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MENTAL HEALTH - 2020.01.21

カウンセラーを目指す方なら知っておきたい!働く人のメンタルヘルス対策【7】「ダイバーシティ支援:育児と仕事の両立支援」

働く人のメンタルヘルス対策【6】「ダイバーシティ支援:育児と仕事の両立支援」

近年、「ダイバーシティ(社会の多様化)」により、様々な価値観が認められるようになってきました。メディアなどを通して、それぞれの価値観に触れ、社会の多様性を実感している人も多いことでしょう。
しかしながら、労働という視点においてはどうでしょうか?
働き方改革やメンタルヘルス対策などが叫ばれる中、この多様性への対応(ダイバーシティ支援)も重要な問題です。中でも数あるダイバーシティ支援の中でも対応が急がれているものの一つが、育児と仕事との両立支援です。今回は「育児と仕事の両立支援」をクローズアップしてお届けします。

ダイバーシティ支援をする上で考えなければならないもの

ダイバーシティ支援をするうえで考えなければならないのは、就労時間や業務内容などの労働条件はもとより、周囲の理解とサポートといった要素も問題となることです。就労することはできても、職場での理解が得られずに苦しんでいる人がいるかもしれません。
多様性を持つ世の中で、誰もが生き生きと働ければ、企業の生産性も上がるものです。ダイバーシティ支援には事業者のCSR(企業の社会的責任)として意義に加え、多様性をもつ労働者を包括して、いかに生産性につなげることができるかということも含まれます。

EAP(従業員支援プログラム)の視点でのダイバーシティ支援

ダイバーシティ支援におけるEAPメンタルヘルスカウンセラーの役割には次のようなものがあります。
・職場での多様性をもつ人々の悩みや問題への対応(本人、管理監督・人事労務担当者、事業者のいずれにも対応)
・悩みや問題解決に必要となる組織的・個人的サポートに関する情報の収集・整理・提供
・職場の産業保障体制などの仕組み作りの提案・実践

悩みを持つ本人はもとより、その人を取り巻く職場や家族全てを対象として、EAPメンタルヘルスカウンセラーは、労働者と事業者双方の利益となるように、幅広い視野でサポートしていくことになります。

働く女性「ワーキングマザー」をめぐる現状

今回のテーマは、ダイバーシティ支援の中でも対応が急がれているものの一つとして挙げられている「育児と仕事の両立支援」です。ではなぜ「ワーキングマザー」へのダイバーシティ支援が必要とされているのでしょうか?

日本では、就職を希望しながらも働いていない女性が300万人もいます。
管理的立場にある女性の割合は緩やかな上昇傾向にあるものの、国際的にはまだ低いことなどが課題となっています。加えて、第一子出産を機に約5割が離職するなど、育児を理由に仕事を辞める女性が依然として多く、再就職してもパートなどの非正規雇用が多いのが現状です。

妊娠・出産は女性の身体に大きな影響を与えると同時に、精神面やライフスタイルそのものへも変化を強いるものです。仕事を続けたくても両立が難しいと判断して、仕事を辞めるケースは多数あります。

体調の理由としては、「体力がもたなかった」「つわりがひどかった」「産後の不調」などが挙げられます。
また、子どもは体調を崩しやすく、思わぬケガなども考えられます。「勤務時間が合わなかった」「子どもの病気などで何度も休まざるを得なかった」などを理由に挙げる女性は非常に多いのです。
さらには「育児休暇の制度が充分ではなかった」「育児休暇を取れる雰囲気ではなかった」「育児との両立を支援する雰囲気ではなかった」というように職場に起因するもの、「家族が辞めることを希望した」など周囲の環境や支援体制による場合も少なくありません。
また、初めての妊娠・出産は特に不安が募り、精神的に不安定になることもあるでしょう。

育児と仕事の両立における課題

以上のような理由を背景に、女性が労働という場面において十分に力を発揮できていないのが現状なのです。その一方で、少子化、高齢化社会、人口の減少が問題となっているのは周知の事実。労働力不足の解消は、もはや最優先課題といっていいでしょう。現在の働き手である女性はもちろん、育児との両立支援を通して、将来の担い手である子どもたちの成長を手助けすることに大きな意味があるのです。

育児と仕事を両立させている女性にも課題はたくさんあります。1人で仕事・家事・育児の全てをこなさなければならない「ワンオペ育児」、最前線で働いていた女性が復帰後は必要最小限の業務だけになってしまい、就労への意欲が失われてしまう「ぶら下がりワーママ」などはその代表的な例です。

法的にはどのような対策がとられているのか?

次に、厚生労働省による法的な支援策について紹介しましょう。男女雇用均等法のもと、事業者は妊娠・出産前後の女性に対して「母性健康管理」が義務づけられています。「母性健康管理」においては、保健指導や健康検査を受けるための時間の確保、勤務時間の変更や軽減といった指導事項を守ることができるようにするための措置、妊娠・出産を理由とする不利益な取り扱いの禁止などが取り決められています。
育児休業の期間や所定労働時間を短縮する制度、残業の制限、看護休暇、正社員ではない有期契約労働者への対応など、細かく規定されていますので、妊娠中や出産前後、育児中、正社員、非正規雇用など、それぞれの状況や仕事の事情に合わせて事業者へ申請することができます。

男性の育児休業取得の重要性「イクメンプロジェクト」

前述の課題への対策を進めるには、女性に対して育児と仕事の両立のしやすさを考えるだけではなく、男性の育児参加も重要事項といえるでしょう。男性の育児参加は妻である女性の働き方や子どもたちの可能性、家族のあり方そのものを大きく変え、ひいては社会の豊かさにつながっていきます。
ところが、2017年の男性の育児休業取得率は5.14%に留まっているのが現状。女性と同じように育児に携わりたいと願っていても、職場の状況などから思うように育児休業がとれないケースが多いようです。
そこで厚生労働省では、男性も育児を楽しみ、父親として、男性としての成長にもつながるよう、「イクメンプロジェクト」と題して、男性の育児休業取得を推進しています。「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、労働者・事業者・国・地方団体などが果たすべき役割や目指すべき将来像が明記されました。
また、男性の育児休業取得率の目標数値は2020年に13%と設定され、いよいよ男性が積極的に育児休業制度を活用することが望まれています。育児休業制度は男性も女性も同様に取得でき、配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます。

中小企業への対応措置「育休復帰支援プラン」

厚生労働省は事業者に対しては、主に中小企業を対象とした「育休復帰支援プラン」を用意しています。「母性健康管理」などの法制の周知にはじまり、産休・育休復帰支援面談シートや男性従業員の育児計画書といった各種ツール、代替要員やシフト調整などのマネジメントのモデルプランを詳しくマニュアル化。法制に則ったサポート体制を徹底して、産休や育休を望む労働者が安心して取得できるよう、職場側も気持ちよく送り出せるように注力しています。
「育休復帰支援プラン」に沿って職場環境を配備することにより、職場のマネジメントが改善されて業務の効率化にも役立つことでしょう。

育児と仕事の両立支援でEAPメンタルヘルスカウンセラーができること

最後に、EAPメンタルヘルスカウンセラーとして具体的に提案・実践できることについてみていきましょう。育児と仕事の両立支援を実践することよって母性衛生管理へのコンプライアンスを遵守すること、CSRを推進することなどの事業者としての役割を伝え、実用化に向けてお手伝いします。

母性衛生管理のコンプライアンスでは、事業者や職場の関係者以外に、妊娠中・育児中の労働者本人との面談にも対応し、各々の職場に応じてどのような問題が生じやすいのか、実際に悩んでいる人はいないのかを把握する必要があります。
またCSRに積極的に取り組んでいるということは、ブランドイメージのアップにもつながります。例えば、厚生労働省の子育てサポート企業認定マーク「くるみん」を受けることによって、女性が安心して働ける企業であると人材募集事項でアピールすることが可能です。また、「一億総活躍」という政府の方針への取り組みとしても、間違いなく有効といえるでしょう。

まとめ

グローバル化が進み世界から注目を集める日本企業ですが、女性の進出や育児と仕事の両立では依然として問題が山積みです。事業者側も支援体制を整えるまでには行きついていないのかもしれません。しかし、職場の環境が変われば、妊娠中・育児中の女性をはじめ周囲の労働者の意識も変わり、働く意欲もわいてきます。EAPメンタルヘルスカウンセラーは、将来への投資として、社会全体が意識改革できるような提案をしたいものですね。

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