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MENTAL HEALTH - 2022.12.26

メンタルケアPLUS 第8回「セルフケア編-ストレス反応」

この記事を書いた方のご紹介

蔵屋鉄平(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)

リカレント メンタルヘルススクール専任講師
公認心理師/精神保健福祉士
東京都内のメンタルクリニックで休職者の復職支援(リワーク)や、復職後のフォローアップ支援に従事している。

「ストレス社会」とよばれるようになってから、かなりの年月が経ちました。少しでも暮らしやすい社会へと変わってほしいものですが、近年は新型コロナウィルスの脅威も加わり、ストレス社会はより深刻になったように感じられます。

社会生活がストレスフルであるからこそ、自分自身で自分のことを大切にしたいものですよね。

私たちは日常的に「ストレスがたまる」などと言うことがありますが、これはいったいどのような状態をあらわしているのでしょうか。「ストレスがたまる」という感じはしていても、それについてあらためて考えてみたことは少ないのではないでしょうか。

今回は、私たちが日々感じるストレスという心身の状態の変化について考えてみたいと思います。

さまざまなストレス反応

何らかの不快な刺激(いやな人間関係や仕事、暑さや寒さ、騒音や雑踏など)に直面すると、私たちはさまざまな反応をあらわします。

その反応を身体、心理、行動に分けて考えてみると、たとえば以下のようなものがあります。

身体面の反応:動悸・頭痛・胃痛・嘔気・嘔吐・不眠など
行動面の反応:拒食や過食・怒りが爆発してのけんか・人間関係を避けて孤立するなど
心理面の反応:不安・恐怖・怒り・悲しみ・無気力・集中力低下など

反応の仕方や程度には、もちろん個人差があります。ですが、私たちが「ストレスを感じる」という時には、心身両面にわたって実にさまざまな反応をしていることがわかりますね。

このような状態が解消されずに長く続いてしまうと、メンタル不調へと進展してしまうこともあるため、軽視することはできません。

自分を守るための防御態勢

私たちには、なぜストレス反応というものが生じるのでしょうか?

ストレス反応は身体の機能によって、自動的に引き起こされています。具体的には、瞳孔が開き、心拍は早くなり、唾液分泌や消化の抑制などの変化が起こっています。

実はこの反応、目の前の脅威に対して臨戦態勢を整えているということなのです。

臨戦態勢とは?

臨戦態勢とはどういうことか、やや唐突ですが、野生の草食動物を例にするとイメージしやすいかもしれません。

のんびりと草を食んでいたら、木の陰でこちらを見ている肉食動物の存在に気づきます。そうなると、ゆっくり食事をしている場合ではありません。そのため、唾液の分泌や消化は抑えられます。そして、いつ襲いかかってくるかわからない相手の動きを、わずかでも見逃すわけにはいきませんから、瞳孔は開かれてしっかりと相手を見据えます。もし襲いかかってきたら、全速力でその場から逃げるか、それが無理なら闘わなければならないかもしれません。こうした脅威から身を守るための行動をすばやくとるために、身体が準備状態を整えているのです。

こうした反応を「逃走-闘争反応」とよびます。

つまり、私たちがストレス反応をあらわしているとしたら、それは自分にとっての危険や脅威が迫っていると感じており、それから身を守るための防御反応をとっているということができるのです。

自分の状態に関心を向ける

忙しい日常生活を送っていると、自分の状態に関心を向ける余裕もなくしてしまっていることが少なくありません。

なんとなく「ストレスがたまる」と感じていても、それによって自分にどのような変化が生じているのか、どのようなことから身を守ろうとしているのかを意識する間もなく、日々に流されていってしまうことが多いのではないでしょうか。

こういったことに無関心なままでいると、メンタル不調のリスクを高めることにもなるでしょうし、いざ「ストレス発散」といっても、何をどう対処すればよいのかもわからないままになってしまうかもしれません。

ストレス社会のなかにあっても、自分の心身を健康的に保っていくためには、まず自分自身に関心を向けることが必要ではないでしょうか。つまり、自分と向き合うということですね。

自分との向き合い方にもさまざまな方法があると思いますが、まずは自分で意識すれば始められる簡単なやり方からでよいのではないかと思います。

たとえば、仰向けになって身体の力を抜き、軽く目を閉じてゆっくりとていねいに自分の状態を確認していくということを試してみてください。

首や肩はどうか?
指先はどうか?
腰のあたりはどうか?
足先はどうか?

気にしてみると、力を抜いたつもりでも、意外に力が入ってしまっていたり、力を抜こうにも抜き方が難しかったりするのを感じないでしょうか。

胃の調子はどうか?
頭の痛みや重みはないか?
脈のはやさはどうか?
呼吸は自然にできているか?

気にしてみると、胃がもたれているとか、なぜか脈や呼吸が早くなっているといった状態に気づくのではないでしょうか。

どんな音が聞こえているのか?
どんな匂いがしているのか?
寝転がっている場所の温かさや冷たさはどうか?

気にしてみると、実はいろいろな音や匂いに囲まれているとか、温度を感じていることを発見できるのではないでしょうか。

これなら一人ですぐにできますし、2~3分もあればできることです。こんな簡単な方法でも、自分で気づかなかった自分の状態にかなり気づけると思います。

日々のストレスから一気に解放されるのは難しいかもしれませんが、そんな中でもメンタルヘルスをケアするために、少しの時間だけでも自分に関心を向けてあげてください。

まとめ

リカレント専任講師の蔵屋先生の連載「メンタルケアPLUS」の第8回では、「メンタルヘルス セルフケア編 –ストレス反応」をテーマにお届けしました。
ストレス反応を心理学的な概念からみると、新たな発見もありますね。
皆さんもぜひ参考にしてみてくださいね。

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