皆さん、コロナ禍の中で不安が高まっていると思います。前代未聞の社会活動、経済活動の緊急停止…。この先の時代が読みにくくなってお困りではないでしょうか？
私たちは社会の中で生きるもの…。この先の社会が読めないと何をどうしたら良いのか考えられないですよね。

「コロナ不安とオンラインの心理支援」

無限大の不安

前回の寄稿でご紹介した不安の方程式を思い出してください。手立てが見えないと、不安は一期に「∞（無限大）」に膨らみます。今の状況では、何かと不安になりやすいこととお察しします。

プロとして、一欠片でも幸運を見出そう

ただ、私はどんな不幸の中にも「一欠片でも幸運を」見出すことがカウンセラーの基本姿勢だと考えています。
また、私は預言者ではありませんが、科学者としてこの先を考察することはできます。
みなさんも、プロフェッショナルの1人であり、科学者です。
この事態の中ではありますが、ご一緒に幸運を探し、未来を考えましょう。

感染への不安とアフターコロナ

まず、私たちが手立てを見失っている原因を考えてみましょう。それは、コロナ感染への不安がいつまで続くのか、そして「アフターコロナ」と言われる社会がどのような社会になるのか、この2つが読めないことです。

実はコロナ感染への不安、今は時間との戦いです。免疫の仕組みや治療薬の研究も進み、有効な「手立て」に日々近づいています。活動再開は意外と近いかもしれません。

ただ、活動再開後の社会が見えません。経済の落ち込みや大失業が予想され暗いニュースが多いですよね。

資本主義社会は崩壊しない

しかし安心して下さい。私たちが生きているステージは資本主義社会です。資本主義社会は、バブルと不況を繰り返す（概ね10年サイクルと言われています）という宿命があって、これが私たちを悩ませます。
ですが、不況の度に社会の構造的な変化が起こって次のバブル（好景気）につながるのです。

実は、2020年はリーマン・ショック後のバブルの崩壊が予想されていた歳でした。つまり、コロナ禍がなくても経済の落ち込みと社会の構造的な変化は訪れると考えられていたのです。
偶然の重なりですが、この偶然は不幸である一方で、幸運も見いだせるかもしれません。

新しい生活様式

今、私が見つけることができた「一欠片の幸運」は、政府が推す「新しい生活様式」の提案が参考になります。
これが100%定着するかわかりませんが、一定の影響力はあるでしょう。つまり、次の社会の構造的変化の方向性も示されたと言えます。
構造的変化が読めない中では不況が長引くものですが、今回はある程度読めるのです。

アフターコロナで私達にできること

では、私たちカウンセラーの立場で新しい生活様式を読み込むと何が見えてくるでしょうか？それは、オンライン・カウンセリングの定着です。

実はわたしは対面カウンセリング派です。元々、精神科で病理が重い方を相手にしていたので、「同じ空間を共有する安心感」、「非日常の場に身を置く効果」も重要な効果要因でした。したがって、この2つの効果要因を失うリスクを考えがちでした。

しかし、すでにそういう時代ではなくなりつつあります。もちろん、対面カウンセリングがなくなるとは思いません。ただ、オンラインで失われるものではなく、得られるものに注目して新たな面接技術を磨くフェーズに入ったと考えるようになりました。
オンライン・カウンセリングの技術を積み上げて、ご一緒に次の時代の支援の最前線に経つのはいかがでしょうか？

カウンセラーを目指したい方は、今のうちからlineはもちろん、zoomやgoogle meetなど、さまざまなツールを駆使したネットでの対話に慣れておくといいでしょう。リアルな空間から仮想空間に移っても、人と人の対話の技術は活きるものです。みなさまが身につける技術を活かせるように日々の研鑽を積み重ねていきましょう！
では、みなさまと、ともに学べる機会を心から楽しみにしています。

まとめ

杉山教授のこころラボ　第2回では「コロナ不安とオンラインの心理支援」をテーマにカウンセラーの立場で新しい生活様式を読み込むと何が見えてくるのかを解説していただきました。
心の専門家を目指す皆さんにとって有意義となる情報を、杉山教授がわかりやすく解説をしていくのがこのコーナーです。ぜひ楽しみにしていてくださいね。