キャリアコンサルタント大辞典 Career Consultant Dictionary
キャリアコンサルタントに関する
役立つ情報を掲載
キャリア -
自分のキャリアがわからない時に活用したいキャリアコンサルティング

監修元村 久美子(国家資格キャリアコンサルタント)
|
自分自身のキャリアを考える時、目指すゴールや向かうべき方向性がわからないと悩む場合があります。
今回の記事では、自分の目指すべきキャリアがわからないという方へ向けて年代別対策や、キャリアの悩みに有効なキャリアコンサルティングについて紹介していきます。
キャリアで悩むビジネスパーソンは多い
下記のグラフは、厚生労働省がまとめた「キャリアコンサルタントに相談したい内容(複数回答(3つまで))」の上位5つの内容です。
相談したい内容のうちで最も高い割合なのは「将来のキャリアプラン」で正社員56.9%、次いで「仕事に対する適性・適職」が正社員45.3%、正社員以外でも38.1%となっています。
厚生労働省 2024年度能力開発基本調査 図93を参考に作成
このように、将来のキャリアについて悩むビジネスパーソンは非常に多く、キャリアコンサルタントの必要性が増していることがわかります。
そもそも目指すキャリアがわからない
現在では企業主体のキャリア形成ではなく、労働者一人ひとりが自分自身のキャリア形成を行う「キャリア自律」が求められるようになり、より個人での自己啓発が促される傾向になってきています。
しかし、そもそも目指すべきキャリアや、方向性がわからないと悩んでいる場合、キャリアに沿った自己啓発をしていく事は難しいといえます。
年代別にみるキャリアの方向性がわからない時の対策
この章では、目指すべきキャリアがわからないときの対策を年代別にみていきましょう。
20代の若手世代
就職活動を経て、新入社員として働くようになると、就職がゴールではなくスタート地点だと感じることが多いのではないでしょうか。
採用面接の際に「5年後の自分はどうなっていると思いますか、またはこうなっていたいというビジョンはありますか」などの質問を受けたことがあるかもしれません。この時点でも、明確なキャリアビジョンを持っていることは珍しく、入社後も担当している業務をこなしていくことで精一杯という状況が予想されるため、具体的なキャリアを考える機会は少ないともいえます。
自分の興味と強みを把握する
キャリアプランがわからない、この先のキャリアを明確に想像することが難しいと感じる場合、まずは自分が何に興味を持ち、どんなスキルや能力を持っているのかを知ることが大切です。
自身の過去の経験を洗い出し、得意だったことや好きで続けていたことなどから興味や強みを分析してみましょう
また、強みだけではなく、弱みや課題を整理したい時は、キャリアコンサルティングを利用することで、どんな仕事が自分に合っているのかを考える手助けになります。
自己分析に役立つSWOT分析については、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
![]() |
あわせて読みたい
|
30~40代の中堅世代
ある程度のスキルや経験を積んできた中堅世代は、プレーヤーとしてのキャリアを貫く道やマネジメント職を選ぶ道などの岐路に立たされるかもしれません。そして、改めてこれからのキャリアを考えたときに、悩みというよりは焦りを感じる場合が多いかもしれません。
伸び悩みを感じる
- 職場環境や業務にも慣れているため、仕事に対するモチベーション維持が難しい
- 転職を視野に入れていても、一から新しい人間関係を築くことに不安を感じる
- 会社からの期待値に応えることができない自分に対する焦り
- 現在のポジションでは成長できなのではないかという不安
若手社員の時期と比較すると、中堅世代ではさまざまな悩みが出てきます。
また、焦りや不安を感じていても、自分のキャリアの方向性がわからないことから、新しいアクションを起こすことが困難になる可能性もあります。
バランスの取れたキャリアプランを構築する
中堅社員は仕事だけでなく、プライベートや家庭とのバランスを大切にしながら、キャリアの方向性を見つめ直すことが重要です。
自分の人生価値観に合わせたキャリアプランを構築し、持続可能なライフプランを見据えたキャリアを考えていくためには、自己理解を深め自身の今後を客観的に見つめ直す目的で、キャリアに関する知識を有しているキャリアコンサルタントに相談をするとよいでしょう。
![]() |
あわせて読みたい
|
30代後半から50代までの管理職・マネージャー世代
管理職・マネージャー世代は、組織の統括やマネジメントの役割を果たす立場にあっても、自己成長を続けることが重要とされています。
しかし部下を育成する立場では、なかなか自分自身のキャリアだけを模索することは難しいというのが現状ではないでしょうか。
部下のキャリアを考える立場である管理職
2018年に厚生労働省がまとめた「労働経済の分析」の中の、「管理職が感じる職場の環境の変化や管理職としての悩みについて」では、多くの管理職が挙げている項目は「職場の又は自分自身の業務量が多すぎる」、「部下の人事評価が難しい」、「部下がなかなか育たない」となっています。
また、悩みとして挙げられていることが増えている(増加率が高い)項目は、「求められる成果が出せていない」、「部下が指示通りに動かない」、「目標のハードルが高い」となっています。
厚生労働省 2018年版労働経済の分析 第2-(3)-26図を加工して作成
この結果からも分かるように、管理職やマネージャーになればキャリアについての悩みが減るかといえば、むしろ自分自身のキャリアと、部下のキャリアの両方について考える機会が増えていきます。
業務や部下の育成に追われる中で、自分自身のキャリアの方向性についてしっかりと考える場合は、キャリアコンサルティングが非常に有効だといえるでしょう。
キャリアコンサルティングは、20代の若手世代、30~40代の中堅世代のみならず、マネジメントの立場にある管理職世代にも必要なものです。シニア世代に向けてのセカンドキャリアを考えることや、子育て・介護といった自分だけではない家族全体を考えたライフプラン等、人生のターニングポイントをどのように乗り越えていくかなどの悩みもキャリアコンサルティングの範疇です。
キャリアコンサルティングの効果
キャリアコンサルティングは、あらゆる世代に向けたキャリアの悩みに非常に有益な手段です。厚生労働省は、キャリアコンサルティングの効果について以下のように述べています。
キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待できます
引用:厚生労働省 | キャリアコンサルティングの活用・効果
また、厚生労働省がまとめた「キャリアコンサルティングが役立ったことの内訳」では、「仕事に対する意識が高まった」が正社員で56.8%、正社員以外で51,7%、次いで正社員では「上司・部下との意思疎通が円滑になった」が35.4%、正社員以外では「自分の目指すべきキャリアが明確になった」が26.8%など、さまざまなキャリアに係る悩みについて、キャリアコンサルティングが役立っているという結果になっています。
厚生労働省 2024年度能力開発基本調査 図91を加工して作成
自分の目指すべきキャリアがわからない時は「キャリアコンサルティング」を
キャリアコンサルタントからのサポートを受けることで、自己分析を深め、適切なキャリア選択をするための方針を見つけることができます。
厚生労働省も述べている通り、キャリアコンサルティングは自己理解を促進し、適切なキャリアの選択をサポートする重要な手段として注目されています。
キャリアコンサルティングの具体例は、こちらの記事で詳しく解説をしています。
![]() |
あわせて読みたい
|
まとめ
今回の記事では、自分の目指すべきキャリアが分からないときの年代別の対策や、キャリアに関する相談ができるキャリアコンサルティングについても触れました。
キャリアコンサルティングを活用することで、自己理解を深め、将来のキャリアプランを明確にすることが期待できます。
Q&A
- Q自分の目指すべきキャリアがわからないときの対策を教えてください
- A自身の経験を洗い出し、自己理解を深めることが重要です。キャリアコンサルタントによるコンサルティングでは、様々なアセスメントやカウンセリングを通して自身のスキルの分析や強みなどを再認識することができ、キャリアの方向性を見い出すことができるでしょう。
- Qキャリアプランを立てる際のポイントはなんですか
- A自己理解を深めるとともに、市場理解や目指すべき業界理解についても意識することがポイントです。自身が「興味があること」「得意とすること」に加えて「時代に求められていること」を意識してキャリアを考えていくとよいでしょう。
- Qキャリアについて相談したい
- Aキャリアについて相談する際には、自身の現状や将来の希望を具体的に整理した上で、キャリアコンサルタントに相談するとよいでしょう。自分の状況を伝えることで適切なサポートを受けることができます。
- Qキャリアコンサルティングが注目される背景とは?
- Aキャリアコンサルティングが注目される背景として、労働市場の変化やキャリア形成の多様化、個人の自己成長ニーズの増加が挙げられます。また、キャリアコンサルティングは個人の適性や能力を理解し、適切なキャリア選択をサポートする重要なツールとして求められています。
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
リカレントでは、日本を代表するキャリアカウンセリングスクール「リカレントキャリアデザインスクール」を運営しています。
「国家資格キャリアコンサルタント」を取得したい方や、初心者からキャリアカウンセラー、キャリアコンサルタントとして、キャリア支援を行ってみたい方は、ぜひ下の青いボタンからパンフレットをご請求ください。

監修者
元村 久美子
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてマスコミュニケーションに携わる。
その後フリーランスとして様々な分野で活動。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブ支援、
自治体の就労支援事業の講師・相談員・現場統括責任者を歴任。
現在は文化芸術振興の広報業務にも携わっている。