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MENTAL HEALTH - 2019.08.26

カウンセラーを目指す方なら知っておきたい!働く人のメンタルヘルス対策【4】職場におけるハラスメント問題

働く人のメンタルヘルス対策【4】
職場におけるハラスメント問題

パワーハラスメント、セクシャルハラスメントなど、職場におけるハラスメントが問題となるケースが増えています。「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」(連合調べ)によると、「職場でハラスメントを受けたことがある」と答えた人は38% にも上っています。

職場でのハラスメントによりメンタル不調を引き起こす従業員も増えており、中にはハラスメントにより休職・離職してしまう人もいます。企業にとってハラスメント問題への対応は急務であるといえるでしょう。
このページでは、職場におけるハラスメントとその実態について解説します。

「ハラスメント」とは?

「ハラスメント」とは、「嫌がらせ・いじめ」のこと。相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけられたと感じさせたり、脅威を与えたりする行為が該当します。ここで重要となるのは、その発言・行動をした本人の意図に関係なく、「相手がどう感じたか」ということです。嫌がらせやいじめを行うつもりがなくても、その発言や行動が、相手を傷つける行為、苦痛を与える行為、不利益を与える行為になると、ハラスメントとなってしまいます。

先述の「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」(連合調べ)では、上司からのハラスメントで多いのは「脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」となっており、同僚からは「隔離・仲間はずし・無視などの人間関係から切り離し」 のハラスメントが多くなっています。

それでは、職場におけるハラスメントにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

パワーハラスメント(パワハラ):従業員向けの相談窓口で最も相談の多いテーマ

「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」(厚生労働省)によると、従業員向けの相談窓口で最も相談の多いテーマが「パワーハラスメント(32.4%)」であり、過去3年間に1件以上のパワーハラスメントに該当する相談を受けたと回答した企業は36.0%でした。さらに、過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した従業員は32.5%で、平成24年度実態調査の25.3%を上回っています。

厚生労働省によると、「職場のパワーハラスメント」は以下のように定義されています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
(厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」 より)

では、具体的にどのような行為が「パワーハラスメント」となるのでしょうか。厚生労働省では、「職場のパワーハラスメント」を6つの類型 に整理しています。

1 身体的な攻撃:暴行・傷害
2 精神的な攻撃:脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3 人間関係からの切り離し:隔離・仲間外し・無視
4 過大な要求:業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5 過小な要求:業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6 個の侵害:私的なことに過度に立ち入ること

これらは典型的な例を類型化したものです。上記以外の行為がパワハラに該当することもあります。重要なことは、何がパワハラにあたるかを認識し、パワハラの予防・解決に向けた取り組みを行うこと。近年、企業のパワハラに対する予防・解決の意識は高くなっており、52.2%の企業が取り組み実施しています。また、パワハラに限らず、従業員向けの相談窓口を設置している企業は73.4% 。職場におけるハラスメントをはじめ、従業員の労働環境やメンタルヘルスなどの改善に取り組む企業が多いこともわかります。

セクシュアルハラスメント(セクハラ):職場だけでなく、就活のハラスメントも問題に

職場でハラスメントを受けた女性の38%が被害者 となっているのが、セクシュアルハラスメントです。また、取引先からのハラスメントで多いのも、セクシュアルハラスメント となっています(「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」連合調べ)。

セクハラは、以下のように定義されています。
「『職場』において行われる『労働者』の意に反する『性的な言動』により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること」
(厚生労働省委託事業 ハラスメント悩み相談室「セクシュアルハラスメント」より)

「職場」とは、働いているところだけではなく、出張先、職務の延長と考えられる宴会なども該当します。労働者は、正社員に加え、契約社員、パートタイム労働者など、非正規労働者も含まれます。さらに、派遣労働者に関しては、派遣先の事業主は、自ら雇用する労働者と同様に扱うことが必要となります。

セクハラには、「対価型」「環境型」と2つの種類があります。

「対価型」は、「経営者から性的な関係を強要されたが、拒否したら解雇をされた」という場合が該当します。従業員の意に反する性的な言動に対して拒否したり、抵抗したりしたことで、解雇や配置転換などの不利益を被るものです。「環境型」は、セクハラ行為により、就業環境が不快なものとなり、従業員の業務に支障が生じる場合のことです。

また、職場だけではなく、就職活動中のセクハラ も問題となっています。「就職活動中にセクハラを受けた」と答えたのは10.5%(「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」連合調べ)で、男女・世代別では20代男性が5人に1人の割合と最も多くなっています。女性では30代で15.5%、20代で12.5%が就活中にセクハラを受けています。性的な冗談やからかい、性的な事実への質問、食事やデートへの執拗な誘いなどのセクハラにより、38%が「就活のやる気喪失」、14%が「人と合うのが怖くなった」と回答。従業員はもちろん、就職活動中の人に対しても配慮する必要があるのです。

マタハラなど妊娠・出産、育児休業・介護休業等に関するハラスメント

近年、問題となっているハラスメントのひとつが、妊娠・出産、育児、介護などに関するものです。

厚生労働省のWebサイト では、
「『職場』において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した『女性労働者』や育児介護休業等を申出・取得した『男女労働者』等の就業環境が害されること」とされています。
(厚生労働省委託事業 ハラスメント悩み相談室「セクシュアルハラスメント」より)

妊娠や出産に関するマタニティハラスメント(マタハラ)の場合、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などで、マタハラの防止措置をとることが使用者の義務とされています。

まだまだある職場におけるハラスメント

・モラルハラスメント(モラハラ)
言葉や態度による精神的な暴力・嫌がらせのこと。パワハラやセクハラは、モラハラの一種です。

・ジェンダーハラスメント
「男らしさ」「女らしさ」で判断し、相手を非難するハラスメント。LGBTに対するハラスメントも問題となっています。

・アルコールハラスメント
お酒の席での飲酒の強要、意図的な酔いつぶし、飲めない人への配慮を欠くこと、迷惑な行為や発言などのハラスメントです。

・エイジ・ハラスメント
年齢による差別のことで、他のハラスメント以上に、誰もが加害者にも被害者にもなる点が特徴。「もう若くないんだから」「若い世代に任せて」などの言葉もハラスメントになりえます。

他にも、タバコにまつわる「スモークハラスメント」、就活中の学生に対して他企業の辞退や就職活動の終了を強要する「終われハラスメント」、SNSでのコメントなどを強要してストレスを与える「ソーシャルメディアハラスメント」なども職場で起こりうるハラスメントです。

職場でのハラスメントにどう対応するか

ハラスメント問題は、従業員のメンタルヘルスの不調にもつながります。ハラスメントを受けた人は「仕事のミスやトラブルが多くなった(男性24.4%、女性10.1%)」という人も多く、ハラスメントが従業員の生産性低下につながっていることがわかります。また、 ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気がなくなった」、22%が「心身に不調をきたした」、19%が「仕事をやめた・変えた」と答えています。さらに、ハラスメントを受けた20代の3割近くが離職を選んでいるというデータもあります(「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」連合調べ)。

パワハラに関しては、予防・解決の効果が高い取組として、相談窓口の設置や従業員向けの実施を挙げている企業が多くなっています(厚生労働省「平成28年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査」より)。複数の取組を実施することが、従業員にとっては職場環境の改善などの効果を感じやすいようです。

しかし、職場でハラスメントを受けたことがある人のうち、「誰にも相談しなかった」という人は44.0%。「相談しても無駄だと思ったから」「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」「誰に相談してよいのかわからなかったから」という人が多いようです。職場でのハラスメントを予防・解決に力を入れている企業は増えていますが、被害を受けた従業員が相談しやすい環境を作ることも重要になります。

こうした職場におけるハラスメントにおいて適切な対応と被害にあった従業員のケアを行う際に効果的なのが、働く人のメンタルヘルスケアを行う「EAP(従業員支援プログラム)」です。EAPメンタルヘルスカウンセラーは、メンタル不調を抱える従業員やその周囲の人に対して、カウンセリングを行い、問題の解決を支援します。つまり、ハラスメントの被害を受けている人、加害者となっている人や周囲の人も含めてカウンセリングを実施するため、効果的な解決策を提案しやすくなり、適切なケアを行うことにつながるのです。

まとめ

このページでは、職場におけるハラスメント問題について解説しました。
従業員のメンタルヘルス対策において、ハラスメントに関する問題は避けては通れません。職場では様々なハラスメント問題が起こり得ます。ハラスメントによるメンタル不調、休職・退職を未然に防ぐためにも、EAPやメンタルヘルスのプロフェッショナルの知識とスキルが必要となります。カウンセラーやキャリアコンサルタントとして活躍している方、目指している方にとって、この記事が参考になればと思います。

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