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COUNSELOR - 2023.11.15

カウンセラーを目指す方なら知っておきたい「カウンセリング」と専門機関に支援を依頼するための「リファー」の知識

カウンセリングでは、ストレスがほとんどない状態の人から、心の病を抱えた人まで、幅広い方が相談者となります。中には職場内でのストレスにより、メンタルヘルスの不調を抱え、心の病の予備軍である人もいるでしょう。相談者にとっては、カウンセリングがメンタルヘルスの不調を最初に訴える窓口となることもあるのです。

例えばメンタル不調を抱えた方から相談を受けたときに、カウンセラーはどう接するのがよいのでしょうか。

そうした時に重要となってくるのが、他の専門機関へ支援を依頼する「リファー」の知識です。このページでは、カウンセリングにおける「リファー」の重要性や連携先となり得る専門機関について解説します。

「リファー」とは?

「リファー」とは、相談者の抱える問題がカウンセラーの能力や知識、技術、専門性を超え、十分な対応ができない場合に、問題解決のために適した専門機関を紹介したり、支援を依頼したりすることです。

専門職として支援にあたる際、大切なのは自身の専門性で、役割が担える部分はどこまでなのかを踏まえておくことです。相談者の問題について、対応できる限界を超えていると判断したら、適切な専門機関等に相談者を紹介し、支援をつなぐ「リファー」を行います。

「リファー」では外部資源の活用が重要

「リファー」の際に必要となるのは、連携先となる専門機関等の知識です。また、相談者を支援する体制を作り上げるには、外部資源を活用し、連携を取ることも重要となってきます。さらに、相談内容によっては、相談者が勤務する企業の人事部や産業医、職場の上司や同僚、経営者、主治医、家族との連携も必要なケースもあります。

代表的なリファー先

それでは、どのような機関がリファー先となるのでしょうか。代表的なリファー先をご紹介します。

専門的な治療を行う医療機関

精神科の専門病院、総合病院の精神科、心療内科やメンタルクリニックなど、専門の医療機関にリファーすることで、適切な治療へとつなぐことができます。

投薬治療や心理検査、臨床心理士など心理の専門職によるカウンセリングなど、より専門的な対応や治療を行います。リファーした医療機関と連携をとり、並行してカウンセリングを行うこともあります。

メンタルヘルス対策の役割を担った公的機関

リファー先となるのは、医療機関だけではありません。相談者の抱える問題解決には、公的機関との連携が必要となる場合もあります。

自殺総合対策推進センター

自殺対策に関する情報の収集や発信を行っています。センターのWebサイトでは、自殺対策の先進事例や、実践的研究、政策研究のエビデンスに加え、各都道府県や政令指定都市別の相談窓口一覧も公開されており、自殺対策の情報が集約されています。

精神保健福祉センター

精神保健福祉法により、各都道府県・政令指定都市に設置することが定められています。地域における精神保健や精神障害者の福祉に関する相談・指導のうち、複雑なもの、困難なものを扱います。心の問題や病で悩む本人や家族などからの精神保健福祉相談を受け付けたり、精神障害を持つ方の社会復帰や社会参加を支援したりしています。具体的な活動内容はセンターにより異なりますが、個人に対してはデイケアなどを実施しているセンターもあります。

勤労者メンタルヘルスセンター

労災病院の一部に設置された専門機関です。ストレス関連疾患の診療や相談をはじめ、勤労者のストレス予防に関する講習や企業の健康管理者への講習、産業医などに対する専門研修などを行っています。さらに、ストレスドッグによるストレスの早期発見および健康指導や、治療の必要がないストレス保持者へのカウンセリングなども行っています。

地域障害者職業センター

各都道府県に設置されており、障害者への専門的な職業リハビリテーションをはじめ、障害者の就労相談、事業主に対する障害者の雇用管理の相談・援助などを実施しています。さらに、職場にジョブコーチ(職業適応援助者)を派遣し、職場適応を援助したり、職務や職場環境の改善を提案したりする「ジョブコーチ事業」も実施。心の病などで休職した人のスムーズな職場復帰を主治医と連携してサポートする「リワーク支援事業」も行います。

連携することがある外部の公共機関

専門の医療機関やメンタルヘルスに関連する公的機関以外にも、連携することがある公共機関があります。

事業場がかかわる行政機関

相談者が勤務する企業がかかわっている行政機関もリファー先となり得ます。例えば、厚生労働省の各都道府県労働局、労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)など、労働行政に関する機関では、職場のメンタルヘルス対策の基本的な情報発信や指導を行っています。各機関には相談窓口も設置。中でも「総合労働相談コーナー」 は、労働条件やハラスメントなど労働問題全般に専門の相談員が対応しています。

また、自治体の保健所や保健センターと連携することもあります。これらの機関では、地域住民の精神保健への対応や訪問相談を行っています。さらに、心の健康相談や専門の医療機関で診療を受けるにあたっての相談、社会復帰に関する相談、アルコール依存症の相談など、精神保健に関する幅広い相談にも対応しています。相談の結果により、病院や施設、自助グループなどの紹介、医学的指導やケースワークなどの実施といった取り組みを行っています。

労働安全衛生分野の公的機関

「中央労働災害防止協会」「産業保健総合支援センター」「地域産業保健センター」なども連携することがある外部機関です。

中央労働災害防止協会
「安全衛生の向上を図り、労働災害の絶滅を目指す」ことを目的としています。「心身両面による健康・快適職場づくりの推進」の一環として、健康で快適に働ける職場づくりのための各種セミナー、企業での研修への講師派遣などのほか、メンタルヘルス対策への支援、ストレスチェックとセルフケア援助など、さまざまな支援を有償で実施しています。

産業保健総合支援センター
各都道府県に設置され、事業主などに職場の健康保健管理の啓発を行っています。また、メンタルヘルスに関する問題に対しては、専門家やカウンセラーが相談に対応しています。

地域産業保健センター
全国の労働基準監督署の単位ごとに設置された機関で、50人未満の事業所に対して、メンタルヘルスに関連する相談、産業保健総合支援センターと連携した産業保健指導、産業保健情報の提供などの支援を無料で行っています。

まとめ

このページでは、カウンセリングでの「リファー」の重要性と、連携先となる専門機関について解説してきました。専門的で適切な支援を相談者に提供するには、そうした専門機関とのネットワークを作っておくことが、支援の幅を広げることにもつながります。また、「リファー」を行うことは、相談者やその周囲の人々を守ることにもなります。この記事がカウンセラーやコンサルタントとして活躍する方、これから目指す方にとって助けとなると幸いです。

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