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自分で積極的に学ぶ~インフォーマル・ラーニングとは

学びは学生だけでなく、社会人にとっても非常に大切なものです。職場における学びには、「インフォーマル・ラーニング」と「フォーマル・ラーニング」というものがあります。
ここのページでは、インフォーマル・ラーニングとは何か、フォーマル・ラーニングとの違い、インフォーマル・ラーニングのメリットについて解説していきます。
インフォーマル・ラーニングとは
インフォーマル・ラーニングとは、「個人が主体となって行う学習およびその学習スタイル」を指す言葉です。
後述するフォーマル・ラーニングが、企業などの組織が主体となって行う「公式」なものであるのに対して、インフォーマル・ラーニングは直訳すると「非公式の学習」となり、自分自身で課題を見つけて勉強に取り組んでいくスタイルを取ります。
社会人の学びの70%を占める
インフォーマル・ラーニングは非常に重要性の高いものであり、社会人の学びにおいては、その大部分を占めるとされています。「ロミンガーの法則」とも呼ばれる「70:20:10の法則」では、スキルの約70%は実務経験などのインフォーマルな学習から、約20%は上司や同僚などの他者との関わりから、そして約10%がフォーマルな学習から得られるとされています。
社会人が主体的に自らの能力を高めていくためには、インフォーマル・ラーニングは必須のものであるといえるでしょう。
インフォーマル・ラーニングの例
インフォーマル・ラーニングの例としては、業務に関する書籍を読んで知識を深める、知らない専門用語をインターネットで調べる、分からないことを上司に質問する、先輩の仕事ぶりを見て技術やノウハウを倣う、などがあります。また、仕事に関連する資格試験に挑戦する、オンラインスクールに参加するといった、比較的計画的な学習も含まれます。
基本的には自分の仕事と関連する分野の勉強を行うのが効率的ですが、今の仕事とは直接的には関係のない学びを生活のなかに取り入れるのもよいでしょう。例えば、「街を歩いている人の服装や行動から流行や社会の動きを感じ取る」のような直接的には仕事に関係ない学びが、新しい視点を与えてくれて、視野が広がり、今までとは違う独創的なアプローチ方法を生み出すきっかけになることもあるからです。
インフォーマル・ラーニングとフォーマル・ラーニングの違い
ここからは、インフォーマル・ラーニングとフォーマル・ラーニングの違いについて解説していきます。
社会人の学習における割合は様々な議論がありますが、前述の「70:20:10の法則」では、インフォーマル・ラーニングが約70%、他者との関わりからの学びが約20%、フォーマル・ラーニングは約10%と考えられています。
インフォーマル・ラーニングは、社会人の学びで大部分を占める自主的な学習となります。
対してフォーマル・ラーニングとは、企業が社員に対して行う講演会や研修などの、強制力を持った学習のことを指します。業務の一環として行われるものであり、多くの場合、団体での受講がメインです。
フォーマル・ラーニングは、専門家によって行われることが前提となっているため効率的であり、また業務の一環で行われるため、社員のプライベートの時間を圧迫しません。
さらに、多くの人で一つの課題に向き合っていくため、連帯感が生まれやすく、社員同士での結束が高くなるというメリットがあります。加えて、「インフォーマル・ラーニングに取り組みたいが、何からやればいいかわからない」「とっかかりが何もない」という人に、「こういうことから学び始めよう」という最初の一歩を提示するきっかけにもなります。
フォーマル・ラーニングは受動的になりやすいというデメリットはあるものの、インフォーマル・ラーニングにはないメリットがあるといえるでしょう。
インフォーマル・ラーニングのメリットを知る
ここからは、インフォーマル・ラーニングのメリットについて解説していきます。
他者との対話や情報共有を通じて人間関係が深まる
インフォーマル・ラーニングは個別に取り組むものではありますが、その過程で出てきた疑問点や得た知識を、上司や同僚、部下と共有したり、議論したりすることで、社内外の人間関係を深めるきっかけにもなります。
このような「対話を通じた学び」や「共同での問題解決」も、広い意味でのインフォーマル・ラーニングの一部と捉えることができるでしょう。また、社外のサークルでインフォーマル・ラーニングに取り組むことによって、そこで新しい人間関係ができることもあります。
このような結びつきは、仕事の成果を上げることに役立ちます。部内での結束が高まれば働きやすくなりますし、他部署の従業員との交流を進められれば、トラブルが起きたときなども対応がしやすくなります。また社外の人とコミュニケーションを取ることで、新しい思い付きが生まれることもあります。
学習へのモチベーションを維持しやすい
インフォーマル・ラーニングは、自分自身の「知りたい」「スキルアップしたい」という意欲や関心を土台として行うものです。そのため、「与えられる教材」に比べて積極的・能動的に取り組みやすいというメリットがあります。学習においてモチベーションを維持することは大きな課題ですが、インフォーマル・ラーニングの場合はこのモチベーションの低下が起こりにくいのです。
また、インフォーマル・ラーニングに取り組むことによって、新しい分野への興味が芽生えることもよくあります。その結果、自分の興味や関心の範囲がさらに広がることもあります。このような興味や関心の広がりは、新たなキャリアの可能性だけでなく、その人がその人自身の人生を楽しみ、活力を持って生きることにもつながります。
自分のペースで取り組める
学生時代に、「授業のペースが早すぎてついていけない…」という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。また、社会人として働くようになってからも、「同僚の学ぶスピードや仕事をマスターしていくスピードが速くて、焦りを感じてしまう」という思いをしたことのある人もいることでしょう。
現在は個々の習熟速度を考慮したうえで、学習や研修プログラムを組む企業も増えていますが、多くの人に対して行うフォーマル・ラーニングの場合は、こうした問題が起きてしまいがちです。一人ひとりにカスタマイズしたプログラムを組もうとすると、どうしても限界があるからです。
しかしインフォーマル・ラーニングの場合は、このような問題が起こりません。インフォーマル・ラーニングは、自分自身の学ぶスピードにあわせて、個人で取り組んでいくものです。そのため、「ここが分からないから、戻って学び直そう」「ここは昔学んだから時間をかけないで、苦手な部分に時間をかけよう」「2年くらいかけてゆっくりと資格に挑戦しよう」などのように、自分のペースに合わせて学んでいくことができます。結婚〜妊娠〜出産のようなライフイベントに合わせて、勉強の進め方を変えられるのもメリットです。
まとめ
インフォーマル・ラーニングとは、だれかに強制されることなく、自発的な意志でもって行う学習およびそのスタイルを指します。ただし、「余暇での過ごし方が結果的に学習につながった」というように、無意識的なインフォーマル・ラーニングも存在します。
このインフォーマル・ラーニングは、自分の意欲・関心を土台にして行うため、モチベーションが保ちやすく、自分の速度で行っていけるのが魅力です。今後のキャリアの選択肢を広げるためにも、積極的に取り組んでみてください。
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監修者
元村 久美子
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてマスコミュニケーションに携わる。
その後フリーランスとして様々な分野で活動。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブ支援、
自治体の就労支援事業の講師・相談員・現場統括責任者を歴任。
現在は文化芸術振興の広報業務にも携わっている。