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COUNSELOR - 2020.07.23
杉山教授のこころラボ 第4回「コロナの夏は、仕事に恋する夏に・・・」

みなさん、例年なら「夏休みの予定満載!」な時期だったかもしれませんね。ただ、今年の夏はコロナの夏…。政府の進める「GoToキャンペーン」も展開中ですが、感染者が発覚する方の拡大を受けて、なかなか人の移動も加速しない状況ですね。
コロナの夏は、仕事に恋する夏に・・・
コロナ禍の夏…
東京だけの除外を続けるのか、他の地域はどうするのか、はたまた地方も安全なのか…、議論がつきないようです。旅や帰省など、みなさんの夏の予定もなかなか定まらないかもしれません。
また、人の移動だけでなく、各種イベントや会合、研修も開催しにくい雰囲気です。人は特別な体験を必要とする生き物です。単調な日常をいつまでも続けることは困難です。
このコロナの夏、私たちはどう過ごせば良いのでしょうか?不安がり、引きこもり、無為に過ごすような夏にだけはしたくないですね。
安全をモニタリングする原始哺乳類脳
さて、ちょっと視点を変えて、社会と安全という観点から現代社会を考えてみましょう。
社会が安全を志向するのは当然です。私たちの遠いご先祖は、古代の地球では恐竜との大型化競争に敗れました。そして、恐竜に「食われる立場」へと陥落しました。
その状況を生き残るために、私たちのご先祖である原始哺乳類はある脳を獲得しました。それは、安全を強くモニタリングする脳を手に入れました。
私たち人類もそういうご先祖の子孫です。したがって、その子孫である私たち人類が安全を強く志向するのは、ある意味では当然です。実は人間が作った社会は「リスク社会」とも呼ばれています。常にあらゆるリスクに備える方向に向かうのです。
安全への脅威は人間そのものだった?
では、安全にとって最も脅威になるものは何でしょうか?現在の「安全学」の結論としては、「安全にとって最大の脅威になりえるのは人間そのもの」とされています。これはどういうことなのでしょうか?
人は秩序を志向する生物ですが、常に秩序通りに動くわけではありません。つまり、「不確実性」も持っています。社会は秩序が保たれなければ崩壊してしまいます。したがって、社会に人が増えるということは、「不確実性」が増す…ということになります。
一方で、社会は人がいなくなったら消滅してしまいます。社会は安全を志向するものですが、社会を脅かし得る「人間」をそこに置かなければなりません。「人の不確実性が社会の脅威になりえる…」このことに注目すると、安全を志向する社会が、脅威になりえる人を内包するのは大いなるパラドックスで矛盾です。
「安全」という観点では、社会とはこのようなパラドックスの妥協点、もしくはバランスの中で成立する不安定なものなのです。
新型ウィルスで人の持つ不確実性がMAXに!?
現代社会はリスクを嫌い、リスクに備えようという力学が働く「リスク社会」です。その中において、不確実性を内包する「人間」は、社会の「成立要件」であると同時に「重大なリスクファクター」という相反する側面を持っているのです。
そして、現在のコロナ禍においては、人は「感染させるリスク」という不確実性がMAXになっています。今や、誰もが社会を脅かすリスクファクターなのです。
識者からはウィルスそのものの弱毒化の兆しも指摘されています。しかし、リスクを嫌うのが「リスク社会」です。このコロナの夏においては、不確実性満載のリスクファクターである私たちは、それ相応の過ごし方をしなければならないようです。
仕事に恋をしよう!
さて、夏といえば恋の季節…と思う方もいれば、思わない方もいることでしょう。どう思うかは価値観次第ですが、恋は人生に潤いを与える大切なスパイスです。恋がなければ、人生はつまらなくなってしまいます。みなさん、積極的に恋をしましょう。
恋といっても、お相手は必ずしも異性とは限りません。趣味に恋をしてもいいですし、旅に恋をしてもいいです。故郷への恋もいいでしょう。
ただ、今のところ私たちは旅やイベント、趣味などの特別な体験に恋をすることは難しくなったようです。この夏、私たちは何に恋をすれば良いのでしょうか?
私はこのヒントは楽天創業者、三木谷浩史氏の哲学にあると思います。三木谷氏の成功の哲学の一つは、ズバリ「仕事に恋すること」です。
もちろん、「仕事」の意味を私は多義的に解釈していますが、仕事に恋ができる人生ほど素敵な人生はないのではないでしょうか。仕事とは誰かの役に立っているから仕事なのです。誰かの役に立つなら誰かに喜ばれるわけです。
仕事に恋をすれば仕事が楽しくなります。楽しいことをやって、誰かの役に立つなら最高ではないでしょうか。
いろいろと制限されているコロナの夏ですが、私はこの夏は積極的に仕事に恋をして誰かの役に立ちたいと思います。みなさんもこの夏は恋ができる仕事を探し、仕事に恋をする夏にしてはいかがでしょうか。みなさまが、コロナの夏を全力で素敵にしていただければと思います。夏を楽しんでくださいね。
「コロナの夏は、仕事に恋する夏に・・・」
まとめ
杉山教授のこころラボ 第4回では「コロナ禍の夏」をテーマに解説していただきました。コロナ禍の夏の過ごし方のヒントになればと思います。
心の専門家を目指す皆さんにとって有意義となる情報を、杉山教授がわかりやすく解説をしていくのがこのコーナーです。ぜひ楽しみにしていてくださいね。
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この記事を書いた方のご紹介
杉山崇(神奈川大学教授)
リカレント スクール教務顧問
神奈川大学教授/1級キャリアコンサルティング技能士/臨床心理士
脳科学と心理学を融合させた次世代型の心理療法を開発・研究を行う。
うつ病研究、認知行動療法のトップランナー。臨床歴20年以上。著書は20冊以上。
講演、TV、雑誌などメディア実績も多数。
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