょう。
生命の儚さと愛おしさを想うのには、亡き母への想いがありそうですね。心のなかに居てくれる今は亡き母親像です。これを心理学用語で、内的対象表象といいます。
自分の心の中にいるイメージ像で、時には自分の行動を戒め行動を決める指針になったり、時には不安な気持ちを慰め落ち着かせてくれたりなど、知らず知らずのうちに、ひとりでいても心のバランスを調整してくれる機能を果たしています。

レンゴクさんのカッコいいポイントは、自分の責務を果たし切った後で、「俺はちゃんとやれただろうか。やるべきこと果たすべきことを全うできましたか?」と亡き母親に自分の行動のあり様を尋ね、結果、認められたこと。
これが逆になっていたら、実はカッコ悪い。つまり、誰かに褒めてもられたいから認められたいから、責務を果たすという順番だとしたら、やったことは同じでも、案外カッコウ悪いものです。

心理学用語では、『内発性動機づけ』、『外発性動機づけ』と言いますね。
褒められるから行動するのは、外発性動機づけによって動かされている状態、自分の信念に基づいて行動するのが、内発的動機づけによって動いている状態です。見ている人の心を動かす力が強い行動は、後者ですよね。

ただ、家庭を守ることも、仕事で成果を出すことも、世界平和のための運動も、そこで生じる高揚感を伴った嬉しい気持ちを丁寧に辿っていけば、
幼い頃、砂山を高く作った時、両親に目を丸くして褒められたときの気持ちと同じだと気付くことがあるかも知れません。
我々の心の中には、知らず知らずに、気持ちの糸によって幾重にも積み重ねられた記憶がひとつひとつ束ねられているものです
。それゆえ、レンゴクさんの活躍を最後まで見た我々は、皆涙するのではないでしょうか。皆が、大人になった今でも、言って欲しいことを、亡き母が言ってくれたシーンで。「立派にできましたよ」と…。

心に響く言葉3.

「柱ならば、後輩の盾となるのは当然だ…(中略)若い芽は摘ませない(中略)…もっともっと成長しろ。そして今度は君たちが鬼殺隊を支える柱となるのだ。俺は信じる」

自分が倒れる直前に見せた、若い者の力を信じ、想いを託す姿勢。引き際が潔くてカッコイイ。
次の世代を育て任せられる能力でもあり、レンゴクさんは自らが手本となって、若い者たちに進むべき道しるべを指し示しています。
これは心理学用語では、『生成継承性』というもので、大人になったら、若い世代に教え導いていくという人生において果たすべき発達課題のひとつですね。
レンゴクさんのように、有言実行であるからこそ、しっかりと伝えられることがある。見ている我々の心にも、まっすぐ射抜いてくるものがありますね。

どれもこれも、マネできるならマネしてみたい、目指してみたい理想のあり方で、見たものの気持ちを奮い立たせてくれるのではないでしょうか。
このようにレンゴクさんのカッコイイ生き様が、何度も映画館に足を運びたくなる理由のひとつなのかな、と想像しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の精神科医Dr.KSの診察室⑩では、今話題になっている鬼滅の刃の炎柱レンゴクさんを心理学の視点から取り上げました。なぜ炎柱レンゴクさんは、こんなに多くの方を惹き付けるのか、その理由に納得された方も多いのではないでしょうか。
話題のストーリーも心理学的な視点で見るのもおもしろいですね。

精神科医Dr.KSの診察室では皆さんからの悩みや質問、このコーナーで取り上げてほしい内容などをお待ちしております。

Information

初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには

リカレントはカウンセリングスクールとして、初心者から「キャリアコンサルタント」を育成する『リカレントキャリアデザインスクール』と、日本で初めての「EAPメンタルヘルスカウンセラー」、「EAPコンサルタント」を育成する『リカレントメンタルヘルススクール』を運営しています。

初心者からカウンセリングスキルを学んでみたい方、カウンセラーになりたい方、メンタルヘルスケアを学びたい方、国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得したい方など、対人支援の資格とスキルを取得してみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。

パンフレットは2,3日中にお手元に無料でお届けします。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

RECOMMENDおすすめ記事

FEATURE特集

人気講師の対談や専門知識など、
役立つ情報が満載!

MoreView
↑