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MENTAL HEALTH - 2023.05.01

ハビットマインド(習慣思考)のすすめ 第6回『孤独』『孤立』を防ぐために・・・カウンセリングの必要性とは

この記事を書いた方のご紹介

水口明子(リカレントメンタルヘルススクール専任講師)

リカレント メンタルヘルススクール専任講師
精神保健福祉士/公認心理師
20年以上サービス業に従事。その後、精神保健福祉士や資格を取得し、対人援助職に従事。
2019年に、ハビットマインドKOKOLOを開業。小学館の「Suits woman」において「ハビットマインド診断」を連載中。医療、福祉、学校、産業分野においての幅広い経験値をもとに活動している。

新緑がきれいな、過ごしやすい季節になりました。皆さんは、いかがお過ごしでしょうか?リカレントメンタルヘルススクールの専任講師の水口明子です。

4月に新年度を迎え、今までの生活スタイルから変化があった方も多いと思います。疲れがたまっている方もいるのではないでしょうか。

私のところには、日々多くの方が相談にいらしています。そして、「孤独」であると訴える人も少なからずいらっしゃいます。カウンセラーを目指している皆さんは、そんな状況に陥っている方に少しでも力になりたいと日々考えて、カウンセリングの勉強にいそしんでおられると思います

今回は「孤独」と「孤立」の違いについて理解しながら、「孤独」と「孤立」による影響とそれを食い止めるためにもカウンセリングがいかに重要であるかを考察してまいります。

「孤独」と「孤立」の意味の違いとは

まずは、「孤独」と「孤立」の言葉について理解をしていきましょう。

孤立」は状況、「孤独」は気持ち

似たような意味合いに捉えられがちですが、「孤独」とは「仲間や身寄りがなくひとりぼっち」のことで、「孤立」のように物理的や地理的な意味はありません。「孤独」は精神的な要素が強く、ひとりぼっちでも「孤独」と感じない人ももちろんいます。では、「孤立」とはどのような意味なのでしょうか?

「孤立(こりつ)」とは、「他から離れて、つながりや助けがないこと」「仲間がいなくひとりぼっちなこと」を意味します。もう少しわかりやすく説明すると、以下のようになります。

・他から離れて、つながりや助けがないこと」
 =物理的や地理的に「孤立している」様

・「仲間がいなくひとりぼっちなこと」
 =人間関係などで「孤立している」様

つまり、「「孤立」は状況を表す言葉で、「孤独」は気持ちを表す言葉とも言えます。このように似たような言葉でも、意味は全く異なります。私たちはこのような言葉のちょっとした違いも理解をしていくことが大切です。

クイーンズランド大学やオーストラリア国立大学の研究者らは、「『孤独』はがんと同レベルに危険な『社会のがん』と捉えて対処すべきだ」と主張し、「孤独」になりやすい社会的グループについて説明しています。
このグループは社会的なつながりが弱まっており、慢性的に「孤独を覚える人々の集団です。」

引用:The Conversation  |  Loneliness is a social cancer, every bit as alarming as cancer itself

「いくら『孤独』が問題とはいえ、死ぬようなことでもないのでは」と考える人もいるかもしれませんが、社会的なつながりと死亡リスクについての150近い研究をメタ分析した結果、社会的つながりや社会的支援の欠如が健康に大きな影響を与えることを研究者らは分析しています。

また孤独によって引き起こされる死亡リスクの増加は、貧しい食生活や肥満、アルコールの消費、運動の欠如といった要因よりも多く、重度の喫煙と同レベルだったとのことなのです。

望まない「孤独」は、心身に悪影響を及ぼすだけでなく、医療費の増加や生産性低下を招くという指摘があります。「孤独」や「孤立」は、社会全体の課題なのです。

クライエントを目の前にして私たちができることとは

では、いざそのようなクライエント(相談者)を目の前にして具体的に私たちができることはどのようなことでしょうか?やはり、クライエントの話を徹底的に聴くこと、これに尽きると思います。

皆さんは、カール・ロジャースの「来談者中心療法」をご存じでしょうか。素晴らしいカウンセラーといわれる方に共通する3つの要件というものがあります。①受容②共感③自己一致ですね。

①の受容は、無条件の肯定的配慮ともいわれています。クライエントの話す内容について良いとか悪いとかの判断をせずに、あるがままに聴き、受け入れること。

そして、②の共感については、相手の話を相手の立場に立って、相手の気持ちに十二分に寄り添いながら理解し、カウンセラーがクライエントについてわかろうとすること。かつ、クライエントも、カウンセラーに対して、このカウンセラーは自分のことを理解しようとしてくれているのだという思い、この相互理解があって、初めて共感となるのです。

そのためにはカウンセラーは自分自身という人間を理解しておくことが重要です。カウンセラー自身がどのような価値観をもっているのか、自分とはどのような人間なのかを理解をしておくことが、自己一致につながります。

そのようなことを前提にしながら、私たちは、カウンセリングという場で、クライエントに向き合い、精神的な孤独に共感し、そのような環境下を受容しながら、さらには、孤立化している状況に対して、どうしたらいいかを一緒に考え、つないでいく重要な役割を担っているのです。

まとめ

「ハビットマインド(習慣思考)のすすめ」第6回は「孤独と孤立の違い」について解説していただきながら、「孤独」「孤立」による様々な影響を食い止めるために、いかにカウンセリングが重要かということを語っていただきました。

核家族化が進む現代、「孤独」「孤立」はあらゆる局面で社会問題となっています。カウンセラーが少しでも手助けになるように、役割を担っていきたいですね。次回のコラムもぜひ楽しみにしていてくださいね。

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