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キャリアコンサルタント完全ガイド|未経験からのなり方・費用・将来性を徹底解説

人のキャリアをサポートするキャリアコンサルタントに興味を持ったものの、「未経験だから」と一歩踏み出せずにいませんか?
このページでは、資格取得への最短ルートから費用、就職まで、あなたの疑問にお答えします。これを読めば、キャリアコンサルタントになるための全体像がクリアになるはずです。
なぜ「未経験」から目指す人が多い?
それは、これまでの様々な人生経験を仕事に活かせる点や、社会的な需要が高まっていることなどが理由として挙げられます。
この章では、まずキャリアコンサルタント資格の基本的な情報をお伝えし、未経験からでも目指せる理由を解説します。
キャリアコンサルタントとは?
キャリアコンサルタントとは、職業の選択やキャリアプランなどの相談に応じ、助言や指導を行う専門家です。
出典)厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント」
また、国家資格キャリアコンサルタントは、「名称独占資格」です。資格試験に合格し、国家資格キャリアコンサルタントとして登録することで初めて、「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます。
未経験から目指せる理由
キャリアコンサルタントは国家資格ですが、それでも未経験から目指せる理由として次の3つが挙げられます
「養成講習」の修了で受験資格を得られる
「実務経験がないと、そもそも試験を受けられないのでは?」と思うかもしれませんが、ご安心ください。未経験の方でも、「厚生労働大臣が認定する養成講習」というコースを修了すれば、国家試験の受験資格を得ることができます。この講習の受講に特別な条件はないため、どなたでもスタートすることが可能です。
これまでの経験が活かせる
キャリアコンサルタントの仕事では、あなたのこれまでの様々な経験を活かすことができます。例えば、自身のキャリアに悩んだり、誰かの相談に乗ったりした経験は、相談者の状況を深く理解する上で助けとなるでしょう。
- 後輩の仕事の悩みに、つい親身になって相談に乗ってしまった
- 自身の転職活動で、自己分析や企業研究に苦労した
- 育児や介護と仕事の両立で、キャリアプランに悩んだ
- 上司と部下の板挟みになり、コミュニケーションの難しさを痛感した
こうした実体験があるからこそ、相談者の言葉の奥にある本当の気持ちを理解し、寄り添った支援が可能になるのです。
需要が高まっている
現代は、私たちの働き方が大きく変化している時代です。
働き方の多様化、人生100年時代におけるキャリアの長期化など、一人ひとりが自身のキャリアを主体的に考えていく必要性が増しています。これまでは会社が示してくれたキャリアパスも、今では自分で選択する場面が増えました。
このような状況だからこそ、キャリア形成を支援する専門家であるキャリアコンサルタントの存在が、社会の様々な場面で求められているのです。
このように、未経験者対応の受験資格や、需要が高まっている社会的背景から、国家資格キャリアコンサルタントは未経験からでも目指す魅力があるといえるでしょう。
【未経験者向け】資格取得までの最短ロードマップ
ここからは具体的に、未経験から国家資格キャリアコンサルタントを取得するまでの流れを解説していきます。
結論:未経験者は「養成講習」の修了を目指そう
国家資格キャリアコンサルタントの受験資格は、大きく分けて「実務経験者向け」と「未経験者向け」の2つのルートがあります。
受験資格一覧(いずれか1つを満たすことで受験資格を得られます) |
①厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
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②労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する者
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③技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
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上記の通り、実務経験がない方は、①の「養成講習」を修了することで受験資格を得ることになります。
つまり、未経験からキャリアコンサルタントを目指す方のスタートラインは、まずこの養成講習を受講し、修了することです。
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養成講習を受講するメリット
養成講習の受講には、「受験資格が得られる」ということ以外にも、「効率よく学べる」というメリットがあります。養成講習のカリキュラムには、キャリアコンサルタントに必要な知識や技能が組み込まれています。人の支援をするキャリアコンサルタントをこれから目指す方にとって、これらの学びは必須といえるでしょう。
また、カリキュラムには試験に出題される内容も含まれていますので、効率よくスキル習得と試験に向けた対策ができます。
大人になってからのクラスメイトとの学びは貴重な経験であり、新たな人脈ができることもメリットといえます。
資格取得までの4ステップ
国家資格キャリアコンサルタントを取得する流れは、次の4ステップになります。
STEP1 養成講習を選択する
最初のステップは、「厚生労働大臣が認定する養成講習」の中から、ご自身が受講する講座を選ぶことです。講座は複数のスクールが運営しており、それぞれに特色があります。後悔しないスクール選びのために、以下の3つの視点で比較検討してみましょう。
通学、オンライン、通信など、学び方は様々です。また、週末(土曜か日曜の週1)、平日夜間など、ご自身のライフスタイルに合わせて無理なく通い続けられるスケジュールかしっかり確認しましょう。
2. サポート体制
学習サポートや試験対策は充実しているか、卒業後の就職支援はあるかなど、受講中から卒業後までのサポート体制も重要な比較ポイントです。
3. スクールの雰囲気や理念
講師の雰囲気や、スクールが大切にしている理念も、学びの満足度に大きく影響します。多くのスクールが無料説明会や体験セミナーを実施しているので、ご自身の目で直接比較することがおすすめです。
STEP2 養成講習を修了・受験資格を得る
養成講習の修了要件には、指定の出席率、課題の提出、修了テストの合格などがあります。これをクリアすることで修了認定となり、受験資格を得ることができます。修了条件の詳細は、通うスクールで確認しましょう。
STEP3 試験に合格する
養成講習で学んだことを信じ、試験に臨みます。試験は学科と実技(論述・面接)で行われ、合格発表は指定日にWebサイトで確認できます。
STEP4 キャリアコンサルタント名簿に登録する
見事合格したら、最後の仕上げです。合格通知に同封されている案内に従い、キャリアコンサルタント名簿への登録手続きを行います。この登録が完了したら、晴れて「国家資格キャリアコンサルタント」です!
国家資格キャリアコンサルタントの難易度と合格率は?
国家資格キャリアコンサルタントは未経験からでも目指せることがわかりましたが、難易度はどのくらいなのでしょうか。これまでの合格率を参考に見ていきましょう。
キャリアコンサルタント試験の合格率と難易度
キャリアコンサルタントの試験は、学科試験と実技試験からなります。それぞれの合格率を見ていきましょう。
学科試験・実技試験の合格率
過去5回分の合格率を見ると、学科試験は62%程度、実技試験は66%程度の合格率となっています。
学科試験 | 実技試験 | |
第24回 | 52.6% | 65.4% |
第25回 | 63.7% | 66.5% |
第26回 | 65.5% | 62.2% |
第27回 | 59.7% | 67.4% |
第28回 | 68.4% | 67.7% |
参考:厚生労働省Webサイト キャリアコンサルタントになりたい方へ
受験資格別の合格率
次に、第28回試験の受験資格別の合格率を見てみましょう。②の実務経験者と比較すると、学科試験・実技試験共に、①の養成講習修了で受験した人の方が合格率が高くなっています。
▽第28回 国家資格キャリアコンサルタント試験結果
受験資格 | 合格率 | 合格者数 | |
学科 | ①養成講習修了者 |
69.3% |
3,918名 |
②実務経験者 |
60.3% |
389名 |
|
③技能検定の片方合格者 |
100% |
3名 |
|
実技 | ①養成講習修了者 |
68.7% |
3,646名 |
②実務経験者 |
58.9% |
370名 |
|
③技能検定の片方合格者 |
77.4% |
24名 |
なぜ実務経験者よりも養成講習修了者の方が合格率が高いのでしょうか。これは、養成講習で試験の出題範囲を体系的に学び、最新の試験傾向に沿った対策ができるためと考えられます。実務経験のある方でも、自身の経験を理論と結びつけて整理し、合格を確実にするために養成講習を受講するケースは少なくありません。
未経験者でも、養成講習を受講し、しっかり対策をすることで十分に合格が目指せます。
受験者数、合格者数ともに、①の受験資格が圧倒的に多いのも、未経験の方にとっては心強いのではないでしょうか。
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資格取得にかかる費用は?
この章では、キャリアコンサルタントの資格取得にかかる費用を見ていきます。
資格取得にかかる費用として、養成講習の受講料、受験料、名簿の登録料があり、総額は355,800円~555,800円が目安となります。
項目 | 費用 |
1. 養成講習の受講料 | 300,000円~500,000円 |
2. 受験料 | 38,800円 |
3. 名簿の登録料 | 17,000円 |
総額 | 355,800円~555,800円 |
1. 養成講習の受講料
養成講習の受講料は、通学か通信かなどの受講方法やスクールによって費用が異なりますが、300,000円から500,000円の価格帯となります。
2. 受験料
受験料は、学科試験が8,900円、実技試験が29,900円、合計が38,800円です。
3. 名簿の登録料
キャリアコンサルタント名簿への登録料は、免許税9,000円、登録手数料8,000円、合計17,000円です。
専門実践教育訓練給付金の利用で受講料を抑えられる
上記の通り、費用の大半を占めるのは養成講習の受講料です。この費用を抑える方法として、「専門実践教育訓練給付金」の利用があります。
専門実践教育訓練給付金は、一定の条件を満たすと、養成講習の修了で学費の50%、試験の合格で20%、賃金上昇要件を満たすことで10%、最大80%が国から支給されるという制度です。
2年以上雇用保険に加入している方はこの給付金制度を利用できます。(※過去に制度を利用したことのある方は3年以上の加入が必要など、その他条件がありますのでご確認ください)
例えば、現在正社員として2年以上働いている方や、退職して1年以内の方などが対象になります。ご自身が対象になるかは、ハローワークで確認することもできます。また利用には受講開始の原則2週間前までにハローワークでの手続きが必要ですので、早めに確認をしておくとよいでしょう。
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未経験からの就職・転職について
この章では、資格取得後の仕事や年収について、質問の多い、みなさんが気になるであろうポイントをまとめました。
未経験からの活躍の場は?
未経験から資格を取得して就職・転職をする場合は、企業の人事、人材紹介・派遣会社、大学のキャリアセンター、公的機関の就労支援施設が人気です。
未経験でも採用される?
キャリアコンサルタントの資格はあるが実務は未経験、という方向けの求人は多数存在します。最初はアシスタント業務からスタートし、徐々に面談を担当するなど、未経験からでも着実にステップアップできる環境が整っている職場も少なくありません。
就職を有利にするポイントは?
未経験からの就職を成功させるためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。特に、自身の強みや熱意をしっかりと自己アピールすることが大切です。
情報収集
興味のある職種や会社について、しっかり情報収集をしましょう。養成講習を受講した場合は、クラスメイトと情報交換をすることも効果的です。リアルな情報が得られるでしょう。リカレントの「キャリアセンター」では、キャリアコンサルタントと面談ができるため、まずはクライアントとして相談し、情報収集をするのもよいでしょう。
最初のクライアントは自分
自身のキャリアの棚卸し(自己分析)を徹底的に行い、「なぜキャリアコンサルタントになりたいのか」を明確に語れるようにしておくのが重要です。
熱意を伝える
未経験だからこそ、学習意欲やこの仕事にかける熱意をアピールすることが重要です。
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資格取得後の年収の目安は?
労働政策研究・研修機構の調査によると、キャリアコンサルタントの個人年収で最も多いのは、「300~400万円」で16.5%、続いて「400~500万」で14.5%、「200~300万」で13.8%、「500~600万」で11.1%となっています。国税庁の最新のデータによると、日本人の平均給与は460万円のため、一般的な年収と同等といえます。
キャリアコンサルタントの働き方は多様であるため、現在の仕事を続けながら副業としてキャリアコンサルタントとしての活動を始める、という選択肢もあり、それにより自身の全体的な年収を増やすことも可能です。
また、フリーランスになり、これまでの経験や人脈を駆使し、営業にも力を入れていくことでさらに高い収入を目指すことも可能です。
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働き方は?
上でも述べましたが、キャリアコンサルタントとしての働き方は様々です。企業の人事や人材紹介・派遣会社であれば正社員で週5で働くケースが多いでしょう。大学のキャリアセンターは週2~5勤務と様々です。ハローワークなどの公的機関は基本的には平日勤務(土曜を含む場合もあり)ですが、繁忙期の短期の求人などもあります。
経験を積んだあとは、フリーランスのキャリアコンサルタントとして活動をするケースも多くあります。
また、近年は様々な職場でリモートでのキャリアコンサルティングを実施するケースは増えており、働き方の選択肢は広がっているのも魅力です。
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キャリアコンサルタントの適正年齢は?
以下のグラフの通り、キャリアコンサルタントとして活躍している方の年齢は非常に幅広いです。実際に、リカレントで受講されている方も、大学生~70代と幅広くいらっしゃいます。
独立行政法人労働政策研究・研究機構 第2回キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査図表 8-2を参考に作成
20歳でキャリアコンサルタントになれば、キャリアコンサルタントとしてのキャリアを長く積むことができます。また60歳でキャリアコンサルタントになれば、これまでの経験を踏まえた説得力を持つことができます。
キャリアコンサルタントは、年齢関係なく活躍できる職業といえるでしょう。
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活躍のフィールドが広がるキャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、未経験からでも資格取得ができ、年を重ねても資格を活かしながら活躍することのできる資格です。
近年、子供へのキャリア教育も重要視されており、キャリアコンサルタントが対象とする年齢も幅広くなっています。今後、活躍のフィールドも広がっていくでしょう。
人の支援に関心のある方は、キャリアコンサルタントの取得を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まずは情報収集から
前述した通り、未経験からキャリアコンサルタントになるには、養成講習の受講が必要です。大人になってからの学びは、自身にあった学習スタイルを選択することが重要です。スクールによりサポート制度や特色も異なりますので、説明会等に参加し、情報収集をした上で選択していきましょう。
まとめ
このページでは、未経験からキャリアコンサルタントになるための流れや、資格取得後の仕事について紹介していきました。この内容が、今後のキャリアの参考になれば幸いです。
リカレントでは、厚生労働大臣認定の養成講習を行っています。専門実践教育訓練給付金の対象講座です。ご興味のある方は、まずは無料の資料をご請求ください。
Q&A
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Q勉強時間はどのくらい必要ですか?
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A養成講習(150時間)の受講に加え、予習・復習や試験対策として、100~150時間程度の自己学習時間を見込むとよいでしょう。学習期間やライフスタイルに合わせて計画を立てることが大切です。
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Q資格を取った後も、学び続ける必要はありますか?
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Aはい。キャリアコンサルタント資格は5年ごとの更新制です。知識・技能をアップデートするための更新講習の受講が義務付けられており、常に学び続ける姿勢が求められます。
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Q実技(面接)試験が不安です。話すのが得意でなくても大丈夫?
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A大丈夫です。キャリアコンサルタントに求められるのは「話す力」よりも「聴く力」です。養成講習では、相談者の話を深く聴くためのスキルを基礎から学び、ロールプレイング(模擬面談)で繰り返し練習するので、ご安心ください。
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Qキャリアコンサルタントはどのような場所で活躍できますか?
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Aキャリアコンサルタントは多岐にわたる場所で活躍しています。例えば、企業の人事部門で採用や従業員の能力開発を支援したり、ハローワークなどの就労支援機関で求職者のサポートをしたりします。その他、高校や大学で学生の就職活動を支援する役割や、人材派遣会社で求職者と企業のマッチングを行うなど、様々なフィールドでその専門性が求められています。
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Qキャリアコンサルタント資格の取得にかかる費用はどれくらいですか?
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Aキャリアコンサルタント資格の取得費用は、主に養成講座の受講料と試験の受験料です。養成講座の受講料は、通学か通信か、またどのスクールを選ぶかによって幅がありますが、一般的には30万円〜40万円程度が目安です。これに、学科試験と実技試験の受験料がそれぞれかかります。一部の講座では、教育訓練給付制度の対象となる場合があり、条件を満たせば費用の補助を受けることも可能です。
初心者から短期間で
カウンセラーやキャリアコンサルタントになるには
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