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CAREER - 2024.08.13
キャリアカウンセリング実践編「女性支援・非正規雇用支援」などで行うキャリアカウンセリングのポイントとは
リカレントキャリアデザインスクール学校長として、キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーの育成に意欲的に携わっている堀口恵子先生。
女性のキャリア支援、非正規雇用者のキャリア支援をはじめ、人材ビジネス業界・リハビリ業界などを中心にしたキャリア形成支援の他、企業向けのキャリア&メンタルヘルス研修などでも、幅広く活躍されています。
このページでは、様々なキャリアカウンセリングの現場を知る堀口先生に、女性のキャリア支援や非正規雇用支援で行うキャリアカウンセリングのポイントや課題を中心にお話を伺いました。
堀口先生が考えるキャリアカウンセリングとは?
キャリアカウンセリングを行うためには、様々なキャリア理論やスキルを学ぶ必要がありますが、学んだ通りのことが全ての相談者に当てはまるわけではありません。
相談者一人ひとりの背景や価値観、キャリアパスなどが違ってくるのは、当然のことだからこそ、まずは個人の持つ多様性やその人らしさを理解し、相手を尊重することが何よりも重要です。
そのためには、クライアントの視点でクライアントの見ている世界を物事を理解しようとする力を養っていく必要があります。相手の相談内容にシンクロする同感的な理解ではなく、自分の姿勢を整え、ニュートラルな状態で受け入れられるように準備しておくべきです。
これが「客観性の実践」です。そして、カウンセリングの要ともいえるスキルが「観察」しながら「問いかけ」をしていく「傾聴」です。「観察力」と「問いかけ力」をブラッシュアップしていくことがキャリアカウンセラーとしての成長に欠かせないでしょう。
「観察力」「問いかけ力」のブラッシュアップ方法
キャリアカウンセリングの重要なスキルとして、「観察力」と「問いかけ力」があります。
この二つのスキルを磨く方法は2つあると私は考えています。
日常会話を通したトレーニング
まずは、家族、友人、仕事仲間との日常会話を通したトレーニングです。日常会話であっても、語り手は、熱く語るところや繰り返し出てくる言葉で訴えたい内容をサインとして送ってきますから、五感を使ってそのサインを受け取ることが「観察」になります。
そして、「この言葉を繰り返していらっしゃいますが、これはどのようなことですか?」「なぜそう思うようになったのですか?」というように問いかけると、本人も気付かなかった主訴が見えてきます。その気付きを促すことが「問いかけ」の目的なのです。
カウンセリングを録音してみる
もう一つの方法は、自分が行ったカウンセリングを録音し、一言一句を忠実に辿り、クライアントの言葉に自分がどういう「問いかけ」を行ったのかを見直すというもの。時には他の人にも聞いてもらい、多面的に指導をしてもらうスーパービジョンが有効です。
キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーとしての内省が深まり、新しい気付きが生まれることでしょう。
キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーを目指し、資格を取得するためにも、このスキルを磨いていく必要がありますが、資格取得をした後も、スキルアップを目指していくことは大切です。「観察力」「問いかけ力」を磨いていく場を意識して自分から求めていくとよいと思います。
キャリアカウンセリングのベースとなる「傾聴」
「観察力」「問いかけ力」を培うと、キャリアカウンセリングのベースである「傾聴」というスキルが実践できるようになります。
リカレントではアイビイが提唱している「マイクロカウンセリング技法」 を活用していますが、基本はクライアントの話を聴くこと、つまり「傾聴」です。具体的には視線の合わせ方や声の調子といった非言語的な関りに始まり、質問やいいかえ、要約、感情・意味の反映といった言語レベルの技法にまでおよぶ幅広いスキルです。
「問いかけ」は質問の技法の一種ととらえることができますが、「問いかけ」には「答えてもいいし、答えなくてもいいよ」という自由さが含まれていると私は考えています。この自由度があるからこそ、カウンセリングの場がクライアントのためのものであり、クライアントが自由に考えて使っていいクライアントのための時間だと思ってほしいのです。そして、「自由に使える」という安心な環境の中でこそ、それまでクライアント本人が気付かなかった気付きが生まれると思います。
女性支援の現状と課題
私は現在、キャリアカウンセリングの中でも、特に「女性支援」に力を入れています。
若い人はもちろんのこと、シングルマザー、独居のシニア女性と相談にいらっしゃる方は幅広く、カウンセリングも「人生いつまで働くのか」「子供は産むのか」「老後はどうするのか」といった内容に重きを置き、キャリアプランというよりはライフプランに近いサポートをすることが多いです。女性支援の中でも特に課題を感じるのは、シングルマザーとシニア女性への支援です。
シングルマザーの方は「自分で頑張ろう」という思いが強い傾向人が多くいので、相談にきていただけること自体が第一歩といえますね。そのうえで「子どもを一人で育てるのではなく、助けてもらえるところは助けてもらう」という提案をしています。場合によっては地域や行政、ハローワークの女性支援窓口の活用などをお伝えします。
いかにサポートを受けながら仕事ができる環境を築けるかがポイントです。
また、シニア女性の貧困問題も顕著になっています。伴侶が亡くなって独居で年金収入しかないという方、介護などの理由で仕事を辞めた方など、いろいろなケースが考えられますが、女性の再就職は概して厳しく、年齢を経るとさらに難しくなる傾向があります。
資産の見直し、健康状態、周囲の支援者の有無、老老介護など、社会的になかなか見えていない問題が山積みともいえます。
健康寿命が伸びていく中で自身の健康維持と生活をどう建て直していくのかは、今後の日本の課題でもあると思います。
派遣社員などの非正規雇用への支援
非正規雇用の方の場合、私のところにご相談にいらっしゃる方は40〜50代が多いですね。非正規雇用の方が抱えている課題は、派遣法の変更に伴い、3年ごとに派遣先が変わり、能力開発の面で正社員と差が出てしまうこと。
正社員はジョブローテーションや異動を通して経験を積んで能力開発につなげていけるケースが多いものですが、非正規雇用の方は、なかなかその環境がありません。
例えば、簿記1級を取って経理のスキルを高めても、企業側が財務処理等を外注しているケースも多く、企業で活かす場所がないのが実情です。身につけたスキルや知識を陳腐化させないよう、どうすればいいのかを考える必要があると思います。
就職氷河期時代を経てずっと非正規雇用という方もいらっしゃいます。時代的背景や社会的状況など、クライアントがそうならざるを得なかった事態を理解したうえで、3年間という限られた期間に何ができるのかを模索できるようにお手伝いすることが重要です。目の前の3年間でできることを増やせば、次の3年間の選択肢が広がり、未来の可能性を増やすこともできるのです。
企業の支援で行うこと
企業支援での課題の一つは職場内の人間関係です。第三者を通す方が効果的なこともありますから、当人同士で解決できるように支援するほか、社員全員との面接や研修を実施してコミュニケーションをとるようにサポートしていきます。
個人相談の場合、その方自身の中に問題や課題があることもあります。例えばコミュニケーションの取り方を変えるだけで、人間関係が大きく変わることもありますし、また、メンタルの不調が原因という方もいらっしゃいますので、キャリアカウンセリングで対応できるのかどうかの見極めと他の専門家を紹介するリファーという引き出しも身につけて置く必要があるでしょう。
学生への支援
最後に、学生支援では何を重視するかをお話します。私は、自分の学んでいることが社会でどう活用できるのかという、学びと社会のつながりを考える視点を持つようにアドバイスしています。学びと社会の中間地点に自分を置いて、学ぶことも社会に出ることも自分事に関わることとしてとらえるようにすると、自ずと学びもキャリアの一つになります。
逆に、学校を卒業すれば学びが終わりというわけでもありません。世の中には常に学ぶ環境があり、仕事の経験も学びになり得るのです。
まとめ
このページでは、リカレントの堀口恵子先生に、キャリアカウンセリングの実践編をテーマに、女性支援と非正規雇用支援を中心にキャリアカウンセリングのポイントや課題などをお伝えしてきました。
いずれの場合でも共通しているのは、「社会に出て何年経っていてもキャリアを振り返る機会が必要」で、価値観が多様化する今、自分らしい生き方や働き方を実現できるように支援するのが、キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーの仕事です。
私は、人生における全ての経験が活かせるのが、キャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーの仕事の魅力と考えています。自分のキャリアは自分で作っていけるのですから、あなたもキャリアコンサルタント/キャリアカウンセラーとしてご自身の新たな可能性を広げてみませんか?
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リカレントはカウンセリングスクールとして、初心者から「キャリアコンサルタント」を育成する『リカレントキャリアデザインスクール』と、日本で初めての「EAPメンタルヘルスカウンセラー」、「EAPコンサルタント」を育成する『リカレントメンタルヘルススクール』を運営しています。
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インタビューした方のご紹介
堀口恵子(リカレントキャリアデザインスクール学校長)
リカレントキャリアデザインスクール学校長
2級キャリアコンサルティング技能士、国家資格キャリアコンサルタント、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種。
キャリアとメンタルの両面から働く人を支えるをモットーに、キャリアコンサルタント養成講座講師、人材ビジネス業界・リハビリ業界におけるキャリア形成支援、企業向けキャリア&メンタルヘルス研修講師等に従事。ACCN(オールキャリコンネットワーク)東京支部支部長。
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