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CAREER - 2019.12.18

カウンセリングの原点をひも解く 理論家シリーズ【第1回】「カール・ロジャーズ」と「来談者中心療法」

カウンセリングの原点をひも解く 理論家シリーズ【第1回】「カール・ロジャーズ」と「来談者中心療法」

キャリアカウンセラーやEAPメンタルヘルスカウンセラーを目指す、またはカウンセリングを実践するに当たってはさまざまな心理学的理論や知識を身につける必要があります。しかし、ただ理論だけを学ぶよりも、その理論を提唱した人々の背景や考え方までわかると、より理解が深まり、効果的に実践できるのではないでしょうか。

そこで今日のカウンセリングに影響を与えた心理学者にスポットを当て、「理論家シリーズ」と題して、経歴や提唱した理論などを詳しく紹介していきます。
第1回目のこのページでは「カウンセリングの神様」と呼ばれるカール・ロジャーズと、カール・ロジャーズが創始した「来談者中心療法」をご紹介します。

カール・ロジャーズとは ~経歴と功績

カール・ロジャーズ(1902〜1987)はアメリカの臨床心理学者で、現代心理学の3大潮流のうちのひとつ、第三勢力と呼ばれる「人間性心理学」 の代表的な人です。

厳格なプロテスタントの両親のもとに育ち、ウィスコンシン大学で農学を学んだ彼は、後に牧師を目指してユニオン神学校大学院に進みました。ところが次第に宗教的な思想から考えを広げ、心理学へ造詣を深めるようになります。さらに他人を心理学的に 援助することが仕事となり得るとも知り、ユニオン神学校大学院からコロンビア大学に転学し、臨床心理学と教育心理学を専攻しました。

ロジャーズはその後、ニューヨーク州ロチェスターにある児童虐待防止協会に就職。非行少年や恵まれない環境の子ども達のカウンセリングにも携わります。しかし、少年達がカウンセリングを終了しても再び非行行為を繰り返す様子を目の当たりにし、それまでのカウンセリング理論に限界を感じたのです。そして、問題行動を示すとある少年とその母親のケースでの経験から、後に「来談者中心療法」と呼ばれるカウンセリング理論を打ち出しました。これこそがロジャーズの最大の功績といえるでしょう。

オハイオ大学、シカゴ大学、母校ウィスコンシン大学などで教鞭をとる傍ら、数多くのカウンセリングと関わり、様々な研究や検証を行っています。後年は関心がグループ・エンカウンター(集団心理療法)へと移っていきますが、ロジャーズが創始した「来談者中心療法」における考え方はカウンセラーが体得すべき基本的な態度や姿勢であり、現在のカウンセリングの土台として受け継がれています。
また「患者」と呼ぶ代わりに、「クライエント」という呼称を初めて用いたのもロジャーズでした。

「来談者中心療法」とは ~人道主義的なロジャーズの思想

1940年にロジャーズは「心理療法におけるいくつかの新しい発想」という発表で「相手に成長が生じるような非指示的な治療」の重要性を語り、続く1942年に出版した著作「カウンセリングと心理療法:実践のための新しい概念」において「クライエント中心」という表現をもって非指示的な療法観を明確に著しました。 この「クライエント中心」の非指示的療法が今日の「来談者中心療法」です。

児童虐待防止協会などで「カウンセラーの考えの押しつけや強圧的な態度では一時的な効果しか望めない」と経験したロジャーズは、カウンセラーとクライエントの関係性に着目するようになり、人間の成長と変容を促す技法として「来談者中心療法」を創始したのです。人は誰しも、自分がどうありたいかという自己概念と現実世界で経験することの食い違い(「不一致」と呼ばれる)に悩んでいるものです。この食い違いの度合いが大きくなると、不安定な状態や問題行動につながりやすくなると考えられています。そこで、個人の価値観や意義を認め、クライエントの自己成長力を信頼するという、ありのまま受容する考え方により、クライエントも自身を尊重して価値あるものと理解できるようになるとロジャーズは考えました。

非指示的療法とは ~カウンセリングマインドの6つの条件

それでは非指示的な療法とはどのようなものか、具体的に説明しましょう。ロジャーズが重視したカウンセラーとクライエントの関係性のあり方については、1957年に発表された論文「セラピーによるパーソナリティ変化の必要にして十分な条件」に下記の6つが明示されています。なお、下記でセラピストと呼称されているのはカウンセラーのことです。

(1)2人の人間が心理的な接触(ラポート)を持っていること
(2)第1の人(クライエント)は不一致の状態、傷つきやすい状態、または不安な状態にあること
(3)第2の人(セラピスト)はその関係の中で一致している状態、統合している状態であること
(4)セラピストはクライエントに対して無条件の肯定的配慮を経験していること
(5)セラピストはクライエントの内的照合枠を共感的に理解しており、その経験をクライエントに伝えようと務めていること
(6)セラピストの理解と無条件の肯定的配慮が、最低限にでも、クライエントに伝わっていることクライエントに最低限伝わっていること

さらにロジャーズは「これ以外の条件は必要ない。もしこれらの6条件が存在し、かつ、それらがしかるべき間、存在し続けるなら、それで充分である。建設的な方向に人格が変容する歩みが、結果として生じる」と論じています。

カウンセラーに求められるもの~基本的な3つの態度

以上の6つの条件のうち、(3)は「自己一致」あるいは「純粋性」 、(4)は「無条件の肯定的配慮」あるいは「受容」、(5)は「共感的理解」と位置付けられており、キャリアカウンセリングを含むさまざまな現在のカウンセリングにおいて、カウンセラーに求められる基本的な態度として提唱されています。

「自己一致」とは、カウンセラーが感じていることと、クライエントと対する際の言葉や態度が一致しているかどうかということです。カウンセラーがありのままの純粋な存在であろうとすれば、クライエントもありのまま自分となって心を開きます。

「無条件の肯定的配慮」とは、クライエントが訴えている内容や感情、行動をカウンセラーの価値観などを交えず、無条件に受容すること。クライエントを尊重するという思いの表れであり、ありのままの自分を受け入れられたと実感できたクライエントは、自由に自分を表現できるようになるといわれています。

「共感的理解」とは、「相手の立場に立って物事を見る」ということです。今ここ、この瞬間のクライエントをあたかも自分自身のように感じる。クライエントの訴えや感情を自分のことのように感じて理解し、それを正確に伝えることができたとき、クライエントは自分の内面をもっと自由に経験できるようになることができます。

カウンセラーの必須スキル「傾聴」

あらゆる分野のカウンセラーにとって必須といえるスキルが「傾聴」です。クライエントの表面的な事実に捕らわれずにとにかく相手の言葉に耳を傾け、その背後にある心理状態を理解しようと務めることが求められます。

「傾聴」は前述の「カウンセラーの基本的な3つの態度」を実現するスキルであり、ロジャーズ自身が、その重要性を身をもって知っていたようです。「カウンセリングを行っていると専門的な知識が多すぎる故にクライエントの話を素直に受け取っていなかった」とに気づき、その反省から「傾聴」を重要視するようになりました。

キャリアカウンセラーやEAPメンタルヘルスカウンセラーにとっての「来談者中心療法」

「来談者中心療法」はカウンセリングの理論と実践の基本といえますが、当然のことながら、実際のカウンセリングでは状況に応じてその他の理論や技法を臨機応変に、複合的に使っていく必要があります。
その中で「来談者中心療法では、クライエント・人間尊重の理念やカウンセラーの条件・信頼関係の構築に不可欠な人間的態度を示しています。
人間(あるいは生物全般)の潜在的な可能性である、自然回復力や自己実現力を信じるロジャーズの理論は、クライエントに寄り添うことを目的としたカウンセラーの理想ともいえるでしょう。

まとめ

今回は今日のカウンセリングに影響を与えた理論家を紹介するシリーズの第1回として、「カール・ロジャーズ」と「カール・ロジャーズ」が創始した「来談者中心療法」を解説しました。クライエントの関係構築やカウンセリングのベースとなるのが、ロジャーズの「来談者中心療法」です。ロジャーズの人物像から理論への理解を深めるのも一つの手段です。
また今日のカウンセリング技法が、どのような考えのもとにどんな過程で確立されたのかがわかると、スキルを習得するのにも実際にカウンセリングを行う際にもさらに熱が入ることでしょう。

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