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COUNSELOR - 2020.06.19

杉山教授のこころラボ 第3回 「アフターコロナの生き抜き方」-『肯定的不確実性と江戸っ子』

この記事を書いた方のご紹介

杉山崇(神奈川大学教授)

リカレント スクール教務顧問
神奈川大学教授/1級キャリアコンサルティング技能士/臨床心理士
脳科学と心理学を融合させた次世代型の心理療法を開発・研究を行う。
うつ病研究、認知行動療法のトップランナー。臨床歴20年以上。著書は20冊以上。
講演、TV、雑誌などメディア実績も多数。

杉山教授のこころラボ 第3回
「アフターコロナの生き抜き方」-『肯定的不確実性と江戸っ子』

みなさん、東京アラートも解除されましたね。少しずつアフターコロナの暮らしが始まりつつあります。みなさんの周りはいかがでしょうか?

ただ、アフターコロナの暮らしは、すべてが元通りというわけではなさそうです。私は経済の専門家ではありませんが、ちょっと予想してみましょう。というのは、今回のこのコラム、「予測」「意思決定」がテーマなのです。

アフターコロナの世界は?

まず、テレワークで生産性が落ちたと言われる企業もテレワークの機能的導入を検討し始めていますし、それに合わせてオフィスの縮小を検討している企業も少なくありません。
オフィスに会議室を持たない動きはコロナ前から進んでいましたが、オフィスにかかる経費の節減が加速しそうです。
となると、オフィス向けの不動産マーケットがどうなるか…先行きが見えませんね。

また、たとえばみずほ銀行は「コロナ前に戻さない!」をスローガンにアフターコロナを考えると宣言しています。たとえば、融資を受けるまでのプロセスをほぼ全てオンライン化するなどが想定されているようです。銀行の担当者も融資先の担当者も手間が省けて効率的になる…、これがみずほ銀行の考えるアフターコロナのようです。

このような動きは全国の企業に広がっているので、これまで紙ベース、足ベースで行っていたさまざまな活動がオンライン化されることは必至です。人が移動しなくなる分、移動を支える産業もマーケットが冷え込むでしょう。

一方で暮らしを支える物流マーケットは縮小することはないでしょう。むしろ人が移動しない分、物の移動が増えると考えられます。1990年だから2000年代にかけて貨物用の駅や路線を旅客用に転用する動きが続きましたが、アフターコロナではこの逆も起こりえます。高齢者の増加も相まって宅配のマーケットもどんどん拡大することでしょう。

これはアフターコロナの変化のごく一部の予測ですが、このようにアフターコロナがどう変わるのか不確実がいっぱいです。不安になる人も多いでしょう。でも、H.ジェラートの意思決定理論によると不確実でいいのです。

「肯定的不確実性(Positive Uncertainty)」

キャリア理論には「肯定的不確実性(Positive Uncertainty)」という言葉があります。この概念はジェラートが意思決定を論じた中で重視した言葉の一つです。
ジェラードは意思決定を情報整理のプロセスと定義しています。この理論によると意思決定とは情報を整理して何らかの予測を得るところからはじまります。そして、その予測の中で自分が何をするべきなのが、意思を固めるのです。

しかし、どんなに情報を集めて頑張って予測しても、未来を100%見通すことはできません。すべては可能性の世界だからです。したがって、必ず不測の事態はあり得るのです。
なので、100%の予測や補償に拘るといつまでも意思決定はできません。私たちは何もできなくなるのです。

そこで大事なものが肯定的不確実性です。不確実であることを肯定的に受け入れるのです。
アフターコロナの時代がどうなるのか、さまざまに予測されています。しかし、やはりまだまだ不確実です。なので、私はこれからの生き抜き方、そしてこれからの人の支援には「肯定的不確実性」を正しく理解して活用することが極めて重要になると考えています。

一方で、不安遺伝子の保有者が多い日本人は不確実な状況が苦手です。「不確実≒怖い!」と反応しやすいのです。肯定的不確実性に基づいて生き方を考えることは、不安遺伝子の保有者が多い日本では相対的に難しいことが多いのです。

ただ、私たちは先行きが読めない時代に生きざるを得ないことは確かです。その中では、不確実さを肯定的に受け止めるしかありません。その答えがジェラートの意思決定理論だとしても、日本人としてのロールモデルが欲しいですよね。でないと不安になります。

でも、ご安心ください。同じ日本人で、私たちに良いお手本を示してくれるいい人たちがいます。それは江戸時代の「江戸っ子」です。

江戸っ子と言えば「宵越しの銭は持たねえ」が有名ですね。江戸の街は火事の街。木造で密集していて、みんな火を使わざるを得ない…、火事を防ぐのは難しい街でした。江戸っ子はいつ火事が起こるかわからない不確実性とともに暮らしていたのです。「火事は江戸の華!」とワクワクしながら火事を待っていたのでしょうか?

いいえ、違います。江戸の街は火事が起こることを折込済みの超計画都市だったのです。すなわち、「火事が起こったらどうしよう」と怖がるのではなく、「火事が起こったらこうしよう」という意思決定をしていたのです。不確実な不安が現実になった時、どう動くべきか明確だったから、不安遺伝子が高い私たちのご先祖も江戸の街で暮らせていたのです。

意思を持つことが大切

私たちは今、不確実な未来の入り口にいます。「どうしよう」と怖がるのではなく、何が起こっても「自分はこうしよう」という意思を持つことが必要です。
私も不確実性にワクワクするばかりではありません。しかし、何がどう変わっても心理科学者としてみなさまのお力になるという意思決定をしています。
だから不確実性ですが、不確実な未来を肯定的に受け止めています。
みなさまはいかがですか?自分が何をするべきか見えていますか?江戸っ子を参考に、ご一緒にこの先行きの不確実性を乗り越えられたらいいですね。
ご一緒に、アフターコロナの生き抜き方を語り合えるときを楽しみにしています!

まとめ

杉山教授のこころラボ 第3回では「アフターコロナの生き抜き方」をテーマに『肯定的不確実性と江戸っ子』を例二挙げて解説していただきました。
心の専門家を目指す皆さんにとって有意義となる情報を、杉山教授がわかりやすく解説をしていくのがこのコーナーです。ぜひ楽しみにしていてくださいね。

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