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MENTAL HEALTH - 2022.12.12
メンタルケアPLUS 第6回「メンタルヘルス セルフケア編ーメタボと生活習慣」
コロナ禍による外出自粛やテレワークの推奨をきっかけに、公私ともに自宅で過ごす時間が以前より増えた方は多いのではないでしょうか。
テレワークで時間を有意義に使える、など良い面もありますが、ウツウツと沈み気味だったり、イライラが募ったりと、スッキリしない日々を過ごしている人も多いかもしれません。つい飲みすぎ食べすぎになってしまったり、一日中ゴロゴロしてしまったりして、「なんだか太ってきたな…」という声もよく聞こえてきます。
そこで気になるのは、やはり「メタボ」です。
健康診断などで「メタボ」を指摘されると、そこから「生活習慣病」へと身体の健康が悪化していかないように注意が払われていきますが、実はこの問題は身体の健康ばかりでなく、メンタルヘルスにも深く関係しています。そこで今回はメタボと生活習慣、そしてメンタルヘルスとの関連について考えてみたいと思います。
「メタボ」とは?
よく知られている通り「メタボリックシンドローム」のことですが、これが何を指しているのか、念のために診断基準を確認しておきましょう。
診断基準
[内臓脂肪の蓄積(ウエスト周囲:男性85cm以上、女性:90cm以上)]
これに加えて、
[脂質異常(中性脂肪150mg/dl以上、またはHDLコレステロール40mg/dl未満)]
[高血圧(収縮期:130mmHg以上または拡張期 85mmHg以上)]
[高血糖(空腹時血糖110mg/dl以上]
この3項目のうち2つ以上に該当すると、いわゆる「メタボ」とされます。
これらが悪化していくことで、糖尿病、動脈硬化、脂質異常症といった「生活習慣病」が発症するのを未然に防いでいこうと考えているわけですね。
「メタボ」は代謝の異常
ちなみに、日常的に「ちょっとメタボ気味」などというと、「ちょっと太り気味」という意味で用いていることが多いのではないかと思います。ですが「メタボリック」という言葉に肥満という意味はなく、日本語では「代謝」という意味になります。つまり、「メタボリックシンドローム」というのは、「代謝の異常によって引き起こされるさまざまな症状」ということをあらわしているわけです。
うつ病になった人には「メタボ」が多い
これは2018年に日本の国立精神・神経医療研究センターの研究グループによって発表されました。
インターネットによって、約12000人を対象に大規模調査を行ったところ、「うつ病になったことがある」という人が1000人ほど含まれていたそうです。
そこで、これまでうつ病になったことがある人と、そうでない人を比較したところ、うつ病になった人の中には糖尿病や異質異常症あるいは肥満の人が多かったというのです。
生活習慣が乱れてメタボになったから、うつ病になってしまったのか?
うつ病によって生活習慣が乱れたから、メタボになってしまったのか?
そこまではっきりと言えるわけではありませんが、いずれにしても、メタボという健康問題は体の問題だけではなく、メンタルヘルスの問題とも無関係ではなさそうだということです。
うつ病の人は食生活や運動習慣も乱れ気味
この調査では食生活や運動の習慣についても質問しているのですが、うつ病になった人では、間食や夜食の頻度が多く、さらに朝食を抜くことが多いということが明らかになったそうです。また、運動については、やはりうつ病になった人のほうが運動の習慣が少なかったようです。
コロナ禍で在宅時間が多くなった最近の生活では、起床時間が以前よりも遅くなっていたり、家にあるちょっとしたものをつまみ食いすることが多くなったり、暇な時間にゴロゴロしてしまったりしていないでしょうか。
テレワークのため、ぎりぎりまで寝てしまっていて、起きてすぐにパソコンの電源を入れるとか、空いた小腹を満たそうと何回も冷蔵庫をのぞき込むとか、良くないとわかっていても、ついついやってしまいがちですよね。
何か運動をしようと思っても億劫に感じられてしまうとか、なかなか気が乗りにくいということもあるのではないかと思います。
このような生活習慣の乱れが、メンタル不調のリスクも高めてしまっているかもしれないという認識をもつことが、まずは大切だといえるかもしれません。
朝を楽しむ生活習慣を
ひとまず、ここまでの内容をまとめておきましょう。
私たちの健康的な生活を考えるとき、食事、運動、休養のバランスを大切にしながら、規則正しい生活習慣を築いていくことはもっとも基本になります。そしてこのような取り組みは、体の健康を保つだけでなく、心の健康を保つためにも、セルフケアとしてとても大切だということです。
実際にメタボとうつ病は互いに関連があり、生活習慣の乱れがどちらのリスクも高めてしまう可能性があるということはいえるでしょう。
では、具体的に何から始めればよいでしょうか?
朝の楽しみをつくる
ここでは、「朝の楽しみをつくる」ということを提案してみたいと思います。
たとえば、うつ病になった人は朝食を抜くことが多いということから考えると、自分の好きなものや興味のある食材を朝食に取り入れてみて、朝食を一日の中の楽しみにするといった工夫ができるかもしれません。また、ゲームや映画など、娯楽の時間を朝に移して、楽しい時間を過ごしながら朝食をとるのもいいかもしれません。
基本はやはり、生活を朝方にするということです。
「わかっていてもなかなか起きるのがつらい…」という人は多いと思いますが、つらいと感じるほど余計に生活習慣は乱れていくし、心身の好調さが損なわれていく悪循環になってしまいがちです。
自分にとっての楽しい朝とは何だろう?
そんな視点でちょっとした工夫をしてみることが、心身のセルフケアとしてとても大切な変化につなげていけるのではないかと思います。
まとめ
リカレント専任講師の蔵屋先生の連載「メンタルケアPLUS」の第6回では、「メンタルヘルス セルフケア編 –メタボと生活習慣」をテーマにお届けしました。
メタボとうつ病は関連があり、生活習慣の乱れがどちらのリスクも高めてしまうということですが、朝方の生活を送ることが、リスクを下げるヒントになりそうですね。皆さんも今回の記事を参考に、朝の楽しみを見つけて心身のセルフケアにつなげてみてくださいね。
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この記事を書いた方のご紹介
蔵屋鉄平(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)
リカレント メンタルヘルススクール専任講師
公認心理師/精神保健福祉士
東京都内のメンタルクリニックで休職者の復職支援(リワーク)や、復職後のフォローアップ支援に従事している。
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