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MENTAL HEALTH - 2019.11.30

カウンセラーを目指す方なら知っておきたい!働く人のメンタルヘルス対策【5】「ダイバーシティ支援:障害者の雇用・支援」

働く人のメンタルヘルス対策【5】「ダイバーシティ支援:障害者の雇用・支援」

ダイバーシティ(社会の多様性)という言葉がこの数年で急激に注目されるようになりました。人種、国籍、年齢、性別、障害などに左右されずに、多種多様な背景・価値観をもった人々が共に気持ちよく働ける社会を目指し、国を揚げての取り組みが行われています。中でも、育児や介護と仕事の両立支援と並んで急がれている対策が、障害者の雇用・支援です。

このページでは、障害者と職場の人々が互いに尊重し合い、やりがいを感じて働けるような職場作りを目標とした障害者の雇用・支援、特に精神障害者の支援についてご紹介します。

急務とされる障害者雇用の現状

障害者には身体障害者、知的障害者、精神障害者の障害者種別があり、18歳以上(精神障害者は20歳以上)~65歳未満の在宅者は身体障害者111万1000人、知的障害者40万8000人、精神障害者202万3000人、総計で354万2000人と報告されています。一方で障害者の雇用状況は2016年時点で、身体障害者32万8000人、知的障害者10万5000人、精神障害者4万2000人で総計では47万4000人。13年連続で過去最高の雇用者数 が報告されています。この数字は働きたいと考えている障害者は非常に多く、障害者雇用の市場には未知なる可能性が秘められていることを示しています。

精神障害者の雇用率が拡大

この中でも注目したいのが、近年、雇用率が高まっている精神障害者です。身体障害者の雇用率はほぼ横ばい、年によっては減少を見せるものの、精神障害者の雇用率は2006年辺りから10年足らずで大きな伸び を見せています。

精神障害者の中には即戦力となり得る職務経験がある方もいて、企業の多くの人事担当者は自社に必要な人材が精神障害者の中にいることを理解しています。しかしながら、「社内への配慮」などからなかなか採用に踏み切れなかったという一面もありました。

障害者雇用が拡大している背景 ~政府の取り組み

ではなぜ、障害者雇用が広がりを見せているのでしょうか?
その背景には、冒頭に触れたダイバーシティへの対応や2020年を契機とした「心のバリアフリー、障害者への理解促進・交流、障害者への活躍推進」もあります。様々なメディアを通じて、障害者に関する色々なテーマが話題となっています。こういった動きが、障害者への理解や活躍推進について、考えるきっかけとなっていることでしょう。

雇用という点では、厚生労働省が「障害者雇用対策指針」を打ち出しています。2018年には「企業は全従業員の2.2%以上の障害者を雇用すること」が明記され、45.5人以上の企業は1人以上雇用することになりました。
雇用をしていない場合は障害者雇用給付金として法定雇用障害者数に不足する障害者数に応じて、1人につき月額5万円を支払わなければなりません。つまり、企業における障害者雇用が義務化されたのです。

障害者雇用における企業が抱える課題

一方で、義務化されたとはいえ、障害者と一緒に働くという環境に慣れていない企業が多いのも事実であり、前例がないことへの不安は、当然あることでしょう。

●障害者のための業務創出、就業環境や人事環境整備など、新たな業務の発生
●企業として必要としている人材が本当に雇用できるのか
●障害者が従事する業務として適切な内容の業務が切り出せるのか
●雇用後、安定して就業できるのか、業務として定着できるのか
●現場となる職場の人々にかかる負担や責任
●障害・障害者への知識の不足
●トラブルが発生した際にどうように対応すればいいのか
●どのような配慮が必要なのか
●どのようにコミュニケーションをとればいいのか、上司として管理すればいいのか

このように、雇用や支援を行う人事担当、配属された職場の管理者や同僚が新しい悩みを抱えることになり、それが障害者の理解を深めて、雇用を進めることへの足枷になっているようです。「精神障害者の雇用の拡大」の中で述べた「社内への配慮」も、このような課題が背景にあります。

職場で問題化しやすいといわれる精神障害

これまで通常業務に就いていた労働者が、うつ病や適応障害、統合失調症、不安障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、パーソナリティ障害などの発症により、精神障害者となることも考えられます。ところが精神的な疾患は、身体疾患の健康診断結果の数値異常などのように具体的にわかることが少ないため、本人も職場の人間も病気に対する認識をもちにくいもの。さらに、診断や回復の判断にも客観的・生物学的な指標がなく、対応が遅れがちになってしまうのです。
加えて、回復に時間がかかって長期の休職になる、復職後に再発しやすいといった特徴があります。そのため、精神疾患となった労働者は職場への負い目や責任を感じてしまう、生産性の低下や周囲の業務負担の増加によって職場のモチベーションやパフォーマンスに影響するといった問題に発展しやすいようです。精神障害者を雇用することへのネガティブなイメージは、このような問題から生まれているのかもしれません。

発達障害を持つ方に対して

精神疾患の方の中には発達障害を持っている場合もあります。

●指示や依頼が伝わっているのかわからないような、伝達の不明確さを感じる
●言葉のとり違えなどのコミュニケーションの齟齬が多い
●判断基準が一般的ではないことがある
●何度も同じことを質問したり、注意されたりする
●メールの送信先を間違えたり、数字が書面と合致していなかったりする
●モノをすぐになくし、見つからないなどの管理能力が乏しい

以上のようなことが概して個性として収まる範囲か、個性では収まらずに問題を起こしてしまっているのかも判断するポイントの一つです。発達障害をもつ人は、生まれつき脳に脆弱性がある、発達の遅れではなくて能力に偏りがある、これらの問題によって社会での生きづらさを感じているといった悩みを抱えています。なお、脳に脆弱性があったり能力に偏りがあったりしても、長所を活かせて社会に適応していれば、発達障害とは診断されないようです。

職場での発達障害を持つ方への対応と支援

発達障害者が職場に適応するために重要となるのは、業務のどのようなところが問題となっているのかという「本人にとっての生きづらさ」を明確にすることです。問題点が明確になれば、周囲もどの場面でどのように支援すればいいのかがはっきりし、双方の生産性につながります。

産業医などの専門家や人事担当、労務担当を含めて、発達障害者である本人が「できる」と思っていることを実際にアセスメントとして行うのも有効です。本人の作業能力の向上やコミュニケーション能力・社内ルールの習得、自信の回復に役立つほか、周囲の人々も対応の仕方を学び、確認することができます。この中で、業務の手順をタスクとして文章化する、指示や依頼はメモやボイスレコーダーを活用する、相手の顔を見て話たり依頼をうまく断る練習をする、書類作成ではダブルチェックなどのルールを決める、締め切りやノルマがタイトな業務は避けるといった具体的な対策を見つけていきます。

コミュニケーションの問題では「急いで」「きちんと」「なるべく早く」といった曖昧な表現ではなく、「○時までに」「この手順で最後までやってください」「この業務が終わったら次にそちらの業務を」というように具体的な表現にするとミスが少なくなることもあります。
発達障害を持つ方は感覚過敏でストレスに弱い方も多いので、人の目を気にせずに落ち着ける場所を確保する、デスクの配置を変える、人の少ない時間に作業ができるフレックスタイムを導入するといったことで大きく変わることもあります。

障害者雇用支援でのEAPメンタルヘルスカウンセラー、EAPコンサルタントの役割

障害者雇用の課題に直面している企業、障害を抱えている労働者からの相談を受け、職場の全ての労働者が働きやすい土壌を作るのがEAPメンタルヘルスカウンセラーやEAPコンサルタントです。

企業に対しては、前述の課題をデメリットとしてとらえるのではなく、業務の切り出しや進め方、職場全体がライフスタイルや働き方などを見直し、ワークライフバランスの両立支援を考えるきっかけとするというようにメリットが生まれるように働きかける必要があります。EAPメンタルヘルスカウンセラー、EAPコンサルタントは障害者雇用促進法、障害者差別禁止指針、合理的配慮指針、各種助成金制度などに精通しているので、雇用支援体制を整えるための方策やセミナーなどの開催を通しての環境配備、雇用後の相談に幅広く対応します。現在の業務だけではなく、客観的・将来的な視点に立って、それぞれの企業に合わせたアドバイスや提案ができるでしょう。

障害を抱えている労働者とその職場の人間、人事担当、労務担当らのカウンセリングも行い、障害者、職場、企業それぞれの悩み・問題を明確にすることも大切です。精神障害者の支援においては、精神医療科などの専門医療機関や精神保健医療センターなどとの連携も重要です。一方で、EAPメンタルヘルスカウンセラー、EAPコンサルタントとして専門性を越えると判断されるなら、速やかにほかの専門機関の紹介や支援要請をする「リファー」があることを常に心に留めて おきましょう。

まとめ

今回はダイバーシティ支援の一つとして注目されている障害者の雇用・支援をテーマに解説しました。障害者雇用に取り組むということは、CSRの観点から企業のイメージアップにもつながります。同時に、障害者と共に働くことによって、障害者視点による新しい商品やサービスの開発の可能性があり、これまで考えもつかなかった新しい業務で生産性が上がるかもしれません。障害者雇用は、企業にとっても障害者にとっても、また支援を行うEAPメンタルヘルスカウンセラーやEAPコンサルタントにとっても、様々な可能性を広げていくきかっけになるのではないでしょうか。

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