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キャリアコンサルタント資格 - 2023.12.01更新 / 2023.09.15公開

【新しい人事評価】ノーレイティング制度とは キャリアコンサルタントの重要性も併せて解説

企業で働く従業員は、一年もしくは半年に一度の人事評価によってランクが決まり、役職や待遇、給与や賞与の決定がなされるのが一般的でした。

しかし、多様な働き方が広がる現在では、従来とは異なる新しい評価である「ノーレイティング制度」に注目が集まっています。

この記事では「ノーレイティング制度」について解説していきます。また、キャリアコンサルタントの重要性についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

「ノーレイティング制度」とは

「ノーレイティング制度」とは主にアメリカで導入が進められている、ランク付けをせずに従業員を評価する人事評価です。

日本でも外資系企業や大手企業での導入も見られ、現在注目を集めています。

日本の人事評価の変遷

近年主流となっている「年次評価」は、上司とその期の目標を設定し、期末にその目標の達成度合いをランクに基づいて評価するというものです。「ノーレイティング制度」の対としてレイティング制度とも呼ばれています。

年次評価ではない人事評価制度には不安を感じるかもしれませんが、年次評価制度の導入は20年前からと意外に浅く、明治時代に始まった賞与制度よりも短い歴史を持っています。

バブル経済の崩壊以降の日本では、年功序列制度に変わって成果主義が注目されたことで、年次評価制度が広く浸透したと考えられています。

働き方の変化によって評価制度も変わる

「ノーレイティング制度」が注目されている背景には、働き方の変化が大きく関係しています。

企業を取り巻く環境も常に変化しているのと同時に、従業員の働き方も柔軟になってきています。

同じ基準で個々の従業員を評価することが、様々な変化によって難しいと感じる企業も増えてきており、より適切に評価できる制度を取り入れる動きが見られるようになりました。

身近にあるレイティングシステム

たとえば映画で、12歳未満は保護者の助言・指導を必要とする「PG12」や、15歳以上が見れるという「R15」のようなレイティング表記を目にしたことがあるかもしれません。映画は既に完成されている作品であるため、固定された基準で評価を行うことが適切です。

一方、企業で働く従業員は「人」であり、その評価は個別の業績や能力によって異なります。そのため、従来のような相対的な基準での人事評価では、適切な評価が難しいケースもあるため、「ノーレイティング制度」が注目されているのです。

レイティング制度と「ノーレイティング制度」の違い

レイティングと「ノーレイティング制度」の違いを見ていきましょう。下記は、2つを比較した図です。

レイティング評価制度では、年に一度の目標設定や評価のため制約がありますが、ある程度数字で評価ができる職種においては、ランク付けをすることで、評価基準が明確になるというメリットもあります。

では、ランク付けせずに評価をする「ノーレイティング制度」とはどういうことなのでしょうか。

「ノーレイティング制度」について、次の章で詳しく見ていきましょう。

新しい人事評価「ノーレイティング制度」

従業員の成果や能力を固定的な基準で評価するのではなく、より具体的な評価を個人によって行うアプローチが「ノーレイティング制度」です。

従業員の個別の強みや成果、チームへの貢献度など、多面的な要素に注目し、定期的なフィードバックを通じて、従業員の成長を促すことを重視します。

これにより、従業員の自己成長やキャリアの発展をサポートする役割も果たしているのです。

「ノーレイティング制度」導入のメリット

変化に対して迅速に対応できる

従来のレーティング制度では、従業員の評価やパフォーマンスは定期的な評価サイクルに基づいて行われます。しかし、ビジネス環境や組織のニーズは常に変化しており、従業員の役割や責任も変動する場合があります。

「ノーレイティング制度」では、変化に対して迅速に対応できるという特徴があります。

従業員のモチベーション向上

「ノーレイティング制度」は相対的評価ではなく、個人の目標設定に沿って評価が行われます。これを可能にしている要素として、定期的な目標設定とフィードバックが挙げられます。

上司との1on1を定期的に行うことで、従業員個人がより具体的な目標設定を立てることが可能になります。また、その都度フィードバックも行われるため、モチベーションの向上が期待できます。

一人ひとりに合った評価ができる

たとえば同じ技術開発部に所属、同じ勤続年数、同じプロジェクトに参加している従業員がいるとしましょう。レイティングの場合、二人は同様のランク付けをされることが予想されます。

「ノーレイティング制度」の場合は、個々に合わせた目標設定やフィードバックを重ねるため、一人ひとりに合った評価が可能になります。

また、現在、企業が重要視している無形資産の中には、従業員個人のスキルも含まれており、従業員の成長は企業の資産になり得るのです。

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「ノーレイティング制度」導入のデメリット

それでは、「ノーレイティング制度」のデメリットについても見ていきましょう。

上司に高いマネジメントスキルが必要

評価基準が相対的ではなく、従業員一人ひとりになる「ノーレイティング制度」は、評価をする上司に高いマネジメント能力が求められます。

たとえば、介護の現場では、社会福祉士や精神保健福祉士とケアマネジャーの連携により、相談に応じて目標設定をすることと、マネジメントをすることが可能になりますが、「ノーレイティング制度」を導入した企業では、評価をする上司が両方のスキルを持つことが必要になります。

時間の確保が必要

目標設定やフィードバックを従業員の一人ひとりと行うことで、適正な評価をすることが可能になりますが、頻繁な1on1を実施するためには、膨大な時間の確保が必要です。

従業員は業務をする中で、様々な悩みを持つことも考えられます。そのような従業員の不安や悩みに寄り添うことも必要になってきますが、上司が全てをカバーするのは非常に難しいといえます。

そこで、キャリアコンサルタントの役割が非常に重要になってくることが考えられます。

人事評価制度におけるキャリアコンサルタントの重要性

従来の人事評価制度でも、キャリアコンサルタントは重要な役割を担っていますが、「ノーレイティング制度」の導入においては、キャリアコンサルタントの重要性が非常に高まっています。

キャリアコンサルタントは従業員のキャリア目標や成長ニーズを理解し、適切なアドバイスや支援を提供することで、「ノーレイティング制度」の効果的な運用を支える役割を果たします。

企業内でのキャリアコンサルタントの役割

キャリアコンサルタントの企業内での役割は、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
 

  1. キャリア形成支援
  2. 目標達成へのサポート
  3. 環境への働きかけ

 
順番に見ていきましょう。

1.キャリア形成支援

 
キャリアコンサルタントは、従業員のキャリア形成に必要なリソースや情報を提供し、仕事にやりがいを感じながら成長できるように、専門知識でサポートしていきます。

また、キャリア形成支援だけでなく、伴走者としての立ち位置から、上司と部下をつなげる役割も担うことによって、マネジメントをする立場である上司の負担軽減にもつながります。

従業員個々の能力や志向に合わせたコンサルティングを通じて、従業員が主体的にキャリア形成に取り組める環境を整備していきます。

2.目標達成へのサポート

 
キャリアコンサルタントは、社員の能力やスキルを評価し、能力を向上させるためのトレーニングや教育プログラム、社内の支援制度などを提案するなど、現在の職務や将来のキャリア目標のサポートを行っていきます。

3.環境への働きかけ

 
キャリアコンサルタントは円滑な職場環境を支援するため、組織内での人間関係やチームの動きを把握し、社内環境がよりよくなるためのアドバイスやサポートを提供します。

まとめ

この記事では、ランク付けをしない人事評価である「ノーレイティング制度」について解説しました。

働き方改革やコロナ禍、DX加速化など、企業や従業員を取り巻く環境や状況が変化しています。このような変化に対応するためには、企業内の制度も変化に適応していくことが求められます。

その中で、キャリアコンサルタントはより重要な役割を果たすことが期待されており、ますます需要が高まることが予想されるでしょう。

Q&A

「ノーレイティング制度」とはなんですか
「ノーレイティング制度」とはランク付けをせずに従業員を評価する人事評価制度です。
レイティング制度と「ノーレイティング制度」の違いとは
レイティングは現在一般的に採用されている、年次評価によるランク付けによって評価を行う、従来の人事評価制度なのに対し、「ノーレイティング制度」は定期的に上司と1on1を通じて目標を設定し、その都度フィードバックを行い、評価に繋がるという違いがあります。
「ノーレイティング制度」のメリットとは
「ノーレイティング制度」は、従業員ひとり一人に合った評価ができるため、従業員のモチベーション向上が期待できます。
「ノーレイティング制度」のデメリットとは
評価をする上司の負担が大きくなることが考えられます。そのため、企業内にキャリアコンサルタントなどを配置することが重要とされています。

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