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キャリア - 2023.11.24更新 / 2023.02.28公開

パラレルキャリアの始め方 副業との違いやメリットも解説

働き方の多様化により、「パラレルキャリア」という新しい「働き方の概念」が注目が集まっています。

この記事では、「パラレルキャリア」について解説していきます。また、副業との違いや「パラレルキャリア」の始め方についても触れていきますので、ぜひ参考にしてください。

「パラレルキャリア」とは

「パラレルキャリア」とは、本業のほかに活躍の場を持ち、複数のコミュニティで活躍する働き方及び生き方を指す言葉です。

パラレル「キャリア」と聞くと、「仕事」をイメージするかと思いますが、メインとなる本業以外での活躍の場は、たとえばボランティアや、芸術などの趣味であっても「パラレルキャリア」であるとされています。

ドラッカーが提唱した「パラレルキャリア」

「パラレルキャリア」は、経営学者であったピーター・ファーディナント・ドラッカーが提唱し始めた概念です。「ドラッカーのマネジメント」というとピンとくる方も多いのではないでしょうか。

1909年生まれのドラッカーが提唱し始めた概念は、やがて多くの人に受け入れられていきますが、日本で大きくドラッカーが大きく取り上げられるようになったのは、2017年のことでした。

日本でも注目される「パラレルキャリア」

日本での終身雇用制から成果主義への移行は、従来の企業文化に変革をもたらしています。

終身雇用制度では、定年を迎えるまで一つの企業で雇用され、企業が従業員のキャリアを管理し発展させることが一般的でした。

しかし近年ではグローバルな競争が激化し、新たな技術の導入や変化する市場状況に対応するために、企業や従業員自体が柔軟性を持って対応できる必要性が高まっています。

このような背景から、従業員がキャリアを自律的に構築することが求められています。

「パラレルキャリア」は一つの職種や企業などのコミュニティに留まらず、複数の異なる活動に取り組み、多様な経験を積むアプローチです。これにより、さまざまな変化や環境に適応できる柔軟性を身につけることが期待されています。

「パラレルキャリア」と「副業」の違い

「パラレルキャリア」は個人のスキルや興味に基づき、異なる分野やコミュニティで活動することが特徴です。また、従来の一本道のキャリアパスにとらわれず、多様な経験やスキルを積み重ねることが可能です。

一方で副業は、本職以外での仕事や収入源を指し、時間やスケジュールの都合を考慮して行われることが一般的です。

「パラレルキャリア」と「副業」は、どちらも柔軟性と多様性を重視していますが、目的やアプローチにおいて異なる特徴を持っているといえるでしょう。

「副業」と「デュアルキャリア」の違い

「副業」と混同されやすい「デュエルキャリア」についても触れていきましょう。

「デュアルキャリア」は通常、主要なキャリアや職業を追求する場合に使われます。このアプローチでは、本職に加えて、別の専門性を持つキャリアを同時に進めることが特徴です。

どちらのキャリアも本格的で、両方が主要な収入源になることが一般的であるとされています。

「パラレルキャリア」の始め方

「パラレルキャリア」を始める前に

「パラレルキャリア」を始める際に考慮すべきステップは以下の5つです。

  1. 目標の設定
  2. 強みの洗い出し
  3. リスクの管理
  4. スケジュールの調整
  5. 健康管理

1つずつみていきましょう。

1.目標の設定

「パラレルキャリア」の始め方としては、まず目標を設定することが非常に重要であるといえます。

目標を設定することで、「パラレルキャリア」によって何を達成したいのかが明確になり、方向性を定めることができます。

2.強みの洗い出し

自身の強みや興味を洗い出し、それに基づいて必要なスキルを評価します。これによって、どの分野で活動するかを決定しやすくなります。

3.リスクの管理

「パラレルキャリア」を始める際には、リスクを予測し適切な対策を講じることでも重要です。

4.スケジュールの調整

フルタイムの仕事との両立が必要な場合、スケジュールを調整して効率的に時間を使えるようにしましょう。優先順位をつけ、計画的に活動することが「パラレルキャリア」成功の鍵です。

5.健康管理

最後は、健康管理です。社会人として働くことと「パラレルキャリア」を両立させていくには、適切な休息や健康管理が必要不可欠です。バランスよく続けられるよう、ストレスを軽減する工夫が必要です。

「パラレルキャリア」を始める方法

「パラレルキャリア」を始めやすい活動としては、ボランティアが挙げられます。

社会人として働く毎日の中で、ボランティアや社会貢献活動、そして芸術やスポーツの趣味などで「パラレルキャリア」を形成することで、より多様的な考え方を持つことが期待できます。

2023年9月に内閣府がまとめた「市民の社会貢献に関する実態調査」によると,「ボランティア活動に参加した理由(複数回答)」では、 「社会の役に立ちたいと思ったから」が317人、「自己啓発や自らの成長につながると考えるため」が184人、「自分や家族が関係している活動への支援」が136人という結果となっています。

内閣府 2022年度 市民の社会貢献に関する実態調査 図表9を加工して作成

「パラレルキャリア」の在り方

パラレルキャリアの在り方には、水平型と垂直型の二つのアプローチがあります。

水平型パラレルキャリア

水平型パラレルキャリアの図
特徴
平日のコアタイムにメインとなる業務を行う。

時間配分
メイン業務に重点を置き、その他の活動は主にすきま時間や非コアタイムに行う。

雇用関係
雇用関係の有無に関わらず、主要な業務に従事する。

垂直型パラレルキャリア

垂直型パラレルキャリアの図
特徴
コアタイムとそれ以外の時間帯や曜日に複数の業務や活動に従事する。

時間配分
コアタイム以外も有効活用し、様々な業務や活動に柔軟に対応する。

業務の区分
曜日や時間帯で業務が厳密に区分されず、シームレスに折り重なることがある。

このように、水平型は主業務に重点を置きつつ、追加の活動をすき間時間に組み込む形態であり、垂直型は時間や曜日に柔軟性を持ち、複数の活動がシームレスに連携する形態です。

出典 厚生労働省 フリーランス白書2018

「パラレルキャリア」のメリット

「本業以外に活躍の場を持つ」という「パラレルキャリア」の考え方は、企業側と従業員側両方にメリットがあるものです。

「パラレルキャリア」を推進する企業側が得られるメリット

「パラレルキャリア」を企業が推進する場合、企業にとっては「より豊かな知識と深い見識を持ったスタッフが、自社内に誕生する」というメリットがあります。

人は新しいものに触れたり、新しい体験をしたりした場合、必ずそこから何かを学びます。そしてそこで学んだものを、従業員側が企業側に運んでくれるのです。

「別の場所」で多様な知識や技術を学んだ従業員が、そこで得られた経験を企業側にフィードバックしてくれるわけです。

よりよい人材の確保につながる

企業にとっては、より高い能力を持ったスタッフを抱えられるというメリットだけにはとどまりません。

まったく畑違いのところで活躍していたからこそ得られた技術や知見が、企業に新しい見方をもたらしてくれることもあります。

「パラレルキャリア」の概念を持ち、実現する従業員側が得られるメリット

「パラレルキャリア」は、従業員側にも数多くのメリットをもたらす考え方です。

視野の広がりが期待できる

本業以外のコミュニティで活動をすることにより、広い視野を持つことが期待でできます。。仕事場の人間関係や業務で経験できなかったことや、価値観に触れることは、キャリア形成にも良い影響を与えるでしょう。

将来の自分への投資

「パラレルキャリア」を始ると、スケジュールや時間調整をする必要が出てきます。これは「パラレルキャリア」のデメリットのうちのひとつでもあるのですが「時間を有効に使い、将来の自分に投資している」と捉えることができるため、メリットであるともいえます。

仕事や本業だけでは得られなかった経験やスキル、そしてコミュニケーションを通じて構築された人間関係は、自分自身の人生をより快適にするためにも役立ちます。

また、「パラレルキャリア」を始めることで、雇用される能力・され続ける能力である「エンプロイアビリティ」を高めることにもつながります。

エンプロイアビリティとは何か? その意味と高め方

 
このように、「パラレルキャリア」の推奨・実践は、企業側にとっても従業員側にとってもメリットがあります。

「パラレルキャリア」まとめ

この記事では「パラレルキャリア」について解説してきました。

  1. 「パラレルキャリア」とは、本業のほかに活躍の場を持ち、複数のコミュニティで活躍する働き方及び生き方
  2. 「パラレルキャリア」の始める際は、、目標を明確にし、スケジュールや体調を考慮して興味やスキルに基づいて活動することがポイント。
  3. 「パラレルキャリア」は、業員が異なる経験やスキルを得ることで、クリエイティブな問題解決力が向上し、会社に新たなアイデアをもたらす可能性があることがメリット。

「本業以外にも活躍できる場を」という理念のもとに提唱されるようになった「パラレルキャリア」という考え方は、現在徐々に日本に根付き始めています。その成り立ちやメリット、似た言葉との違いをよく把握しておきましょう。

Q&A

「パラレルキャリア」にデメリットはあるか
「パラレルキャリア」は数多くのメリットを持つものですが、デメリットもあります。
たとえば企業側からの視点の場合、「従業員がパラレルキャリアの実践に一生懸命になるあまり、本業がおろそかになりがち」という問題点があります。
「パラレルキャリア」の具体例を知りたい
「本業がシェフ。パラレルキャリアとして、子どもにボランティアで食事の作り方を教えている」「本業をこなしつつ、独立開業の準備をする」などのようなケースが、「パラレルキャリア」の具体例として挙げられます。
パラリアキャリアと法律について知りたい
一部の仕事においては、本業以外の活動を制限または禁じられていることもありますので、一度就業規則などを確認しておくとよいでしょう。
「パラレルキャリア」のメリットは
異なる分野でのスキルを身につけることにより、活躍の場が広がります。

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