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【就職支援】大学でのキャリアコンサルタントの役割

【就職支援】大学でのキャリアコンサルタントの役割

大学で活躍するキャリアコンサルタントがどのような仕事をしているのか、また大学職員との役割の違いについて知りたいと考える方も多いのではないでしょうか。

そこでこのページでは、大学でキャリアコンサルタントとして働きたいと考えているかたに向けて、役割や業務内容、そして働き方や求人状況について解説します。

また大学で働くキャリアコンサルタントと大学職員の違いや、大学でのキャリアコンサルタントに向いている方の特徴にも触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

大学でのキャリアコンサルタントの役割

大学でのキャリアコンサルタントの役割は、なんといっても学生の就職支援です。学生が自己理解と仕事理解を通し、自らのキャリアパスをイメージしやすくするサポートを行っていきます。

学生が自信を持って目標を達成できるよう、就職に係る全般を支援していくのが、キャリアコンサルタントの役割だといえます。

キャリアコンサルタントが行う就職支援

大学によっては教務、総務、経理から運用などの業務を含む場合もあり、就職に係る業務の総合職というような位置づけであることも少なくありませんが、この記事では、キャリアセンターでキャリアコンサルタントが行う業務にスポットを当て解説をしていきます。

キャリアコンサルタントが大学で行う就職支援は大きく分類すると次のようになります。

  1. 就職支援カウンセリング

  2. エントリーシート・履歴書の添削

  3. 面接対策

  4. ビジネスマナー

  5. インターンシップの推進

順番にみていきましょう。

1. 就職支援カウンセリング

就職活動では、学生は様々な悩みに直面します。「何から手をつければ良いか分からない」といった漠然とした不安を抱える学生もいれば、周囲からのプレッシャーに苦しんだり、選考が思うように進まずに落ち込んだりする学生もいます。

また複数の企業から内定を得て、どの企業を選ぶべきか、あるいはどのように辞退を伝えるべきか悩む学生も少なくありません。

このように、就職活動の段階や個々の状況によって抱える悩みは多種多様です。キャリアコンサルタントは、こうした一人ひとりの学生に寄り添い、それぞれの状況に応じた適切なサポートを提供します。

就職支援の拠点「キャリアセンター」

キャリアセンターは、一般的に各キャンパスに設置されており、学生が気軽に相談しやすい環境を提供しています。キャリアコンサルタントは、相談に訪れる学生への個別対応だけでなく、キャリアセンター内の他の職員とも連携し、学生の就職活動を最大限に支援します。

オンラインのキャリアコンサルティングも

近年、多くの大学でオンライン授業が導入されているのに伴い、キャリアコンサルタントによる面談も、対面とオンライン双方での対応が増加しています。

一人で悩みを抱えがちな学生のために、チャット機能を用いたオンラインカウンセリングを実施している大学もあります。受付時間内であれば、就職活動に関する悩みを学生が気軽に相談できるという利点があります。

このように柔軟な方法で就職支援の機会が広がっていく中で、キャリアコンサルタントの役割はますます重要になり、大学で働くキャリアコンサルタントの需要は今後も高まることが期待されます。

2. エントリーシート・履歴書の添削

エントリーシートや履歴書は、就職活動において極めて重要な書類です。

「就職活動で学生の約半数が最初につまずくのがエントリーシート」とも言われるほどで、大学のキャリアコンサルタントにとって、カウンセリングに次いで対応件数が多い業務が、これらの書類添削です。インターンシップ制度を利用する際の申請書類など、関連する書類一式の添削も行います。

エントリーシートの通過率向上

エントリーシートや履歴書の添削は、OB・OGや就職エージェントなども行っています。しかし、個別の添削だけでなく、一貫した就職支援を提供するキャリアコンサルタントに依頼する学生が多い傾向にあります。

まずエントリーシートが選考を通過することが、就職への第一歩です。キャリアコンサルタントによる専門的な添削は、エントリーシートの通過率向上に大きく貢献します。

3. 面接対策

エントリーシート選考を通過すると、次はいよいよ面接対策です。面接では、志望動機、学生時代に力を入れたこと、自己の長所や短所などについて質問されますが、中でも自己アピールは特に重要視される項目の一つです。

自分の強みを知るサポート

学生は企業を選ぶ際、様々な情報を収集してその企業の強みを探ります。同様に、面接では自分自身の強みを企業に効果的に伝えなければなりません。

「自分は何に向いているのだろう」「自分の強みは何だろう」と自問自答する学生は多いですが、客観的な視点からアドバイスを受けることで、自分では気づかなかった強みや可能性を発見できることもあります。ここでキャリアコンサルタントの存在が大きな助けとなります。学生自身が自己理解を深められるよう支援することは、キャリアコンサルタントの重要な役割であり、学生と共にアピールポイントを模索しながら面接対策を進めていきます。

重要なフィードバック

オンラインで面接を行う企業が増えていますが、一次、二次と選考が進むと、最終的には対面での面接となるのが一般的です。そのため、キャリアコンサルタントによる面接対策では、対面とオンライン両方での模擬面接が増えています。

自己理解を深め、自身の強みを面接官にいかに伝えられるかという課題を持つ学生にとって、両形式での模擬面接を通じてキャリアコンサルタントから具体的なフィードバックを得ることは、自信を持って本番に臨むための大きな支えとなるでしょう。

4. ビジネスマナー

ほとんどの学生にとって、就職活動に関わる全ての体験が初めてのことばかりです。特にビジネスマナーは、社会人経験のない学生にとっては、何が正しく何が不適切なのか判断すること自体が難しいものです。面接対策と同様に、従来のビジネスマナーに加え、IT環境やオンライン上でのマナーに関する相談も増加傾向にあります。

一口に大学と言っても、同じ大学内でも学部によって学生が目指す企業は異なります。キャリアコンサルタントは学生一人ひとりの状況に応じて柔軟に対応しますが、学生は就職活動本番前に、会社説明会やインターンシップなどで実際に企業の人と接する機会があります。そのため、ビジネスマナーはできるだけ早い段階から習得しておくことが望ましいでしょう。

ビジネスマナーの基礎

キャリアコンサルタントは、身だしなみ、挨拶、言葉遣い、名刺交換、電話応対といった基本的なビジネスマナーについて、学生と共に実践を通して指導します。

ビジネスマナーの基本は、相手に不快感を与えないことです。「人の第一印象は3秒で決まる」と言われるように、身だしなみは特に重要な要素です。しかし、どれほど身だしなみが完璧でも、挨拶ができなかったり言葉遣いが不適切だったりすれば、面接で良い印象を残すことは困難です。そのため、キャリアコンサルタントは、どれか一つに偏ることなく、社会人としての初歩的なマナー全般を基礎として学生を支援します。

5. インターンシップの推進

インターンシップとは、大学在学中の学生が実際に企業で就業体験をする制度です。近年では、多くの企業が自社のコーポレートサイトや採用サイトを充実させています。

これらのサイトでは、企業理念、社員インタビュー、業績データなど、豊富な情報が提供されており、文字や数値を通じた企業研究に役立ちます。さらに、会社説明会などでは、実際に企業の担当者から詳しい話を聞くことができ、企業のイメージをより具体的に掴むことができるでしょう。

これまでは企業からの情報を受け取ることが中心でしたが、インターンシップでは、学生自身が企業に赴き、実際の業務を体験します。

キャリアプランの具体化と調整

インターンシップは、学生にとって非常に有益な制度です。

プロジェクト形式の短期インターンシップから、実務を深く体験できる長期インターンシップまで、企業によって受け入れ体制は様々です。特に長期インターンシップを導入している企業の中には、企業が求める人物像と学生の能力が合致すれば、それが直接内定に繋がることもあります。そのため、学生にとっては積極的に活用したい制度の一つと言えるでしょう。

キャリアコンサルタントは、インターンシップの開始から終了まで一貫して関わり、学生がこれまで描いてきたキャリアプランの理想と、実体験から得た現実とのすり合わせをサポートします。これは、それまでの就職支援の成果が問われる重要な局面でもあります。

ここまでは大学で働くキャリアコンサルタントの役割や業務について解説をしました。

では次に、キャリアコンサルタント自身の大学での働き方について見ていきましょう。

大学でのキャリアコンサルタントの働き方

大学での働き方には様々なバリエーションがあります。

  • 大学からの直接雇用。キャリアセンターで働く
  • 週2~5日勤務で通年または繁忙期にかけて働く
  • フリーランスで大学からの業務委託という形で働く

上記以外にも、近年は働き方の多様化が進み、在宅勤務やフルリモートでの業務に対応している大学も増えています。

大学の就職支援スケジュールは、多くの場合、月単位で組まれています。キャリアコンサルタントは年間を通じて学生と関わり支援を行いますが、特に個別相談が増加する2月から6月下旬頃が繁忙期となります。

キャリアコンサルタントと大学職員の違いは?

キャリアコンサルタントの仕事に関心を持つ中で、「大学職員」という職種について知った方もいるかもしれません。

大学のキャリアセンターは、一般的に、個別の就職相談、学内セミナーやビジネス関連講座の企画・運営、キャリア形成支援プログラムの提供、卒業生による講演会・シンポジウム・懇談会の開催、インターンシップ制度の運用支援、そして在学生限定で登録・利用可能な、各大学独自の就職支援ウェブサイトの管理など、非常に多岐にわたる業務を担っています。

では、これらの業務において、キャリアコンサルタントと大学職員の役割にはどのような違いがあるのでしょうか。

では、大学職員とキャリアコンサルタントの業務に違いはあるのでしょうか。

フィールドの違い

ざっくり言うと、キャリアコンサルタントは学生の就職支援業務に携わり、基本的に就職支援を行うフィールドのみでの活動である一方、大学職員は大学全体の業務に携わる。という違いがあります。

大学職員は、大学によってはジョブローテーションや転勤などもあります。また、どの部署に配属されても、大学に係る業務に携わることには変わりはありませんので、経理で入社して、次の異動で情報システム部に配属されるということもあり得ますし、逆に財務部から学生課や就職課に異動してきたという方もいるでしょう。

就職支援における専門性とキャリアコンサルタント資格

大学職員には必須の資格というのは特に設けられていませんが、より学生の就職支援に力を入れようと、就職支援を行う部署の職員に、キャリアコンサルタント資格取得を推奨する大学も増加傾向にあります。

大学職員の中には、就職課への異動を機にキャリアコンサルタント資格を取得した、というケースもあるようです。

学生の就職を支援する上で、キャリアコンサルタントは重要な役割を担っているといえるでしょう。

大学のキャリアコンサルタントは求人が少ない?

「大学でキャリアコンサルタントとして働きたいけれど、求人がなかなか見つからない。もしかして求人数自体が少ないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。

この背景には、キャリアコンサルタントが「名称独占資格」であることが大きく影響しています。「名称独占資格」というと難しく聞こえるかもしれませんが、「キャリアコンサルタント」の資格を取得した方のみが「キャリアコンサルタント」という名称を独占して名乗ることができる、というものです。

特に大学では就職に係る業務が多岐に渡るため、求人票のタイトルに「キャリアコンサルタント」と使用されることが少ないとされています。

検索キーワードを変えてみよう

試しに キャリアコンサルタントで探していた所を、就職アドバイザーなどに変えて検索をしてみると、大学で出している求人がヒットすることもあるでしょう。そして求人票の求める人材の項目に、キャリアコンサルタント有資格者などの記載がある場合もあります。

キャリアコンサルタントは大学内で、就職アドバイザー、進路アドバイザー、キャンパスアドバイザーと呼ばれることもありますが、これはキャリアコンサルタント以外にも大学で行っている就職支援の中に、民間の資格であるCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)や、産業カウンセラー、相談員なども活躍しているという背景があります。

大学のキャリアセンターは学生の就職支援を総合的に行っているため、キャリアコンサルタントという職業に限定せず、大学の就職支援に幅広く対応できるような求人票で募集をしていることが多いようです。

また、文部科学省が行った調査ではこのような結果が出ています。

大学全体の在学者数は,293万1千人で,前年度より1万3千人増加し,過去最多。

引用:文部科学省  |  学校基本調査-令和4年度

就職支援に力を入れる大学も多くなってきており、中には三年次になると在学生一人ひとりに就職アドバイザーがつく大学もありますので、キャリアコンサルタントの需要は増加傾向にあるといえます。

大学でのキャリアコンサルタントに向いている人

キャリアコンサルタントに求められるスキルや資質は、働く場所や対象者によって異なります。

現代の大学および就職活動においては、IT化が急速に進んでいます。そのため、大学で働くキャリアコンサルタントには、対面での支援はもちろんのこと、オンラインツールを効果的に活用した支援スキルが不可欠です。オンラインでのコミュニケーションや新しいシステムへの適応力も求められるでしょう。

大学におけるキャリアコンサルタントの主な役割は学生の就職支援ですが、相談相手となる学生のほとんどは、社会人経験のない若年層です。就職活動が思うように進まず不安を抱えたり、将来について漠然とした悩みを抱えたりする学生も少なくありません。

そのため、一人ひとりの学生の気持ちに深く寄り添い、それぞれの個性や価値観を尊重しながら共に将来を考え、主体的なキャリア選択を後押しできる人が、大学で働くキャリアコンサルタントとして特に向いていると言えるでしょう。

まとめ

このページでは、大学でのキャリアコンサルタントの働き方について解説をしてきました。

キャリアコンサルタントは働く場所によって働き方が変わってきます。この記事が、キャリアコンサルティングを通して学生の就職支援をサポートしたいと考えている方のお役に立てれば嬉しいです。

また、大学以外の働き方について興味のある方は、こちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

 

【4つに分類】キャリアコンサルタントの働き方と就職先
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Q&A

大学でのキャリアコンサルタントの働き方は?
大きく分けて次のような働き方があります。
・大学からの直接雇用。キャリアセンターで働く
・週2~5日勤務で通年または繁忙期にかけて働く
・フリーランスで大学からの業務委託という形で働く
など様々です。
キャリアコンサルタントが大学で行う就職支援はどのような業務ですか?
大まかに分類をすると、就職支援カウンセリング、エントリーシート・履歴書の添削、面接対策、ビジネスマナー、インターンシップの推進などの就職支援業務があります。
大学職員と大学で働くキャリアコンサルタントの違いは?
キャリアコンサルタントは学生の就職支援業務に携わる仕事で、大学職員は大学全体の業務に携わる仕事になります。
大学でのキャリアコンサルタントに向いている人は?
学生一人ひとりに寄り添い、ともに将来を考えていける人や、オンラインツールに対して抵抗がないかたなどが、大学でのキャリアコンサルタントに向いているといえるでしょう。

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