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キャリアコンサルタント資格 - 2024.12.18更新 / 2022.08.30公開
キャリアコンサルタント資格の難易度は? 合格基準や学習期間を解説
監修元村 久美子(国家資格キャリアコンサルタント)
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キャリアコンサルタント資格に興味のある方にとって、難易度は気になるポイントだと思います。どのくらいの勉強をすれば合格できるのか知りたいですよね。
このページでは、キャリアコンサルタントを目指すのは難しいのか、またどのくらいの学習量が必要なのかなど、第27回までのデータをまじえて、キャリアコンサルタント資格の難易度について分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
国家資格キャリアコンサルタント試験の合格率からみる難易度
国家資格キャリアコンサルタント試験第18回から第27回の合格率の平均をみてみましょう。
厚生労働省 キャリアコンサルタントになりたい方へ 「キャリアコンサルタント試験結果の概要」のデータを参考に作成
キャリアコンサルタント試験は「学科試験」と「実技試験」があり、それぞれで、受験した60%以上の方が合格しています。また、学科試験と実技試験を同時受験した方の合格率は53%程度となっています。半分以上は合格しているものの、養成講座を受講して受験した方が約9割を占める試験であることを考えると、実はなかなか手ごわい国家試験です。
そのため、養成講座の受講中から計画的に試験対策に取り組むことが大切です。初めて受験する方のほとんどが学科試験と実技試験の両方を受験すると言われています。万全な対策で臨むことが結果を出すポイントと言えるでしょう。
国家資格キャリアコンサルタント試験の合格率については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【合格率を3分で解説】国家資格キャリアコンサルタントの最新動向 | リカレントcounselor |
国家資格キャリアコンサルタント試験の受験資格について
キャリアコンサルタント試験は、次のいずれか1つに当てはまれば受験ができます。
厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
引用)厚生労働省Webサイト|キャリアコンサルタントになりたい方へ
もう少しザックリと言うと、以下のようになります。
-
指定の講習を修了した者
-
実務経験が3年以上ある者
-
技能検定キャリアコンサルティングの学科または実技に合格した者
未経験の方は「①養成講習を修了」することで受験資格を取得できるため、こちらを選択することが多いでしょう。また、年齢や学歴も問われません。
受験資格別の合格率からみる難易度
それでは、受験資格別の合格率はどうでしょうか。以下の表は第27回の試験で比較したものです。
受験資格 | 合格率 | |
学科試験 | ①養成講習修了 | 60.3% |
②実務経験 | 54.6% | |
③技能検定の片方合格 | 66.7% | |
実技試験 | ①養成講習修了 | 68.2% |
②実務経験 | 60.5% | |
③技能検定の片方合格 | 66.7% |
3つの受験資格の中で、合格率が一番高いのは「①講習を修了した者」でした。これは第27回だけでなく、過去の試験でも毎回同じ傾向になっています。
未経験の方でも、養成講習を受講することでキャリアコンサルタントの幅広い知識やスキルを網羅できるため、試験に対応しやすくなるといえるでしょう。実務経験のある方も、養成講習を受講し、基礎学習から試験対策までを行うことは合格の近道になるといえます。
受講しやすいキャリアコンサルタント養成講習
前の章で紹介したように、養成講習修了者の合格率は他の受験資格と比べて高く、実務経験者でも試験対策として有効な選択肢であることが分かりました。
特に未経験から挑戦する方にとっては、受験資格を得るだけではなく、講習を通じて基礎的な知識やスキルを体系的に学べる点が魅力です。
キャリアコンサルタント養成講習は、仕事や家庭と両立しながらでも学べるよう、多様なスケジュールが用意されています。例えば、週末だけのコースや平日夜間のクラスなど、社会人や学生、主婦、退職後の方まで幅広いニーズに応えるプログラムが整備されています。
国家資格キャリアコンサルタント試験内容の難易度について
国家資格キャリアコンサルタント試験は学科試験と実技試験に分かれています。この章では、2つの試験の難易度について簡単に紹介します。
学科試験の難易度について
国家資格キャリアコンサルタント試験の学科試験は、4つの選択肢から選ぶマークシート方式で、100点中70点以上の獲得で合格できます。
学科試験の出題範囲は以下のとおりです。
キャリアコンサルタントの社会的意義 |
社会・経済の動向、キャリア形成支援の必要性の理解等 |
キャリアコンサルティングを行うために必要な知識 |
キャリアに関する理論、カウンセリングに関する理論、職業能力開発、労働市場の知識、メンタルヘルスの知識等 |
キャリアコンサルティングを行うために必要な技能 |
キャリアに関する理論、カウンセリングに関する理論、職業能力開発、労働市場の知識、メンタルヘルスの知識等 |
キャリアコンサルタントの倫理と行動 |
キャリア形成とキャリアコンサルティングに関する教育、普及活動、キャリアコンサルタントとしての倫理・姿勢等 |
こうしてみると難易度が高そうですが、キャリアコンサルタント養成講習でしっかりと理論を学び、ポイントを押さえて学習をすることで出題範囲の広い試験への対策ができます。マークシート方式という点からも、比較的取り組みやすい試験といえるでしょう。
実技試験の難易度について
国家資格キャリアコンサルタント試験の実技試験は、論述と面接を合計した150点満点で、90点以上の得点で合格になります。
実技試験は、キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会(JCDA)という2団体で内容が異なります。しかし問われる本質や難易度のレベルは変わりないと言えます。
合格基準では、論述では50点満点のところ40%以上の20点以上、面接では100点満点のところ40%以上の40点以上を取る必要があります。しかし合計で90点以上という基準もクリアしないといけないため、どちらか一方が最低ラインの場合は他方でカバーできるようにしなければなりません。
未経験の方からすると実技試験は難易度が高いと感じるかもしれませんが、養成講習の中では理論学習だけでなく、実技演習を繰り返し行います。講師からのフィードバックも受けられるため、繰り返し行うことでスキルが身に付き、合格につなげることができるでしょう。
試験内容について詳しく知りたい方は、こちらの記事で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【5分で分かる】キャリアコンサルタントの試験内容や実施団体での違いを紹介 | リカレントcounselor |
学習期間の目安は150時間以上
それでは、本格的に受験を目指すとしたら、具体的にどのくらいの学習時間が必要でしょう。
学習期間の目安は150時間以上を考えておくとよいでしょう。
厚生労働省が定める講習の学習時間は150時間です。
厚生労働省が定める養成講習の学習時間は150時間です。これにプラスして、自習時間の確保が必要です。学科試験は出題範囲が広いため、理解し、暗記するにはある程度時間を要します。また、実技試験に関しても、訓練の時間が必要で、そのための時間や環境を作ることが合格の近道になります。
通勤時間にスマホで問題を解いたり、授業映像を視聴したり…とすきま時間を使って、少しずつ勉強時間を積み上げていくのも効果的です。
おすすめの勉強法や学習スケジュール
では最後に、試験合格に向けたおすすめの勉強法や学習スケジュールを紹介します。
未経験の方はキャリアコンサルタント養成講習を受講し、受験資格を取得しますが、自習時間に取り入れたいポイントをまとめました。
学科試験は過去問を取り入れる
学科試験は出題範囲が広いため、時間をかけて学習する必要があります。効率よく効果的に学習するためにお勧めなのが、過去問での勉強です。
過去問を解いたあとは、ぜひ1問ずつチェックしていきましょう。その際に、その問題に関連する周辺の知識も一緒に確認していきます。暗記できる量には限りがあるため、「覚えること」を目的にせず、「思い出すこと」を目的に勉強を組み立てることもポイントの1つです。思い出すためには何かと関連付けて覚えたり、思い出すためのフック(鍵となるもの)を多く用意しておくことが重要です。
また、学科試験は選択肢の問題ですが、正答ではない他の選択肢についても調べてみるとよいでしょう。そうすることで、知識の幅が広がり、別の角度からの問題が出たとしても解答しやすくなります。ぜひ、試してみてください。
論述試験ではパターンを用意しておく
論述試験の対策も、過去問を活用できます。まずは、どういう形式で出題されるのかを過去問で確認しておきましょう。
前述した通り、キャリアコンサルティング協議会と日本キャリア開発協会(JCDA)の2団体で試験内容が異なるため、あらかじめ違いを確認しておくことが大事です。さらに論述は学科と異なり模範解答や明確な正解の基準がありません。上達するためには、解答の良し悪しを自分で判断できるよう基準を押さえておきましょう。
-
クライアントの主訴(訴えている論点)を的確に把握しているか
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キャリアコンサルタント視点で捉えた問題は的を射ており、解決策は具体的か
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クライアントに寄り添い、キャリアコンサルティングを適切に展開できているか
上記の基準に則って考えられるようにしておくことで様々な事例に対応できるようになります。
面接試験はとにかくロールプレイの実践
面接試験についても2団体で評価基準(項目)の違いがあるため、事前にしっかりと理解しておきましょう。
面接試験は、クライアント(相談者)役を相手に実際のロールプレイ(面談)を行うことを面接官に評価されます。そのためロールプレイの練習をしっかり対策をたてて行うことが重要です。
そのため、資格をすでに取得している方にオブザーバーとなってもらい、ロールプレイごとにフィードバックをもらうのがお勧めです。課題や良かった点を明確にしながら進めることで、自身の成長を感じながらステップアップができるでしょう。
また、人のロールプレイを見るのも勉強になります。客観的に良い点や改善すべき点を把握できるため、自身のロールプレイに活かすことができます。また、講習などを通して、講師から適切な指導を受けることも大切です。
最低でも8ヶ月前からの事前準備がおすすめ
キャリアコンサルタントの国家資格試験は年に3回(3月・7月・11月)行われています。
養成講習に申し込む場合は、目標とする試験日から逆算して、8〜10か月前から準備しておくとよいでしょう。養成講習は3~6か月程度の受講期間です。養成講習修了後に受験申請をし、その約2ヵ月後が試験になります。
また、養成講習を受講するための検討期間、専門実践給付金を利用する方はその事前申請の手続きがあります。余裕を持った事前準備がおすすめです。
3月に受験したい場合は、5~7月から準備を始めるといった具合です。
まとめ
キャリアコンサルタントの合格率を見ると、実務経験で受験された方より、養成講習を受講して受験された方のほうが合格率は毎回高くなっています。そのため、最初は難易度が高いなと感じている方でもしっかりと学習をし、知識とスキルを身に付けることで合格が近づくといえるでしょう。
未経験からキャリアコンサルタントの資格を目指した方でも、一発合格されている方は多くいます。過去問などを使用して計画的に取り組んでみてください。
Q&A
その中でも、論述で40%、面接では区分ごとに40%以上の点数を獲得する必要がありますが、実技合計での配点基準がありますので、両方を平均的に学習することが合格に近づく第一歩となります。
学科は過去問を解き、論述でも過去問を用いて求められている基準を攻略できるよう準備しておくとよいでしょう。面接はロールプレイを重ねることで基本的な傾聴姿勢や適切な応対スキルを身に着けていくことが大切です。
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監修者
元村 久美子
国家資格キャリアコンサルタント
広告会社、大手化粧品会社宣伝部にてマスコミュニケーションに携わる。
その後フリーランスとして様々な分野で活動。
国家資格キャリアコンサルタントとしては企業内障害者ジョブ支援を経験後、 自治体事業の就労支援・プログラム講師等も担当している。
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