キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
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「転職相談されやすい人」に共通する5つの特徴と、キャリアコンサルタントという選択肢

「転職についてのアドバイスをよく求められる」「転職について相談されることが多い」という人は、たしかに存在します。
今回は、「転職の相談をされやすい人が持っている特徴」と、そのような特徴を持っている人が自らのスキルを活かすキャリアコンサルタントという働き方・資格について解説していきます。
「転職の相談をされやすい人」には、5つの特徴がある
転職についての相談をされやすい人には、いくつかの特徴があります。
- 相談する人にとって身近な存在である
- 転職の経験者である
- 頼りになる
- 適切な助言ができる
- 秘密を守ることができる
それぞれみていきましょう。
相談する人にとって、身近な存在である
大前提として、転職を考えている人はまず身近な相手を相談相手とします。特に、自分の選択肢によってその相手の生活にまで影響が出ると考えられる場合は、転職を「うっすらと検討している」という段階でも話をするでしょう。
実際に、「転職の相談相手としてだれを選んだか」の1位は「家族」であるという統計があり、全体の34.4パーセントが家族を相談相手に選んでいます。また、2位の「だれにも相談していない」に続き、3位には「友人(16.2パーセント)」がランクインしています。
ただ、4位には「同僚」が入っています。同僚に相談する人も6人〜7人に1人存在し、専門職である「転職エージェント(11.8パーセント)」を超えています。信頼に足る相手であると相手に認識されている場合、「同僚」という立場であっても、専門職以上に相談されやすいことがこのデータからも分かります。
出典: Biz Hits Work「500人が選んだ転職の相談相手ランキング!相談する際に押さえておきたい4つのポイント」
自分自身も転職の経験者である
「百聞は一見にしかず」という言葉は、転職の相談にも当てはまります。
転職を検討している人は、転職経験のある人を相談相手に選び、アドバイスを求める傾向があります。たとえば、「一つの会社でずっと働き続けてきた人」は、現状におおむね満足していることが多く、転職への理解が得にくいのではと感じるのではないでしょうか。
また、そのようなタイプの人に転職の意向を話すと、批判的に見られてしまうのではと、相談するのをためらうケースも見られます。そのため、転職経験がある場合は、相談されやすいといえるでしょう。
特に現在では、転職経験者の割合は正規雇用でも61.2パーセント、非正規雇用では88.7パーセントに達しています。そのため、転職経験者からのアドバイスを受けることも容易な状況にあるため、この傾向が顕著です。
出典:厚生労働省「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」内「第3節転職者の実態」
キャリアプランがしっかりしていて、頼りになる
自身のキャリアプランが明確な人は、転職に悩む人から信頼され、相談相手に選ばれやすいでしょう。
たとえば、「電気工事士一種の資格を35歳までに取得する。また、施工管理技士の資格を取得し、電気工事のスペシャリストになる。45歳では請負業者として独立する」などのしっかりしたキャリアプランがある人です。なおこのときの「しっかりしたキャリアプランを持っている人」は、夢物語などではなく、地に足のついたもので、かつそのための勉強や下地作りをしている人を指します。
このように明確なキャリアステップを語り、その実現に向けて行動している人の場合は、たとえ転職希望者の路線とは違う道を歩んでいても、相談相手に選ばれやすいといえます。なぜなら、現在の自分を把握したうえでそれに基づいたキャリアステップ・ライフプランを描いている人は、どのような業界・どのような職業であっても、そのステップ・プランの構築方法に学ぶべきところがあると判断されるからです。
受け止め→引き出し→助言 ができる
転職に限った話ではありませんが、人からの相談に、受け止め→引き出し→助言 ができる人は頼りにされます。
1.受け止める
「転職を考えている」という言葉に、まずは「そうなんだね、それも選択肢のひとつだね」「今の仕事も楽しくしているように見えたけれど、転職を考える機会があったんだね」などのように返せる
2.引き出す
「なぜ転職を考えているのか聞いてもいい?」「今の仕事で、どのようなところを不満に思っている?」「今現在転職活動はすでに始めている?」「将来的にどのような路線に進もうと思っているのか?」などのように、判断に必要な情報を引き出せる
3.助言する
最後に助言です。
- 「上司との人間関係が一番の悩みで転職を考えているのなら、2月の辞令時期・3月の異動時期まで判断を待ってみたらどう?」
- 「残業が多いことに不満を持っているということだけど、夏の繁忙期を過ぎれば楽になるよ」
- 「転職活動をすでに始めているのならば、キャリアコンサルタントなどの専門家に話を聞いてみるのも良い」
- 「ただ転職したいというだけで、路線を明確に定めていないのであれば失敗する可能性が高いから思いとどまって」
などのようにアドバイスをする、といった具合です。
引き出しでは、単に現状を把握するだけでなく、相談者自身もまだ気づいていない、言語化できていない本質的なニーズや課題まで深く掘り下げて質問することが重要です。
そして助言では、引き出した情報に基づいて、相談者にとってより良い進路を具体的に示したり、的確なアドバイスを行います。たとえ相談者が転職への後押しを求めていても、客観的に見てマイナスが大きいと判断される場合は、しっかりと意見を伝える勇気も必要になります。
これらの引き出しと助言が、相談者に素直に受け入れられるためには、最初の「受け止め」の段階で「否定から入らない」姿勢を貫き、強固な信頼関係を築くことが何よりも大切です。
秘密を守ってくれる
対家族や友人に対して相談する場合とは異なり、同僚などに相談を持ち掛ける人は「この人ならば、会社のほかの人には決してばらさないだろう」「この相談を理由として、自分に不利益となる振る舞いはしないだろう」と確信したうえで相談を持ち掛けています。
なぜなら、「同僚や上司、部下など、会社に関係する人に対して転職の相談をしたことで、立場が悪くなる可能性があること」を社会人の多くは知っているからです。
多くの社会人が懸念するように、会社内で転職の意向が知られれば、立場が悪くなるリスクがあります。「どうせ辞めるのだから、仕事を教えないでおこう」「将来的に転職・退職を考えているのならば、昇進させても無駄だ」「一人で逃げる人と、親しくなる必要はない」などのように不利な扱いをされる可能性があります。このような不当な扱いは、特に「今すぐに辞めることは考えていないが、良いところが見つかったら転職しよう」と考えている人にとっては大きな痛手となります。
こうしたリスクがある中で、同僚や部下などから転職の相談を持ち掛けられるのは、あなたが「秘密を守り、誠実に対応してくれる人物」として、絶大な信頼を寄せられている証拠だといえるでしょう。
「相談される回数が多い」という人は、キャリアコンサルタントに向いている
上記の性質に当てはまる人は、その「相談される能力」を個人的な範囲にとどめず、キャリアコンサルタントとして、プロの場で活かすことを考えてみてはいかがでしょうか。
「相談しやすい雰囲気」は、キャリアコンサルタントにおいて非常に重要なソフトスキル
「相談しやすい雰囲気」を持っていることは、キャリアコンサルタントにとっては必須といえる要素です。
キャリアコンサルタントの初めの仕事として、「悩んでいる人から話を聞き出すこと」があります。この「聞き出し方」にはさまざまな方法論があるのですが、まずは「話しやすい雰囲気」を作れる人ではないと、聞き出し方の技術を発揮できるところまでいきません。
「この人は話しやすそう」という第一印象を抱かせたり、「この人は話を聞いてくれそう」という状態を作り出せたりする人は、キャリアコンサルタントとして一歩先んじているといえます。
現在の状況を客観的に把握できる能力は、迷っている人にとって強い味方となる
転職・就職を考えている人の中には、自分の強みや弱み、現在の業界の状態を正確に把握できていない人も多くいます。特に、前職で心身ともに疲弊している人や、過去に失敗したことのある人はその傾向が大きいでしょう。
このような環境にある人にとって、現在の状況を客観的に把握し、その人の強みや弱みを第三者視点から分析して、進むべき道をいくつか提示できる人は、非常に心強い味方となるでしょう。
自分自身が悩んだ経験のある人は、相手の心も理解しやすい
「一度も失敗したことがなく、すべてを成功に導けてきた人」も、もちろん優秀ですが、「自分自身が失敗した・悩んだ経験がある人」もまた優秀なキャリアコンサルタントとなり得ます。
なぜなら、このような経験を持つ人は、転職に踏み切るための後押しができるだけではなく、転職に悩む人の気持ちに深く寄り添えるからです。
この「寄り添い」は、特に、新しい業界に踏み出そうとする人や、ブラック企業で摩耗している人にとって有用なものとなり得ます。
傾聴+助言 のスキルは、キャリアコンサルタントに必須のスキル
「まずは相手を受け止め、話を深く掘り下げ、助言をする」というフィードバックのやり方は、あらゆる場面で有効です。特に、悩みを聞き出し、希望を引き出すという工程が挟まれるキャリア相談の場面では、これは必要不可欠なものです。
「自分自身では意識していなかったが、自然にこのようにできる」という人にとって、キャリアコンサルタントはまさに適職といえるでしょう。
自分のスキルを、仕事として生かす
「話しやすい雰囲気」「客観的に物事を捉える力」「自身も悩んだ経験から生まれる共感力」、そして「傾聴と助言のスキル」は、あなたが転職の相談相手として選ばれる理由であり、同時にキャリアコンサルタントに適している性質でもあります。
人から転職の相談を受けることが多い人は、キャリアコンサルタントの道を志してみるのもおすすめです。
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Q&A
- Q転職相談をされることが多い人の特徴は?
- A転職についての相談をされやすい人には、頼りになる、適切な助言ができる、秘密を守ることができる、などがあります。
- Q「相談されやすい」という特性は、キャリアコンサルタントの仕事にどう活かせますか?
- Aあなたが持つ「相談されやすい」という特性は、キャリアコンサルタントとして非常に強力な武器になります。具体的には、話しやすい雰囲気で相手の心を開き、本音を引き出す「傾聴力」、そしてその情報に基づいて最適な道を提示する「助言力」として活かせます。自身の転職経験や悩んだ経験は、相談者の気持ちに深く共感し、実践的なサポートをする上で大きな強みとなるでしょう。
- Qキャリアコンサルタントはどんな資格? なるためにはどうしたらいい?
- Aキャリアコンサルタントは国家資格、受験資格は4つある
キャリアコンサルタントはキャリアに関わるアドバイスを行う仕事であり、国家資格です。
受験資格が4つ定められていますが、全くの未経験者であっても、厚生労働省が定める講習を修了すれば受験資格が得られます。 - Qキャリアコンサルタントの収入はどれくらい期待できますか?
- Aキャリアコンサルタントの年収のボリュームゾーンは300万円〜400万円ですが、個人のスキルや営業力、働き方次第で高収入を目指せる可能性があります。
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