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MENTAL HEALTH - 2021.07.27

メンタルケアPLUS 第4回「メンタルヘルス セルフケア編ー睡眠の質と音」

この記事を書いた方のご紹介

蔵屋鉄平(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)

リカレント メンタルヘルススクール専任講師
公認心理師/精神保健福祉士
東京都内のメンタルクリニックで休職者の復職支援(リワーク)や、復職後のフォローアップ支援に従事している。

メンタルケアPLUS ④「メンタルヘルス セルフケア編―睡眠の質と音」

ここまで数回にわたり、セルフケアの基本となる睡眠-覚醒リズムについて考えてきました。良質な睡眠をとるためには、睡眠の生理的背景や、生体がもつリズムを意識して、その本来の性質を損なわないようなライフスタイルにしていくことがもっとも重要です。

今回は生体リズムと直接的に関係するわけではありませんが、睡眠の質に影響する日常的な刺激である「音」について考えてみたいと思います。

睡眠に対する「音」の影響

好きな音楽を聴いたり、テレビ番組を見たりしているときは、流れてくる音を意識的に聴いているといえるでしょう。それらに集中しているときは、よほど大きな音でもしなければ、その他の音はあまり気になりません。
ですが、「どんな音が聞こえるか」を意識してみると、実にさまざまな音が聞こえてくると思います。

室内であれば、空調の音、洗濯機が回る音、家族が水道を使う音などが聞こえてくるのではないでしょうか。
屋外に意識を移してみると、自動車やオートバイの走行音、鳥の鳴き声、風に吹かれて木の葉が擦れる音など、さまざまな音がしているはずです。

このようなさまざまな音は、私たちの睡眠にどのように影響するでしょうか。

環境省が定める騒音基準値によると、住宅地であれば、昼間は55㏈(デシベル)以下、夜間は45㏈以下が望ましいとされています。目安を示しておくと、家庭用エアコンの室外機や換気扇の音が、およそ50㏈といわれています。
影響の程度としては、その音があっても会話はできるが、はっきりとその音が聞こえているような音量です。

眠ろうとするときに、このような音が聞こえていたらどう感じるでしょうか?

睡眠への影響について考えてみると、35㏈以下が望ましいとされており、それ以上になると睡眠に悪影響を与える可能性があるといわれています。とはいっても、音にも種類があり、心地よく感じられたり、耳障りであったりとさまざまです。ですから、影響を物理的な単位だけでまとめるのも難しいところなのですが、一般にあまり好まれない交通騒音であれば、30㏈程度から悪影響を与えるといわれています。30㏈とは「ささやき声」程度ですから、そう考えると、かなり小さな音でも睡眠に悪影響をあたる可能性があるということはいえそうです。

外からやってくる音の影響への対処

交通騒音が30㏈程度から睡眠に影響するといっても、自力で道路を封鎖して交通をストップするわけにはいきません。また、寝室のすぐ外側にエアコンの室外機が設置されている住居もあるでしょうが、好きなように場所を変えるわけにもいきません。
深夜まで騒がしい飲食店が隣にあるかもしれませんし、どうしても深夜にやらざるを得ない工事をしているかもしれません。

睡眠に悪影響をおよぼす、いわゆる「雑音」は、外からやってくることがかなり多く、ほとんどの場合は、それらを自力で直接的に解消することができません。それらにイライラし始めると、心身もリラックスできなくなり、さらに悪循環にはまっていってしまいそうです。

そのような場合は、自分にとって心地よい音楽などを流してみて、「雑音をマスクする」ということが、現実的な工夫になるでしょう。もちろん、心地よい音楽であっても、音量を上げすぎれば覚醒水準を高めてしまうでしょうから、あくまで「雑音が気にならなくなる程度」を自分なりに探してみることが大切です。

静けさが副作用をもたらすこともある

音という物理的な刺激の影響だけを考えると、睡眠にとっては、あるよりはないほうがよいのかもしれません。けれども、実際には「無音」状態が必ずしも快適だとも限りません。

室内があまりに静まり返っていることで、不安感や恐怖心が強くなってしまい、かえって眠れなくなるという人も少なからずいるのではないでしょうか。

例えば、初めて一人暮らしをした場合を考えてみましょう。家族とともに生活していた時は、自分以外が出す生活音に囲まれていました。廊下を歩く足音や、ドアを開け閉めする音、かすかに話し声も聞こえていたかもしれません。けれども、一人暮らしを始めると、それらの生活音が一切、聞こえてきません。それまでは「慣れ」によって気にも留めていなかったさまざまな音です。

その変化に、寂しさや孤独を感じれば、安心して眠りにつくことができなくなってきます。
また、家族がいれば、ちょっとした物音は生活音として気にも留めなかったはずが、一人暮らしになると「するはずのない音」へと変わり、不安や恐怖を煽るかもしれません。

もちろん、家族の生活音が「雑音」に感じられていた人にとっては、やっと静かに眠れるという安心感につながるでしょう。しかし、同じ音でも、人それぞれに感じ方が異なることを意識して、自分にとっての心地よい音環境を工夫してみることが大切です。

心地よい音楽が流れているほうがリラックスできるという人もいるでしょうし、ラジオなどでかすかに人の声が聞こえているほうが安心するという人もいるでしょう。反対に、耳栓などで一切の音を遮断した方が快適な人もいます。いずれにしても、音という物理刺激を無くしていくばかりがスムーズな入眠を促すのではなく、気持ちが落ち着き、安心して眠りにつけるような環境調整のほうが重要であるということです。

人それぞれの心地よさを大切に

実際のところ、私たちの日常生活を、まったくの無音環境にするのはほとんど不可能です。大切なことは、人それぞれに心地よい音、不快な音がさまざまに異なっており、自分にとっての心地よい音がどのようなものかを知ることです。また、それは人の生物学的側面に影響するばかりではなく、心の状態にも影響することを認識して、自分にとっての心地よさを探す工夫が必要です。

あらためて日常生活の音に耳を傾けてみると、これまで意識しなかった音に気づくこともあるかもしれません。それが知らぬ間に悪影響を与えていたという場合もあるでしょうし、逆に安心感をもたらしていたという場合もあるでしょう。

最近では、インターネットを利用すればさまざまな音を取り入れることができます。好きな音楽はもちろんですが、波の音や川が流れる音など、自然環境の音にリラックスするという人も多いようです。

今回は「音」に注目して睡眠への影響を考えてみました。睡眠への影響だけで考えれば、やはりこれまでに述べてきたように、入眠前にリラックスできるかどうかが大切なことです。みなさんの「耳」からのセルフケアも、ぜひ工夫してみてください。

まとめ

リカレント専任講師の蔵屋先生の連載「メンタルケアPLUS」の第4回では、「メンタルヘルス セルフケア編 –睡眠の質と音」をテーマにお届けしました。
皆さんも音を意識して、快適な睡眠を得るための「耳」からのセルフケアもぜひ試してみてくださいね。

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