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CAREER - 2023.08.28
キャリアコンサルタントを目指す方なら、知っておきたい。「キャリア教育」【第1回】 キャリア教育とは何か?

若者の未就職や早期離職といった労働に関する問題が深刻化する今、「キャリア教育」が注目を集めています。キャリア教育は、単に就職活動の準備をするためだけの教育ではありません。子どもたちが自らの生き方を主体的に選択できるよう、学習意欲の向上から、「働く」ことの意義までを考える、非常に重要な取り組みです。
キャリア教育は高校や大学だけでなく、小学校や中学校でも積極的に行われています。そして、この教育現場で必要とされているのが、キャリアに関する専門知識とスキルを持つキャリアコンサルタントです。キャリアコンサルタントを目指すあなたにとって、「キャリア教育」の目的や現状を知ることは、将来の活躍の場を広げる上で欠かせない知識となります。
このページでは、キャリアコンサルタントを目指すなら知っておきたい「キャリア教育」について、その定義と具体的な取り組みをわかりやすく解説していきます。
「キャリア教育」とは?「職業教育」との違いは?
「キャリア教育」の定義とは。
「キャリア教育」とは、「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育」
引用:文部科学省 | 中央教育審議会答申
ここで言う「キャリア」とは以下を指します。
「人が、生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」
引用:文部科学省 | 中央教育審議会答申
ここで言う「キャリア」とは、仕事だけでなく、家庭や地域社会など、生涯を通じて果たす様々な役割の連なりや積み重ねを指します。つまり、子どもたちが発達段階に合わせて、「自分らしい生き方」を見つけていくための組織的な働きかけが、学校で行われる「キャリア教育」なのです。
「キャリア教育」は、学校だけでなく、地域や企業と連携して行われます。「職業体験活動」や「インターンシップ」のような社会や職業に関わる体験学習だけでなく、日々の各教科の学習と実社会とのつながりを理解させる活動も、キャリア教育に含まれます。
一方、「職業教育」とは以下を指します。
「一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育てる教育」
引用:文部科学省 | 中央教育審議会答申
例えば、商業高校で簿記を学ぶことは「職業教育」にあたります。これに対しキャリア教育は特定の職業に限定せず、より広い視野で「生き方」を考える力を育む点が異なります。
教育の現場ではどのような「キャリア教育」が行われているのか
それでは、小学校、中学校、高等学校、大学では、どのような「キャリア教育」が行われているのでしょうか。
小学校
小学校では、「自己及び他者への積極的関心の形成・発展」「身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上」「夢や希望、憧れる自己イメージの獲得」「勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成」をキャリア教育の目標とし、多くの小学校が中学校への訪問や見学、体験入学、学校説明会などを行っています。
学ぶことと働く意義を理解したり、将来の目標を立てさせたりするために、地域の方々など様々な講師を招いて講話を実施している学校もあります。さらに、中学生の職場体験発表会を参観することで、将来を考え、今の自分を振り返る取り組みをしている学校もあります。
中学校
中学校では、「肯定的自己理解と自己有用感の獲得」「興味・関心に基づく勤労観・職業観の形成」「進路計画の立案と暫定的選択」「生き方や進路に関する現実的探索」が目標です。
多数の学校が「職場体験活動」を取り入れており、将来の夢や職業、働くことなど、自分の生き方について考える機会を設けています。さらに、職業人講話やアントレプレナーシップに関わる体験活動、上級学校の体験入学、ボランティア活動など、様々な体験活動を用意している学校も増えています。
高等学校
高等学校の「キャリア教育」の目標は、「自己理解の深化と自己受容」「選択基準としての勤労観・職業観の確立」「将来設計の立案と社会的移行の準備」「進路の現実吟味と試行的参加」です。
インターンシップや職業人講話、出前授業、ボランティア活動、体験入学など、家庭や地域社会、企業と連携した「キャリア教育」が実践されています。
大学
大学では、「キャリア教育科目」を設定し、自己理解や職業理解をはじめ、労働問題など働く人を取り巻く課題などについても学びます。
インターンシップ制度を導入している大学も多く、企業での職業体験を通して、仕事で求められるスキルだけではなく、職場での人間関係、自分のキャリアなどについても深く考える機会となっています。さらに、就職に向けては、キャリアセンターなどのスタッフがエントリーシートの添削、面接指導などを実施し、就職活動を支援しています。
「キャリア教育」で育成する力の一つ「キャリアプランニング能力」
文部科学省は、キャリア教育で育成すべき力として「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応力」「キャリアプランニング能力」の「基礎的・汎用的能力」を挙げています。
中でも「キャリアプランニング能力」は、「『働くこと』の意義を理解し、自らが果たすべき様々な立場や役割との関連を踏まえて『働くこと』を位置付け、多様な生き方に関する様々な情報を取捨選択・活用しながら、自ら主体的に判断してキャリアを形成していく力」(文部科学省「高等学校キャリア教育の手引き」)のことです。
この能力は、社会人・職業人として生きていくために必要となる力です。「学ぶこと・働くことの意義や役割の理解」「多様性の理解」「将来設計」などが、その具体的な要素ですが、これはすべてキャリアコンサルタントによるキャリアコンサルティングでも養うことができるものでもあります。学校教育の現場においてキャリア教育の一端を担うことで、キャリアコンサルタントの専門性が活かせると言えるでしょう。
キャリア教育とキャリアカウンセリング
それでは「学校におけるキャリアカウンセリング」は、どのように定義されているのでしょうか。
子どもたち一人一人の生き方や進路、教科・科目等の選択に関する悩みや迷いなどを受け止め、自己の可能性や適性についての自覚を深めさせたり、適切な情報を提供したりしながら、子どもたちが自らの意志と責任で進路を選択することができるようにするための、個別又はグループ別に行う指導援助である。
引用:文部科学省 | キャリア教育の推進に関する総合的調査研究協力者会議報告書
ここで述べられているように、キャリアカウンセリングは「個別又はグループ別に行う指導援助」とされていますが、教育現場では「卒業直後の進路決定のための相談(面談)」と限定的に受け止められ、その重要性が十分に認識されていないのが現状です。
キャリアカウンセリングが教育現場で広く普及しない要因の一つとして、担任や進路指導の教員がキャリアカウンセリングの役割を担っていることが挙げられるのではないでしょうか。キャリアカウンセリングには、カウンセリング技法をはじめ、キャリア発達、職業や産業社会などに関する専門的な知識やスキルが求められます。こうした専門性を持つ人材、キャリアコンサルタントを配置する学校も増えつつあります。
まとめ
近年、注目されている学校での「キャリア教育」。その現場でキャリアコンサルタントの専門性を活かして活躍する人も増えています。大学や高等学校をはじめ、中学校や小学校でもそのニーズは高く、キャリアコンサルタントの仕事のフィールドはますます広がりを見せています。
キャリアコンサルタントを目指すなら、あなたも教育現場での活躍を選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
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