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MENTAL HEALTH - 2019.12.26

「うつ病」からの復職支援とキャリア構築:ガイドラインと支援の流れ

「うつ病」からの復職とキャリア構築:ガイドラインと支援の流れ

職場では、成果主義、過重労働など、さまざまな要素が絡み合って、ストレスからメンタルヘルスの不調を訴える労働者が増えています。中には「うつ病」などの心の病にまで発展するケースも少なくはなく、メンタルヘルス上の理由から1カ月以上の休職者、または退職者を抱えている事業場は7.6%におよびます。一方で、病気休業制度利用者のうち、復職率は51.9%で2人に1人は復職していないこと、がんの次にメンタルヘルスによる退職率が高いことなどが報告されており、企業側の損失も大きいことが伺われます。

このような状況から、心の病を抱える労働者へのサポートには業務時間の短縮や休業制度の利用だけではなく、その先の復職まで考慮して、万全の支援を行うことが事業者にとっても大切といえるでしょう。
このページでは、職場復帰支援の基本的な考え方や支援の流れについて解説します。

職場復帰支援の基本的な考え方

病気を理由に休職する労働者の多くはさまざまな不安を抱えているものです。病そのものへの不安もありますが、体力的・精神力的に休職する前と同じように働けるのか、同じ部署の同じ仕事に戻れるのか、求職前と同じ条件で働けるのか、リストラの対象にならないのかといった復帰してからの不安も尽きません。特に心の病であれば、そのような不安からストレスを増長させる可能性も考えられます。
ゆえに、休職者の上司や人事担当の管理監督者は、休職中の不安要素を軽減させるために、休職者に「仕事の心配はしなくても大丈夫です」と伝えることが大切です。また、将来的な不安要素も軽減するためにも「複職後のサポートも準備しているから安心してください」という内容を伝えることも重要です。治療に専念させるような環境をつくることが何より大事です。それによって、より早期の職場復帰も叶うかもしれません。
また、職場での働きやすい環境づくりや互いに思い合う優しい風土作りなども、大事な要素になります。

職場環境の整備に必要なこととは?

では、どうすれば働きやすくて人に優しい職場環境を作り出せるのでしょうか?
管理監督者の意思だけで実現するものではありません。何よりも事業者・事業場全体がそういった姿勢を打ち出すことが大切です。職場復帰支援のプログラムやルールを策定するなどの具体的な土台があって、初めて環境整備に乗り出せるものです。
管理監督者は事業者・事業場の指針に基づいて、公平な態度で全ての労働者に対応することが好ましいとされています。

職場復帰支援の基本的な流れ ~5つのステップ

具体策といえる職場復帰支援のプログラムやルール策定のための流れを紹介しましょう。厚生労働省では「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」を通じて、労働者が安心して休職、復職できるように指導しています。支援体制としては大きく分けて5つのステップがありますが、各ステップを完全に独立させて行う必要はありません。休職者と事業場、それぞれの事情に応じていくつかのステップをまとめたり、繰り返したりして、臨機応変に実践していくのがよいでしょう。

(1)第1ステップ「病気休業開始および休業中のケア」
労働者がかかっている主治医の病気休業診断書が労働者より管理監督者に提出されてから、実際に休職している期間です。

(2)第2ステップ「主治医による職場復帰可能の判断」
休職者が管理監督者に復帰の意思を伝えると、管理監督者あるいは事業者は、復帰が可能であることを明記した主治医の復職診断書の提出を休職者に求めます。

(3)第3ステップ「職場復帰可否の判断および職場復帰支援プランの作成」
職場復帰の最終判断の準備として、復帰に必要な情報の収集と判断、それらに基づいた復帰支援の具体的プランを作成します。

(4)第4ステップ「最終的な職場復帰の決定」
第3ステップでの内容を踏まえて、事業者が職場復帰可否の最終的な判断を行います。

(5)職場復帰

(6)第5ステップ「職場復帰後のフォローアップ」
管理監督者や事業場内産業保健スタッフによる観察とフォローを通して、定期的な職場復帰支援プランの見直しも行います。

5つのステップで留意すべきポイント

各ステップで行うことを詳しくみていきます。

第1ステップ「病気休業開始および休業中のケア」はまさに休職している只中ですが、やみくもに治療に専念させればいいというものでもありません。これまでに述べた通り、休職者は将来的な不安も抱えているため、休業が必要と判断された時点から職場復帰支援は必要になります。傷病手当金などの経済的保障、休業期間の保障、職場の状況の報告、職場復帰支援のしくみなどの情報を提示し、安心して治療に専念できるようにしましょう。刺激を与えないために連絡をとらないようにしたり、逆に必要以上に連絡をとろうとしたりする場合がありますが、それが適切であるかはケースバイケースなので、管理監督者の独断で進めるのではなく、事業場内産業保健スタッフなどを交えて連絡の頻度などを検討するべき。また、リハビリとしてリワークなどを勧めるのも1つの手段でしょう。

第2ステップ「主治医による職場復帰可能の判断」で気をつけたいのは、主治医の判断と職場が求めている業務遂行能力が必ずしも一致しているかどうかはわからないということ。産業医や事業場内産業保健スタッフなど、休職者と職場の事情の両方を客観的に理解できる立場の人間と連携する必要があります。特殊な職場や産業医がいない職場であるなら、医療機関が用意している診断書ではなく、一般的な書式により具体的な就業上の配慮の記載欄を追加した診断書を用意するのはよい方法です。

第3ステップ「職場復帰可否の判断および職場復帰支援プランの作成」では、さらに3段階に細かく分かれます。

(1)「情報の収集と評価」:休職者の職場復帰の意思確認、主治医・産業医からの意見、休職者の病状の評価(治療状況、回復状況、業務遂行能力、今後の就業に関する考え方、家族の意見など)、職場環境の評価(業務および職場との適合性、職場の支援体制の準備の有無など)といった様々な視点での情報や意見を総合的に評価します。

(2)「現場復帰の可否の判断」:「情報の収集と評価」の結果に基づいて、主に事業場内産業保健スタッフらが中心となって判断します。

(3)「職場復帰支援プランの作成」:復帰日程、管理監督者による就業配慮(業務内容のサポートや変更、段階的な配慮や業務量の変更など)、人事労務管理上の配慮(配置転換、異動、勤務制度変更の有無など)、産業医らによる医学的見地の意見、管理監督者や事業場内産業保健スタッフのフォロー方法といったことを細かく検討します。

第4ステップ「最終的な職場復帰の決定」で事業者より職場復帰の判断が下されたら、その旨を休職者に通知。最終的な決定の際には産業医らが就業配慮などをまとめた「職場復帰に関する意見書」を作成しますから、その内容も通知されます。

第5ステップ「職場復帰後のフォローアップ」は実際には不確定要素を多く、第3ステップの職場復帰支援プラン通りに進むことは少ないのも実状です。復帰した本人のほか、受け入れる側の人々も場合によってはストレスが生じることがありますので、職場への配慮も同時に必要となります。そこで、定期的にプランを見直して、職場全体が支え合えるようにすることが重要です。

職場復帰支援で注意すべきこと ~プライバシー保護

職場復帰支援だけに限った話ではありませんが、メンタルヘルスは非常にデリケートな問題なので、個人情報の管理は最重要課題といっていいでしょう。5つのステップの中で健康情報が取り扱われる場合、それは必要最低限に留めること、必ず本人の同意のもとに行われること、情報漏えい防止の措置をとることは当然、必要なことです。労働者の健康情報を取り扱う際のルールは細かく取り決めをし、情報を扱う立場の者に対しては、文書や社内研修などを通して厳格に守ることを徹底させてください。

EAPメンタルヘルスカウンセラーとして支援できることは?

メンタルヘルスの不調は再発の可能性が高いといわれています。そのため職場復帰支援だけではなく、再発防止のための活動が必要となります。
そこで大きな助けとなるのが、産業保健総合支援センターや地域窓口、中央労働災害防止協会、医療機関等に加え、NPO法人などの外部のEAP機関や、EAPメンタルヘルスカウンセラー、EAPコンサルタントの存在です。
外部のEAP機関や、EAPメンタルヘルスカウンセラー、EAPコンサルタントは、労働者・管理監督者・事業者それぞれへのカウンセリングに加え、義務化されたストレスチェック制度やメンタルヘルス対策に必要な制度の構築のノウハウにも精通しています。第三者的公平な立場として、メンタルヘルス対策の周知、メンタルヘルス不調による休業・離職の防止、再発の防止などに有効な提案を労働者や職場の事情に合わせて提案できるのです。

キャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーとして支援できることは?

労働者側の視点から考えると、病気による休職はキャリアデザインの見直し時期ともとらえることができます。キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーが、キャリアカウンセリングを行い、休職者と一緒にキャリアプランを構築することで、復帰してからのキャリアの方向性をはじめ、自分のスキルの活かし方などもわかり、これまでと異なる可能性を見出すことができるようになります。
キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーのキャリア支援により、心の病と休職で抱えている不安がなくなり、自信を持って復帰することができるでしょう。

まとめ

このページでは、「うつ病」からの復職支援とキャリア構築をテーマにガイドラインと支援の流れを解説しました。
職場復帰支援は制度を整えることだけが対策になるのではありません。制度を整える過程を通して、事業者は労働者に精神的な安心感や安定感を与えることにもつながります。
事業場全体が働きやすく人に優しい環境であれば、メンタルヘルスに問題がない労働者も安心して働き続けることができるはずです。
心の病の再発も軽減され、新たな病の発症を防ぐことにも役立ちます。つまり、事業場の生産性を上げ、企業として成長するためにも、職場復帰支援をあらかじめ整えておくことが大切なのです。

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