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団塊ジュニア世代のリアル:50代からのキャリア、就職氷河期を越えて

「あの世代は」「私たちの頃は」—そんな言葉を耳にしたことはありませんか?
このページでは、日本の経済成長期に生まれ、現代社会を牽引する団塊ジュニア世代に焦点を当てます。この世代が経験してきた時代背景や、時に「不遇」と語られる経験が、いかに現代において強みとなるのか。そして、未来のキャリアをどう築いていくべきか、具体的なヒントを交えてご紹介します。
「団塊の世代」の次に生まれた、圧倒的ボリューム層
「団塊ジュニア世代」は、1971年〜1974年生まれの人たちを指し、2025年現在で50歳から54歳にあたります。
この世代の親にあたるのは、戦後すぐの第一次ベビーブーム(1947年〜1949年生まれ)で誕生した「団塊の世代」です。この世代の圧倒的な人口ボリュームを受け継ぐかのように、団塊ジュニア世代もまた、高い出生率を記録しました。当時は女性一人あたりの合計特殊出生率が2.14人(現在は約1.15人)にも上り、社会に大きな影響を与える「人口の山」として存在しています。
※特殊出生率:1人の女性が生涯で産む子供の平均数を示す指標
団塊ジュニア世代の人たちが育ったのは、高度経済成長期が終焉を迎え、バブル経済が最盛期に差し掛かる時代。特に都市部で育った人が多いとされています。しかし、社会へ出ようとする頃には、状況は一変します。
就職氷河期を生き抜いた世代
団塊ジュニア世代は、まさにバブル崩壊の直撃を受け、「就職氷河期世代」と完全に重なる不運な世代です。
「大学を卒業したのに、希望する企業からの内定がもらえない」
「正社員としての道を熱望しても、非正規雇用しか選択肢がない」
「何十社も面接を受けても、就職そのものが叶わない」
このような厳しい現実がありました。ようやく就職できたとしても、その後のリストラの波を直接的に経験した人も少なくありません。
しかし、この厳しい時代を経験したからこそ、高い適応能力と打たれ強さを身につけた人が多いともいえます。
統計局の調査では「団塊ジュニア世代を含む45歳〜54歳」が日本の労働力人口の最大ボリュームゾーンであり、多くの企業で中核を担う存在となっています。厳しい時代を経験した団塊ジュニア世代が、その経験をもとに現在のビジネスシーンで活躍していることが伺えます。
※出典 統計局「第1 就業状態の動向」p2
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団塊ジュニア世代の隠れた「強み」と「可能性」
団塊ジュニア世代は、受験戦争に始まり、就職氷河期、そして入社後のリストラの波──。他の世代では経験しえないほどの厳しい環境に身を置かれていました。しかし、この経験は、現代社会での「強み」として捉えることができます。
厳しさを経験したからこそ培われた、「適応力」と「ハングリー精神」
団塊ジュニア世代のこれまでの厳しい経験は、この世代にとって強い武器といえるでしょう。厳しい競争社会を生きてきたこの世代の多くは、高い基礎能力と応用力、そして多様なスキルを培ってきました。
実際、上の世代からは「団塊ジュニア世代は本当に優秀。自分たちより何ランクも上の大学を出て、スキルも高く、コミュニケーション能力も長けている。バブル期入社組は、彼らに追い抜かれるのではないかと感じるほどだ」といった声が聞かれるほどです。
現在、多くの企業で中核を担う団塊ジュニア世代には、彼らが経験してきた時代背景から培われた、以下のような特長が見られます。
強固な精神力とレジリエンス
就職氷河期という厳しい時代を経験しているため、困難な状況に直面しても諦めずに粘り強く取り組むタフさや忍耐力を持つとされています。仕事に対してストイックで、真面目な人が多いという指摘もよく見られます。
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多彩かつ深いスキル・高い適応能力
正規雇用に就くことが難しかったり、リストラの波を経験したりしたことで、複数の業種や職種を経験し、幅広い職務スキルや柔軟な対応力を培った人が多いとされています。また、自己啓発への意欲が高いことも特徴で、自ら学び、変化に対応しながら実用的なスキルを身につけてきたと言われています。
過当競争を生き抜いたハングリー精神
激しい競争社会を経験してきたため、常に向上心を持ち、目標達成への強い意欲を持つハングリー精神を兼ね備えていると評価されることが多いです。
高いコミュニケーション能力と開拓精神
アナログなコミュニケーションから始まり、ポケベルや携帯電話、インターネット、SNSといった劇的なコミュニケーションの変化に対応してきた世代であり、高いコミュニケーション能力と、新しい時代や方法を切り拓く開拓精神を持つとされています。また、就職活動で厳しい選考を勝ち抜いてきた経験も、その突破力に繋がっていると言えるでしょう。
団塊ジュニア世代の経験は、単なる苦労話ではありません。現代のビジネスシーンでこそ求められる「しなやかな強さ」と「問題解決能力」のもととなっているのです。
「アナログ」と「デジタル」を使いこなす、貴重なハイブリッド人材
上述したように、団塊ジュニア世代の強みは、単なる精神力やスキルだけではなく、現代のビジネスシーンで極めて重宝される、「アナログ」と「デジタル」の両方を理解し、使いこなせる貴重な人材です。
団塊ジュニア世代が大学生〜新社会人だった頃、インターネットが一般に普及し始めました。Windows95の登場はまさにその象徴であり、この世代は情報革命の黎明期をリアルタイムで経験しています。そのため、デジタルツールやIT技術への抵抗感が少なく、新しいテクノロジーを柔軟に受け入れる土台があります。
同時に、団塊ジュニア世代は、テレビ、新聞、ラジオといった「アナログメディア」にも深く親しんできた最後の世代でもあります。総務省の調査(情報通信政策研究所「メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)によると、50代層は休日でもテレビを約4時間、インターネットを約2時間、さらに新聞やラジオも利用するなど、幅広いメディアから情報収集を行っています。これは、40代以下の世代がアナログメディアに触れる時間が極めて短いこと、60代以上がインターネット利用時間が短いことと対照的です。
この「アナログにもデジタルにも対応できる」という特性は、ビジネスにおいて非常に大きな武器となります。団塊ジュニア世代は、まさに時代の過渡期を生きてきたからこそ、この二刀流の能力を存分に発揮できるのです。
50代からのキャリアアップ戦略
団塊ジュニア世代の転職状況は、一見すると厳しい数字が並びます。厚生労働省の調査(令和5年上半期雇用動向調査結果の概要)では、転職者の約38%が前職より給与ダウンを経験し、1割以上の収入減少も約31%と、現役世代の中では最も高い割合を示しています。これは、団塊ジュニア世代が直面する転職市場の厳しさを物語っています。
一方で、同じ調査では、4人に1人以上が転職による収入増加を達成しており、6人に1人以上は1割以上の収入アップを実現しています。
事実、国税庁のデータによれば、50歳〜54歳は全世代の中で最も平均給与が高い層(平均568万円、男性の場合は737万円)です。つまり、この高いベースから、さらにキャリアを伸ばしている人がいるという事実は、大きな可能性を示しているといえるでしょう。
では、どうすれば収入アップの転職を成功させられるのでしょうか。鍵となるのは、これまでの経験とスキルを「見える化」し、市場価値を最大化することです。
50代からの転職を成功につなげるポイント
50代からの転職で収入アップを目指すなら、以下が重要なポイントとなります。
明確なスキルと実績、経験
これまでのキャリアで培った専門性や具体的な成果を言語化し、アピールすること。
異業種・異職種への挑戦でも「活かせる力」の洗い出し
たとえ未経験分野への転職であっても、前職で培ったポータブルスキル(課題解決能力、マネジメント能力、コミュニケーション能力など)をどう活かせるかを示すことが重要です。
キャリアのプロによる支援も視野に
しかし、「自分の強み」や「市場価値」を客観的に把握し、効果的なアピール方法を見つけるのは、一人ではなかなか難しいものです。そこで、ぜひ活用してほしいのがキャリアコンサルタントです。
キャリアコンサルタントは、あなたのこれまでのキャリアを棚卸しし、強みや潜在能力を客観的に引き出すプロフェッショナルです。市場の動向を踏まえ、最適なキャリアパスの提案、履歴書・職務経歴書の添削、面接対策まで、多岐にわたるサポートを提供してくれます。
厳しい時代を生き抜いてきた団塊ジュニア世代だからこそ、その経験知は大きな武器になります。専門家の力を借りて、あなたのキャリアの可能性を最大限に引き出しましょう。
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キャリアを支援する「導き手」としての可能性
これまで「就職氷河期世代」として、時に社会から「助けられる側」として扱われることが多かった団塊ジュニア世代。しかし、この世代が激しい競争と困難な時代を乗り越えてきた経験は、今、多くの人々のキャリアを支える「武器」となり得ます。
団塊ジュニア世代が秘めているのは、人を教育し、導く「メンター」としてのポテンシャルです。自身の苦労や成功体験は、理論だけではない、現実味のある「生きたアドバイス」として、特に若い世代やキャリアに悩む人々に深く響くでしょう。
実際に、国家資格であるキャリアコンサルタントとして、この団塊ジュニア世代が最前線で活躍しています。労働政策研究・研修機構の調査(第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査)によると、キャリアコンサルタントとして最も活動頻度が高いのは50代の層です。資格を持つ50代の4割〜5割が「ほぼ毎日活動している」と回答しており、これは他のどの世代よりも突出して高い数値です。
この背景には、以下のような団塊ジュニア世代ならではの強みがあると考えられます。
- 豊富な人生経験とビジネスで培った人脈: 幅広い視点とネットワークから、実践的なアドバイスを提供できます。
- 現実に即したアドバイス:厳しい就職・転職市場を自ら経験しているため、机上の空論ではない、具体的な対策を提案できます。
- 面接を突破するための具体的な指導:自らが勝ち抜いてきた経験に基づき、実践的な指導が可能です。
- 共感力:困難を経験したからこそ、相談者の悩みに深く寄り添い、共感することができます。
団塊ジュニア世代の苦難の経験は、多くの人のキャリアをサポートする重要な資産となります。自らの経験を価値に変えることで、社会に貢献する新たなキャリアの可能性が広がります。
まとめ
就職氷河期など多くの困難を経験した団塊ジュニア世代。しかし、その経験は、世代ならではの「強み」でもあります。
デジタルとアナログ双方に精通するハイブリッドな人材である団塊ジュニア世代。その経験は未来を切り拓く価値ある資源であり、さらなる活躍は日本社会に新たな視点や活気をもたらすかもしれません。
Q&A
- Q団塊ジュニア世代とは?
- A団塊ジュニア世代は、1971年〜1974年生まれの人たちが該当します。戦後の第二次ベビーブームによって誕生した、非常に人口の多い世代です。
- Q団塊ジュニア世代の前後には、どんな世代がいる?
- A直前の世代は「バブル世代(1965年〜1969年生まれ)」と呼ばれ、経済的繁栄期を謳歌しました。団塊ジュニア世代の後に続くのは、インターネットの普及とともに育った「ミレニアル世代(1980年〜1994年生まれ)」です。また、団塊ジュニア世代とミレニアル世代の前半は、「就職氷河期世代」と重なる期間があります。
- Q団塊ジュニア世代の家族構成の特徴は?
- A団塊ジュニア世代は、75歳以上の親の介護に直面している家庭が多い傾向にあります。一方で、子どもについては、すでに独立しているケースもあれば、まだ大学生や社会人になりたてで、教育費や仕送りなどの経済的負担が残っている家庭も少なくありません。そのため、自身のセカンドキャリアや資産形成に加え、親の介護と子どもの教育・独立という「ダブルケア」の課題を抱える人も多く、仕事と家計の充実を一層図っていく必要があります。
- Q団塊ジュニア世代の強みは?
- A団塊ジュニア世代は厳しい時代を経験したからこそ、現代社会で活きる多様な強みを持っています。困難を粘り強く乗り越える精神力とレジリエンスに加え、アナログとデジタルの両方を理解し使いこなせるハイブリッドな能力は、この世代ならではの大きな武器です。
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